第15話
「ふざけんな。まだ、攻略できてなかったのか。しかも、スタンピードだと。」
俺は、一人ごちながら、森の中を疾走している。
俺が本気を出せば2日で子爵領に着くだろう。
侯爵の使いから、連絡を受けて真夜中なのにすぐに出発した。
ーーーーーーー
「意外に抑え込んでるな。」
騎士団はダンジョンからのスタンピードをかなり抑えていた。
「加勢する前に話でも聞くか。」
騎士団のテントで話を聞いたところ、この突発型ダンジョンは50階層まであったらしく、最奥にはダンジョンボスがいた。
それも魔族の。
しかも、魔族の強さは将軍級だったらしく、騎士団長が奮闘して、どうにか撤退したらしい。超貴重な転移の魔石を使って、ダンジョンから脱出してきてから、ダンジョンからのスタンピードが始まったらしい。
「なるほどね。騎士団長が負傷で離脱している間に副騎士団長が指示を出してたってことね。」
「はい。」
子爵の顔見知りの騎士に質問した。
「どれくらい持ちそうなんだ?」
「おそらく、後1週間ほどかと。」
「じゃあ、俺もっと遅くきてよかったんじゃない?」
「いえ、魔物の強さは日に日に強くなっているので、正直、いつ魔物達が騎士を殺し尽くしてもおかしくないんです。」
「なるほど、1週間はあくまでも希望的観測ってやつか?」
「おっしゃる通りです。」
「分かった。とりあえず、右側は騎士団に任せるとして、俺は左側で魔物を殺すことにする。副騎士団長に伝えといてくれ。」
「分かりました。」
「起きろ。黒姫、白姫。仕事の時間だ。」
ーーーーーーーーー
「血まみれが来たぞー!!!」
「助かったー!!」
「やっと、安眠できるー!!!」
(なんて情けない騎士達だ。子供の俺に頼るとは。)
「左側は俺に任せて、あんたらは副騎士団長に命令を仰いできてくれ。」
「「「「「応!!」」」」
(なんていい返事だ。虚しい。)
それから、俺は3日戦って、1日休んだ。
この生活を20日程、過ごしてやっとスタンピードが終わった。
「で、騎士団長はまだ意識が戻ってないと?」
「そういうことになりますね、血まみれ。」
俺は今、知的なおっさんこと、副騎士団長と話していた。
「それで、様子見のために俺はここに残らないといけないと。」
「そういうことになりますね。」
「ダンジョン攻略してきていいか?」
「ダメですよ。許可が降りていません。」
「でも、様子見するよりそっちの方が早くないか?」
「しかし、許可が出ていないので。」
「といううか許可ってなんだ?騎士じゃない俺でも許可さえあればダンジョンの中に入れるのか?」
「可能ですよ。世界騎士連盟のお歴々に許可を貰えば、一般人でもダンジョン内に入れます。一般に学者が使う制度ですね。」
「それっていつになったら出るんだ?」
「さあ?具体的な数字は分かりません。」
「騎士団長殴って、起こしていいか?」
「ダメですよ。流石に死んでしまいます。」
「分かったよ。代わりにザングラッドのじいちゃんをぶん殴るさ。」
「それは問題ないです。私もいつか殴ってやろうと思っていたので。」
俺は、また待つことになった。
騎士団の中にいる数少ない巨乳の団員と話して、暇を潰した。
おっぱい、さいこー
ーーーーー1月後
「それじゃあ、騎士団長も完全復帰したい帰っていいか?」
「ダメだよ、エド君。ようやく君にダンジョン入場許可が出たんだ。」
「それを待って狸寝入りしてただろ。」
「さあ?どうかな。」
「それで、もう一度ダンジョン攻略するのか?」
「まあね。今度はエド君がいるし。」
「50階層まで行かないといけないのか。」
「大丈夫よ。転移魔石があるしね。」
「どういうことだ?二個も転移魔石を持ってきたのか?」
「嫌、今回のダンジョン攻略で運よく転移魔石を2つも手に入ってね。最初に持ってきたものも含めて合計3つもあったんだ。」
「それはすごいな。それじゃあ、早く済ませよう。」
「軽く言ってくれるね。ダンジョンボスの魔族は将軍級なんだぞ。」
「俺は2年前に一度倒しているからな。」
「それもそうだね。心強いね。」
ダンジョンボスにはそれぞれ階級がある。
兵士級、戦士級、騎士級、将軍級、魔王級の5階級。
将軍級なら国が動いて、魔王級なら世界が動く。
「さて、もう一仕事だ。」
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