第4話

ダンジョンには主に二つの種類がある。

突発型ダンジョン、常留型ダンジョン。

違いは簡単、ダンジョンボスを倒した時に消滅する方が突発型ダンジョン。

消滅しないのが常留型ダンジョン。

どちらも、ダンジョンは突発的に発生するが、突発型ダンジョンは発生した段階で完成されており、常留型ダンジョンはゆっくりと成長していく。


「エド君はその街中に発生した突発型ダンジョンを11歳ながら単独で制覇して、街に被害ゼロで収めたんだ。」


「本当なのエド君?すごいわね。」


胸の大きい美人に褒められて舞い上がってしまう。


「たまたまですよ。」


「それでも、ダンジョンに勝手に入っては行けないよ。結果が結果だから斬首刑にならなかっただけだよ。」


「気をつけます。」


「本当にダンジョンを攻略したのエド?」


リュイが俺の顔を覗き込む。邪魔だ。お前のせいで巨乳が見えない。


「たまたまだって。百回に一回の奇跡を起こしただけさ。」


「実績だけ見れば、英雄的な成績じゃないか。なんで、有名じゃないんだ?」


「それは、俺が無断でダンジョンに入ったことと、出自が不明の孤児だからだよ。それに、他の冒険者の功績を掠め取ったいう人もいるしね。」


「そうなんだぁ。」


「別にいいよ。信じられないのはしょうがないよ。まだ、子供だしな。」


「でも、お父様はなんで知っていたんですか?」


「ああ、イリオス一帯を納めるザンラッド侯爵にお会いすることがあってな、その時にお聞きしたのだ。」


「なるほど。その時にエドの特徴を聞いていたのですね。」


「まあね。一月も野宿して、この若さであの強さとなると、もしかしたらとね。」


それから、リュイにひたすらダンジョンの話をさせられた。


今回の大会が終わるまでの一週間、この別荘に住ませてもらうことになった。

リュイはことあるごとに俺に模擬戦を頼んできて、リンはことあるごとに噛みついてきた。

リュイには学園のこと、黄金世代、序列など俺の知らないことをたくさん知っていた。

物知りだなぁ〜。


ーーー1週間後ーーー


「まさか、優勝するなんてね。それも一滴も血を流さずに。流させずに。」


「運が良かっただけですよ。相手も子供だと思って油断してくれたんでしょう。」


「そうかい?実力だと思うけどね。」


「そうだと嬉しいですね。それでは、いろいろありがとうございました。」


「気にすることじゃない。リュイも遊び相手ができて嬉しがっていた。それより本当にいいのかい?馬の一匹ならいくらでも譲っていいのだけれどもね。」


「遠慮しときます。走りで帰った方が速いですし。それに、常在戦場。走りの方が学びが多いですから。」


「ふふ。そうかい。道理でリュイが敵わないわけだ。それじゃあ。」


「はい。また、いつか。」


「気をつけてね。」


俺は、グリフィン公爵家を出発して、俺の故郷イリオスに向かった。


ーーーーーーーーーーーーーー


「すごい子だったな。」


「そうですね、あなた。」


「今期のリナザール騎士学校はリュイ以外の黄金世代はいないからハズレだと思ったが、一番の当たりだったな。」


「そうですね。リュイも自分以上の才能を目の当たりにして、奮起していますし。」


「才能?いや、エド君の強さの源は才能より、意識にあるのさ。」


「意識ですか?」


「ああ。まあ、剣を握ったことのないミリーヌにはわからんよ。」


「あっ、今の言葉むかつきました。えいっえいっ。」


「やめてくれミリーヌ。使用人がみている。」


「なんですか、おばさんになった私には魅力がないんですか。」


「いや、そういうわけじゃないんだ。ただ、外聞としてだな。」


政略結婚で結ばれた二人は、お互い40歳になってもいちゃついていた。



ーーーーーーーリナザール騎士学校


「すごい人材が入りましたね、、、、。」


リナザール騎士学校女教師、ファルザンは驚嘆していた。歴史上5人目の怪物を


「そうじゃな。ワシ以来かの?」


「そうですね。学園長以来かと。」


「フォッフォッフォ。それじゃあ、会議を始めるかの。」


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