第10話

ダンジョンに入るのは人生で2度目だ。

一回目に入った突発型ダンジョンと違い今回は常留型ダンジョン。

と言っても、中の構造は洞窟みたいで特に変わらなかった。


「ちょっと待てよ。40階層ってことは一日3階層は進まないといけないのか?」


試験の期限は1月後なのだ。

行って帰ってきて初めて、試験の成績にならしいので、

つまり、2週間で40階層まで潜らないといけない。

ちなみにこの学園のダンジョンの最深層は100階層らしい。


「これからも、来るだろうし、21階層からはマッイングしながら行こう。」


20階層までのマップは買えたけど、21階層以降のマップはないので、21階層からは自分でマッピングすることにした。


「おっゴブリンだ!!」


目の前のゴブリン数匹を殴って、頭を吹き飛ばした。

ダンジョンは死体を放っておくと死体は吸収される。食べても問題ないらしい。


「強さはいつもの2倍ってところか。」


腕の感触を確かめる。

ダンジョンの中では魔物は強化されるらしく、ダンジョン産の魔物は強い。

ダンジョンの魔物は稀に魔石を落とし、ごく稀ドロップと言って、その魔物に準ずる何かが宝箱から現れる。


「まあ、最短で行くか。」


それから、魔物との戦闘は最低限で進みつつ、ダンジョンを奥へ奥へと進んでいく。


ーーー二週間後ーー


「やっと40階層か。結構かかったな。さっさとボス倒して、帰ろ。」


40階層のボスは赤竜と青竜の二匹だった。

1時間かけて、スタミナ勝ちした。倒した後、ボスは光の粒子となって消え、宝箱が現れた。


「ハイポーションか。まあまあだな。」


金貨10枚ほどの価値があるハイポーション。

危険と対価が釣り合ってなさすぎな気はするが俺は足早に帰っていった。



ーーー10日後ーー


「戻ってきた。帰りは早く帰れたな。」


受付嬢の元で、換金できるものは換金して、バッジを変換して、学校附属のお風呂でさっぱりした後、自分の家があるイリオスの街へと向かった。


「2月ダンジョンに潜って、稼ぎが金貨30枚とは悲しい。まあ、ポーション類を売ってないから仕方ないか。」


(何か、忘れている気がするが思い出せない。まあ、思い出せないってことは大したことじゃないんだろう。それより早く帰らないと!!)


ーーーーーリュイside


「おはようございますリュイ様。」


「おはようございます、テレシア皇女。」


「皇女などではなく、テレシアとお呼びください。」


テレシア、帝国の第二皇女。銀髪に白い瞳。どこか浮世離れしたお姫様。


「おいおい、やめろよな、リュイが困ってるじゃねえか。」


「グリノー。愛かわず、女性を侍らせているのですね。」


グリノー。帝国の第三皇子。テレシアとは腹違いの子供だったりする。

茶髪に赤目の女好きの少年だ。


「まあな。女の負から寄ってくるんだ。」


「おはようございます。グリノー皇子。」


「おう。それで、今日は待ちに待った成績発表だな。」


今日は、リナザール騎士学校、1学年の部の前期成績発表の日なのだ。


「自信がおありで?」


「まあな。リュイには負けるが、テレシアには負ける気がしねえよ。」


「そうですか。あなたは、入学試験でもそう言って、私に負けてましたけどね。」


「ふん。調子が悪かったんだよ。」


リュイ達は談笑しながら、成績発表の紙の前に立ち止まる。

リナザール騎士学園では1学年から6学年まで存在して、

1学年は一番左端に成績が張り出されるのだ。

リュイ達は、1学年の成績発表を見て固まる。



成績発表 1学年 前期の部


1位 エド

学部 0点

実技 0点

ダンジョン最深階層 40階層


2位 リュイ・グリフィン

学部 100点

実技 100点

ダンジョン最深階層 0階層


3位 テレシア・リンド

学部 81点

実技 86点

ダンジョン最深階層 0階層


4位 グリノー・リンド

学部 76点

実技 90点

ダンジョン最深階層 0階層

   ・

   ・ 

   ・

   ・

   ・


「これは、、、。」


「エドって確か推薦入学で入ってきたやつだよな。」


「確かそうですわ。一度も学園にいらっしゃらないので、ただの噂かと思っていましたわ。」


「それにしてもバケモンだな。ダンジョン40階層だってよ。」


「そうですわね。確か今年の最上級生の主席でも確か、26階層でしたよね?。」


「ああ、そうだ。やけに1学年の成績発表に上級生が多いと思ったらこれが理由か。」


「確か、リュイ様は一度、この方と戦っていましたわよね?」


「一度じゃないです。数十回模擬戦をしましたが、今のところ全敗ですね。」


「「っ!!」」


「そんな驚くことじゃないですよ。実際、彼はこの成績を残しているのですから。」


「確かにそうですわね。」


「でもなんで、学校に来ないんだ?」


「妻達といちゃつきたいからって言ってましたよ。」


「へ〜気が合いそうだ。」


「そうですね。」


この日、リナザール学園はエドという怪物を知るのであった。


(エド、門番から話を聞いて、学校で探し回ったのにいなかったのは、ダンジョンに行ってたからなのか。それでも帰る時ぐらい、あいさつしてけばよかったのに。)


リュイは友人の態度に少し拗ねた。


ーーーーー雲の間にて

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