タブー

風野うた

第1話 タブー


 あたしは、理科の新田先生の元へと向かう。


この休み時間に如何しても伝えたいことがある。




急足で、理科準備室の前まで来た。


はやる気持ちを抑えて、ドアをノックする。


「はい」


中から、新田先生の声がした。


「天野です」


「はい、どうぞ」


ガラッと引き戸を開けて、室内に入る。


勿論、しっかりと閉じた。


「先生、あのう先日の、、、」


私はポケットから携帯を出しながら、話し始める。


先生の顔が、少し強張った。


「あたし、こんなに突然大変な事になるなんて思ってなくて、もうどうしたらいいのか分からない」


私は先生に自分では対処が出来なくなった写真を突き付けた。


先生はその写真を見て息を呑む。


「何日たったんだ?」


先生は、私の顔を覗き込む。


「三週間です。先生、どうしよう」


私は、泣きそうなる。


親にバレたら、絶対怒られる。


「だから、気を付けろって、言ったじゃないか!」


先生は私を叱る。


でも、叱られる事くらい分かっていた。



それでも、先生しか頼れないから、ここに来た。


「何故、もっと早く言わなかったんだ!」


「ごめんなさい」


「俺は何度もダメだと言っただろう!!」



携帯の中の写真を指さしながら、先生は言った。




「ミントを地植えしたら、庭が死ぬんだよ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

タブー 風野うた @kazeno_uta

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ