第11話

ーーーー雲の間にて


雲の間、それは学園の生徒の中でも限られた人間しか入ることが許可されてない場所。


「一年の成績表は見たか?」


生徒会長 女


「ああ。」


執行会長 男


「見ましたわ。」


風紀会長 女


この学園の派閥の3つの長が集結していた。


「単刀直入だが、エド君は生徒会が貰おう。」


「いや、彼の実力は執行会にこそふさわしい。」


「いえ、風紀会にこそふさわしいです。」


「噂で聞いたんだが、エド君は巨乳好きらしくてな、ほっといてもうちに来るだろうな。」


生徒会長は自分の胸を強調する。


「いえ、私の方が胸が大きいですよ。」


風紀会長も負けじと自分の胸を強調する。


「いや、執行会には胸の大きな女性とが多く在籍している。絶対うちに来る!」


世界最高峰の騎士学園にて、最高級の成績を誇る3人がしょうもない争いをしていた。

後に、生徒会に入っているリュイから、エドが学校に来ていないことを知り、

争いは収束した。


ーーーーーイリオスの領主邸にて


「久しぶりじゃの、エド。エリシア。」


「久しぶり、領主のじいちゃん。」


「お久しぶりですわ。ザングラッド侯爵様。」


「うむ。とりあえず、今日はエドに頼みがあっての。」


エドはイリオスの街に帰ってすぐ、ザングラッド侯爵に呼び出しを受けた。


「頼み?」


「ああ、これを見てくれ。」


ザングラッド侯爵は一枚の紙を取り出した。

この瞬間、紙に書いてある文字が難しすぎて、エドは考えるのをやめた。


ーーー数時間後


なんか話がまとまったらしく。

俺は隣の公爵領の魔ミスリルという超高価な金属の鉱山に巨大な巣を作ったキラーアントを殲滅すればいいらしい。

家に帰って、エリシアわかりやすく説明してもらった。


「なんで、隣の公爵は俺に頼んだの?」


「捨て駒よ。」


「えっ?そうなの。」


「当たり前でしょ。あっちは最近魔物の被害が多いから、大人数の騎士を動員できないの。」


「冒険者は?」


「高位の冒険者を送って、全員死んだわ。その時にキラーアントの巣の規模や情報が少しだけど、手に入ったのよ。」


「それを今度は俺にやらせるってこと?」


「そういうことよ。」


「なんで、そんな仕事受けたの?」


「簡単よ、この仕事に成功したら、毎年、鉱山から出る利益5%ももらえるのよ。」


「それってすごいの。」


「そうね。働かずとも毎年白金貨100枚ほどもらえるってことよ。」


「そんなに!!」


「そう。まあ、取り分としては、ザングラッド侯爵様が8%、国王様が10%と言ったところよ。」


「なんで、ザングラッドのじいちゃんと国王様がお金もらえるの?」


「公爵に権力で横暴されないように気を遣ってもらったのよ。」


「それでも、何もしてないじゃん、その二人は。」


「書類にハンコを押したのよ。責任の伴った重いハンコをね。」


「ふ〜ん。なんかずるいあ〜。」


「それと、倒したキラーアントの素材は全部公爵の物になるわ。」


「えっ!!俺が倒した魔物の素材を取られるの!!」


「言ったでしょ。公爵の領は魔物被害が多いのよ。キラーアントの素材は武器にもなるし、お金にもなるの。」


「なるほど。要は都合よく使われるってこと?」


「それにふさわしい対価はもらえるのよ。貴族と平民とじゃ破格の取引よ。」


「そうなんだ。エリシアがいうなら、そうなんだろね。それで、いつからキラーアントの巣を退治しに行けばいいの?」


「明日からよ。」


「えっ」


ごねた。俺じゃなくてリーサがごねた。


「パパと一緒にいたい!!」


リーサが号泣してしまった。ここ最近、俺が家に不在だったからだろう。


「みんなで行けばいいじゃない。」


元々、交渉役としてエリシアが俺についてくる予定だったらしく、それならみんなで行けばいいということになり、ついでに観光しようということになった。


二週間足の速い竜車に揺られて、隣の公爵邸に着いた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る