第2話 家族の話
フルートをプレゼントされた一カ月後わたしは音楽教室に通い始めた。わたしが住む町は少し田舎でフルートを教えてくれる所はなく車で30分かかる音楽教室までいつも父が送ってくれた。初めて楽譜をもらった時、初めて音を出した時、全てが新鮮で楽しくて、毎日習ったことを運転する父が相槌をうてないほどずっと喋り続けた。そんなわたしを見ていつも穏やかに笑っていた。そんな父はわたしが中2の夏、海で溺れかかっている人を助けようとして死んでしまった。相手の18歳の男性も死んでしまった。ただ、父の遺体は見つからなかった。母は突然のことに心を病んで半年後に病院に入院してしまった。病院に母が入院した日、わたしは父の葬式の日にも出なかった涙が出た。ずっと泣いて泣いて、3日間飲まず食わずで部屋で涙を流し続けると、高熱でうなされて、たまたま様子を見に来ていた叔母に発見されて、救急車で病院に運ばれた。目覚めたのは二カ月後だった。目覚めて初めに見たのは点滴を打たれている腕で、叔母の葵さんがわたしの名前を呼んでいた。そこからの回復は順調で無事に退院できたが、このことがきっかけでわたしは体調を崩しやすくなってしまった。
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