第17話

「行きたくない!!」


俺はあまりのめんどくさにごねた。試験ぐらい免除してくれよな。


「急がないと、間に合わないわよ。」


俺はさっさと用事を済ませるために、リナザール騎士学校に20日で着くよう全力でとばした。


そこから、20日間で前回と同じくダンジョン40階層をクリアした。

そこから、テスト期間終了まで、リュイの別荘でお世話になった。

リュイに学校と街の案内をしてもらい、トマトパスタ専門店なるものに初めて行った。感動した。



「対抗戦?」


「そう、対抗戦。出てみない?」


「何するのそれ?」


「学校から選抜された同じ学年の騎士見習い達が、頂点を決める戦いだよ。」


「それって、景品とか出るの?」


「物とか、お金は出ないよ。ただ、実績を作ることで、将来、入れる騎士団が変わってくるんだよ。」


「そうなんだ。じゃあ、別にいいや。卒業したら地元の騎士団に入るし。」


「えっ?そうなの?」


「うん。あそこなら席を置いてるだけでいいって、領主のじいちゃんにも言われたし、顔見知りもいるしね。」


「てっきり、世界騎士に入るもんだと思ってたよ。」


「世界騎士?世界騎士連盟とかってやつ?」


「世界騎士は主に魔王級のダンジョンが現れた時に被害を抑えるために、真っ先に対処する騎士団だよ。」


「ほ〜ん。じゃあ、いつもは暇なんだ。」


「いや、普段は世界各地を飛び回って、ダンジョンによる被害を減らして、復興を手伝ったりしてるかな。」


「無茶苦茶、忙しいじゃん。絶対嫌だよ。」


「騎士ならみんな憧れるんだけど、エドはそうだね。」


「対抗戦にリュイは出るの?」


「出るよ。対抗戦には面白い優勝景品があってね。」


「というと?」


「優勝すると、世界騎士の隊長核の騎士との実戦訓練できる権利がもらえるんだよ。」


「そうなんだ。でも、学園長のじいちゃんとかと実戦訓練した方が良くない?無料でやってくれそうだし。」


「気まぐれな人でね。滅多に生徒に訓練をつけないんだ。」


「へ〜。まあ、年なのかな。対抗戦頑張ってよ。」


「本当に出ないのかい?」


「出ないよ。世界騎士とかにも興味ないし。」


リュイとずっと模擬戦の相手させられて、20日かけてイリオスの街に帰った。


合計70日。


世界騎士の話をエリシアにすると


「ああ。世界騎士連盟から手紙来てたわよ。」


「内容は?」


「世界騎士に仮入団してみないかって。断りの手紙を出しといたわよ。」


「そう。」


「もろもろ、他のお誘いも断っといたわ。」


「お誘いが何かわからないけど、ありがと。」


「どういたしまして。」


ーーーーーーーーーー

俺は最近、体もでき始めたので濃い鍛錬をすることにしている。

死ぬほど集中力を使う鍛錬だ。

今までは、自分より強い相手や集団を想像して鍛錬してたが、今は違う。

超絶技巧の魔力操作の鍛錬をしている。


ーーーーーーーーーー数ヶ月後、冒険者ギルドマスター室にて


「はぁ?スタンピーど?ダンジョンなんてないだろ?」


突発型ダンジョンは数年に一度しあ発生しない。

ここ最近発生したばかりだ。


「違う。ダンジョンじゃない方のスタンピードさ。」


「なんだそれ?」


「魔物が群れをなすのは知ってるね?」


「ああ。キラーアントとかだろ。」


「そうさ。今回は、それが種族混在しているってことだね。」


「珍しいな。魔物は基本同種族としか、群れないだろ。」


「稀にカリスマ性のある魔物が現れる。その魔物が群れを統率しているのさ。」


「その魔物っていうのは?」


「赤竜。だから、あんたに仕事を頼むのさ。」


「騎士に頼めよ。」


「頼んだんだけど、断られたさ。最近、領主邸にコソ泥が入り続けて、それどころじゃないらしい。」


「ああ、精霊の雫か。」


「そういうことさ。だから、あんたしか動けない。」


「分かった。それで、場所は?」


「ヘム村だ。」


「どこだそこ?侯爵領か?」


「厳密には王様の直轄領さ。侯爵様が管理を任されている。」


「そういえば、港の近くに直轄領があったな。そこか?」


「そこさ。港が使えなくなったら、侯爵領に住民からしたら大打撃だからね。早く仕事を終わらせるんだよ。」


「港町に冒険者ギルドがあっただろ。そいつらは?」


「ろくな奴がいないよ。あんたなら、被害ゼロで抑えられるだろう。侯爵様の直轄領だから神経質になってんのさ。」


(普通の冒険者なら、ある程度被害が出て、依頼の金額が大きくなってから、依頼を達成する。俺は早く仕事終わらせたいからしないけど。)


「ということは領主のじいちゃんからの依頼か。」


「まあね。私が言ったっていうんじゃないよ。」


「分かってるよ。魔物の素材は、港町の冒険者ギルドで換金してくれるんだろな?」


「そう連絡はつけとく。」


「分かった、行ってくる。」


「気をつけるんだよ。」


2週間でスタンピードを被害ゼロで終わらせ、魔物の死体を換金した後、イリオスの街の自分の家に戻った。


家に俺の愛する家族が誰一人いなかった。











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