第5話 きっかけ
11月中旬、母のお見舞いが終わり、温かいものが飲みたいと思い、病院の自販機に行こうとしている時、あるポスターを見つけた。それは、病院のクリスマス会での音楽イベントにボランティアで出演してくれる人を探しているという内容だった。なぜかこのチラシがわたしの興味を惹きつけて離さず、心に訴えかけてきた。出るべきだと。
「気になるの?」葵さんが後ろから話しかけてきた。「もうびっくりしたー」わたしは少し後ろに下がり怒った顔をする。「ごめん、ごめん」軽く葵さんが謝るともう一度わたしに聞いてきた。「気になるの?」わたしは少し困った顔をして「ううん、全然。ただ眺めてただけだよ」それを聞いて葵さんが言う。「いや、音羽出たいって顔してた。出たらいいよ!わたし音羽のフルート聴きたい!ね、出よう。大丈夫だから」
「大丈夫」葵さんの口癖だ。「でも葵さんに迷惑かけちゃう」とわたしが言うと「子供がそんな心配すんな」とわたしの頭を撫でる。あの時も葵さんの手が暖かかった。「じゃあ、申し込みするから一緒についてきて」わたしは葵さんの暖かい手を取り、そう言った。
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