第9話

「この子供が学園に入れてくれと騒いでいまして。」


「どうも、エドです。試験を受けにきました。」


「エド?どこかで聞いたような、聞かなかったような。」


「ちなみに推薦入学です。」


「ああっ!!思い出した。思い出した。そのエドか!」


「そうです。そのエドです。中に入っても?」


「何か、身分を提示できるものは、あるかの?」


「ないです。」


(一日に3度目の展開だ。)


「うむ、分かった。剣を構えなさい。」


「剣を?」


「うむ。お主の強さを持って、自分を証明しなさい。」


「学園長、子供相手にそれは流石に、、、。」


「安心せぇ。わしを誰だと思っているんじゃ。」


俺は、腰に刺した黒剣『黒姫』と白剣『白姫』を構える。


「うむ。様になってるの。ところで、その構えは我流かの?」


「我流です。学園長も?」


「わしの場合は、いろいろな流派が混じっているだけじゃよ。」


学園長の爺さんは透き通るほど、青い剣を構える。



そこから,3分間は地獄だった。

最初こそ、手加減してくれたが徐々に剣戟が激しくなり、俺はただ、必死に守りに守った。3分ちょうどで止んだ。


「うむ。確かにお主が特待生のエドで間違いないのう。」


「それって、最初の1分ぐらいで分かってたでしょ。」


「年寄りの娯楽じゃよ。それより、試験を受けにきたと言ったな。」


「ダンジョンを攻略したら、成績になるって聞いて。」


「そうか、じゃあ40階層まで潜りなさい。それなら、文句なしの成績になる。」


「わかりました。それで、学園証ってあります?」


「ないよ。そんなものは。学生の特徴は門番が全部記憶してるからの。」


「へぇ〜。おじさんはすごい人だったんだ。」


「おじさんじゃねえ。まだ33歳だ。凄さで言ったら、お前の方が何倍もすげえよ。学園長の攻撃をあんなに捌けるんだから。」


「ホッホッホ。わしはもう行くよ。仕事があるからの。」


「はい。お疲れ様でした!!」


「ありがとうございました。」


学園長のおじいちゃんは、スタスタと歩いて行った。


「それで、ダンジョンってどこにあるんですか?」


門番のおじさんから、ダンジョンの場所を聞き出した。


「ここら辺か〜?敷地が広すぎてわからん。」


学校の敷地の看板に従って、進みようやくそれっぽい施設を見つけた。

中に入ってみると、冒険者ギルドのような受付嬢が何人もいた。

学生は一人もいないが。

俺は数人の受付嬢の中から一番、胸の大きい女性に声をかけた。


「あの〜。ここがダンジョンであってますか?」


「合っていますよ。今から、ダンジョンに潜られるのですか?」


「えっ?手続きとかなしにすぐ潜れるんですか?」


「学園の生徒なら、学園所有のダンジョンにいつでも潜ることが可能です。」


それから、受付嬢のお姉さんにいろいろなことを聞いた。

ダンジョンの中のマップ。構造。ボスやドロップ品などの処理について。


「なるほど分かりました。それじゃあ、今から潜りますね。」


「何か、ご準備されてからでもいいのでは?」


「いや、大丈夫です。」


「そうですか、、、。それでは、こちらのバッジをお付けください。」


「これは?」


「そちらのバッジには特別な魔物の魔石が使われていて、何階層まで潜ったか分かるのですよ。」


「便利ですねこれ。それじゃあ。」


「はい。お気をつけて行ってらっしゃいませ。」


次回、学園ダンジョン


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る