第3話

「ユラも、転生者」

《はい、ココ最近勉強や料理で刺激を受け、徐々に思い出したんだそうです》


「そっか」


 ずっと王宮では誰も構わなかったし、俺も同じ感じだったしな。


《それで、私にも能力が有る、と》

「へー」


《補助魔法なんですが、少しコツを教えて頂いたら、出来まして》

「おぉ」


《なので、1度、ダンジョンへお願い出来たらと》


「よし、準備しないとね」


 試しに連れて行ったら、凄く助かった。

 補助魔法は勿論だけど、解体も、魔石みたいな魔核も直ぐに取り出してくれて。


《あの、お役に立てたでしょうか》

「勿論、凄い作業効率が上がったし、じゃんじゃんお金を貯めよう」


《それなんですが、彼女を治すのは、ダメでしょうかね》


 元が良いから違う面倒が起こりそうなんだよな、体付きも良いし。


「んー、どうだろ」


《どういった理由から》

「体付きも良いし、こう、面倒が起きそうかなと思って」


《それは、私が嫉妬する事に対してでしょうか?》


 あー、もしかしたら嫉妬して貰えるのかぁ。

 良いなぁ、ちょっと嫉妬とかされてみたいかも。


「してくれる?」


 あ、この聞き方はマズいか。


《良いですよ》


 天使。


 と思ったんだけど。


『このご恩は一生忘れません、アヤト様、ハンナ様、ユラ様』


 凄い忠義心が発動しちゃって、全く、そんな素振りも無いの。

 いや、ユラを守ってくれるって言うから良いんだけど。


 いや、ガッカリしてるのはどっちにだろ。




『後は女冒険者(貴族令嬢)と執事、受付嬢でしょ、後はシスターと、魔物に育てられた子と、森を焼かれたエルフの子が浮浪者をしてるから見付けないと』


 ユラが出会うべき相手を知っているのは助かるんですが。


《あの、劇だとしても、随分と多いんですね》

『今のは能力が有る人の候補なんだけど、そうだよね、アヤトも男の子だからハーレムしたいかもだよね』


 魔道具的な遊具での遊戯だそうで、どれだけお話や絵姿を集めるかが、楽しみの1つだとか。

 そうした遊戯の中でも、コレは男女別の遊具と男女兼用の遊具、其々販売していたそうで。


 アヤトのルートはダンジョンと女性を攻略し、最後に誰を選ぶかで結末が決まるんだとか。

 そしてユラのルートは男性を攻略する、アヤトも攻略相手だ、と。


《その、ユラはハーレムは?》

『存在してるけど、物理的に無理じゃない?幾ら魔法や魔道具が有っても、体が保たないと思う』


《あぁ、まぁ、そうですね》

『それに平等に産むのも難しそうだし、やっぱり体がね。3人がハーレムに居たら最低でも3年、3人欲しかったら9年、ずっと妊娠してないといけないなんて無理じゃない?』


《お子さんは3人欲しいんですね》

『うん、最低でも3人は欲しいな、好きな人の子供なんだし。じゃないと人口減少しちゃうし』


《成程、お志が高いのですね》

『圧政を強いるなら私やアヤトが王位を継がないと、困る人を放置して幸せになるのって、ちょっと嫌な感じで無理だから』


《それでも、無理はしないで下さい、私にはアナタが1番大事なんですから》

『ありがとうハンナ』


 守ろうと思った子が良い子。

 コレは苦労する事になりそうな予感が、どうにか一国の国民程度は無視出来る素養を身に着けて欲しいんですが。


《それで、後は》

『あ、もふもふも、魔獣の子を助けると聖獣になるの』


《聖獣》

『ただ全てが同じだとも限らないから、様子次第では無視する、アヤトもアヤトで本来より凄い強いみたいだし。無理に戦力増強するより、安全を選ぶ』


《賢明な判断ですね》

『私には朝の女神、ハンナには夜の女神、アヤトには昼の女神の加護が付くの』


《朝と夜は雰囲気的には理解可能なんですが》

『あ、ハーレム用の能力なんだ、そっか、どうしよう、加護を得るか聞いた方が良いよね?』


 異性を惹き付ける能力。

 便利で良さそうなんですけど。


《抑える方法は?》

『無いの、得るか得ないか、だけ』


《あぁ、そこは不便ですね》

『ねぇ本当にアヤトを好きだよね?』


《(ユラの保護者としては)好きですよ》

『でも無理しないでね?』


《はい》




 ハンナは無表情だから本当に好きなのか、本当に分からない。


「ご馳走様でした。ユラ、後で話が有るんだけど、出来れば2人だけで」


 この元恋人の弟も、何だか今日はご機嫌斜めだし。


『うん』


 記憶が断片的に戻ってるってハンナに言って貰ったんだけど、何を聞かれるんだろ。


「お兄ちゃんはさ、ハンナが好きなんだけど、ユラはどう思う?」


 え、そこ?


『嬉しい、けど』

「嫌じゃないか?不安とか無いか?」


 そこ聞くにしても直球過ぎでは。


『無い、けど?』


「ユラを1番にって考えてたんだけど、ハンナも1番で、1番が2人になっちゃって、ごめんね?」


 兄弟で似なさ過ぎてビックリ。


 いや、でも、彼の兄も最初は1人だけって言ってたんだよね。

 それで現実でも夢の中でもハンナを選んだ。


 なのに。


 もしアヤトがハーレム出来る環境になったら、ハーレムルートを選ぶかも知れない。

 コレは、その為の前振りかもだし。


『ハンナが1番、アヤトは2番』

「だよなぁ、うん、それで良いよ、うん」


 本当にフミトの弟なのかな。

 会わせて貰えなかったんだよね。


 本当に、私、恋人だったのかな。


『家族?』

「そこは変わらないからね、うん、ずっと家族だよ」


『うん』


 良い子だけど、守ってくれたけど、本当に信じて良いのかな。




「嫉妬して欲しいって言ってたの、やっぱり無しで」


《それは、何故でしょうか?》

「嫌な事でしょ?だから無しで」


《嫌でも、仕方無い、と言うか》

「ユラが嫉妬されたいって言われたら俺は嫌だから、だから無し、忘れて」


《この状態で非常に言い難いのですが、女神の加護について知った事が有りまして》


「おぉ?」

《ハーレムを可能にする能力、だそうで》


「あー、そらユラの前では言えないよね、うん、良くない」

《果たして本当にそうでしょうか》


「えーっと、どう言う事?」

《善き者を惹き付けられるなら、コレ以上に心強い事はないかと》


「けどユラや君を排除しようとする者が居たら危ないんじゃない?」


《人の良し悪しを見抜く能力が有るのでは?》


 ココで黙ってしまうと、挽回が難しそうですが。


「それもユラの能力?」

《いえ、私の勘と経験です》


 今までに何人かがそうした能力を持っていた、そうした態度と符合する。


「色で見えてる、けどハンナのは見えない。ユラが君を選んだから選んだ、懐いてるから信用した」


 認識阻害をしているから、なんですが。

 コレを解除し、もし好まない色だったとしたら、どうするつもりなんでしょうか。


《呪いが掛かっているらしいんです。もし呪いが解けて確認出来た場合、好ましくない色だったら、どうなさるんですか?》


 王位を得るつもりならココで私を切り捨てるべき。

 そしてユラの為にも、私を引き離す必要が有る。


「何でユラを守ろうと思ったかって言うと、凄い白くて、悪意が殆ど無いから。ただ悩んでても色が濁る、だから確実ってワケでも無いんだよね。だからコッチの質問次第なんだけど、何か、心を見られるみたいで嫌じゃない?」


《まぁ、ですね》

「多分、呪いが解けたら解けたままになるよね、ならそのままで良いよ。あ、ユラが呪いを解いて欲しいって言ったら、お願いするかも」


《そこは、はい、沿います》


「それと、ハーレムは却下、平和とは程遠くなる。少なくとも、制御出来る何かが見付からないなら無視」


 コレは、魔道具を作るべきかも知れない。

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