日本に帰ろう!

ちょうど、支那行きの商船が出るという。


支那なら、日本に近い!

俺はまず、小舟を購入した。

支那に近づいたら、その舟に乗り換えて、日本への上陸を図るのだ。


俺は買った舟に「アドベンチャー号」と銘打ち、支那行きの商船に乗せた。

アドベンチャーという言葉は、まさに俺の人生そのものだ。

こうして、俺たち3人は商船に乗り込み、日本への帰国を目指すことにした。


商船は、ぱしひこを西へ西へと進んでいく。支那の上海へと向かっているのだ。

途中、船は琉球の島の間を通る。

ここがチャンスだ!

俺たち3人は、琉球に近づいたのを確認し、商船からアドベンチャー号へと乗り換えた。


アドベンチャー号は手漕ぎ舟だ。

俺たち3人は無我夢中で漕ぎ続けた。


そして、ついに俺たちは琉球王国への上陸を果たしたのだった。


* * * * * * *


舟から降りた俺たちは、すぐに捕まった。


幕府は、異国に行った者の帰国を認めてないからだ。

琉球王国は、薩摩藩の支配下にある。

よって、俺たちは罪人として薩摩藩へと送られることとなった。


薩摩藩の殿様は、島津斉彬しまづなりあきら

開明的な大名として知られている。

勝海舟や伊藤博文も、斉彬なりあきら公の英明さには感服していた。


俺は、メリケンから持ち帰った、日本にはない数々の文明品を斉彬公に見せた。

また、俺はメリケンの学校で教育を受けていた。

天文学や測量、造船技術、そして、何より異国の言葉を使えた俺は、幕府にとってかなり重宝する存在だと判断されたようだった。


漁民だった俺は、なんと、故郷である土佐藩の武士になった。

漁民から武士になった例はほとんどないとのこと。


そして、異国帰りの俺が、ついに得意の英語えんげるすを使って活躍する時がきたのだった。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る