第162話 旅立ちに向けて(2)
「ひゃあっ! ご、ごめんなさい、ユイトさんっ!」
と
取り
俺はゆっくりと立ち上がり、
やはり、俺の成長と彼女の成長は
子供の姿となったエーテリアが心配そうに、こちらを見ていたので、
「
と
「じゃあ、自分が死んだ事は理解しているのですね」
そう言ってエーテリアは俺に詰め
俺は
まったく、もうっ!――と
だが、すぐに肩を落とした。
(一度、ここに来る前の出来事を冷静に考えてみるか……)
グラナとの契約の後、大男たちの
次にエーテリアに頼んで雨を降らせてもらった。
砂を掛けて消す事も出来るが、その方が早いだろう。
折角、雲を広げてもらったのだ。使わない手はない。
燃えた竹林や
天の
大男たちの部隊は、装備が
そんな男たちが飛び
見ていて面白い光景ではなかったため、俺は早々に退散することにした。
都市へ戻る途中、女剣士の部隊が堀の
巨人の最後を確認していたようだ。
「見事だったな」
と俺が
どうやら、彼女の旅の目的の一つが果たされた事による感謝のようだ。
こちらとしても利があってやった事なので、お互い様なのだが――
(ここは恩を着せておこう……)
と俺は考えた。また今後の方針については、後でゆっくりと話しを聞く約束をする。獣型の巨人は完全に息の根が
兵士たちにも家族がいるだろう。
「まずは都市に戻って、皆の無事を伝えるべきじゃないのか?」
と俺は告げる。女剣士も――そんな俺の言葉に――納得したようだ。
「そうだな」
と同意した後、部下たちを連れて都市へと戻って行った。俺もミヒルとイスカに会いに行くべきなのだろうが、今回の
(色々な所に顔を出した方がいいだろう……)
そう考え、彼女たちが避難している神殿へ行くのは後回しにした。
まずは城壁にいる兵士たちの様子を確認する。
分かってはいたが、
雨の中、元気なモノだ。
俺は大男たちを迎えに行くように指示を出した。
向こうは裸なので、ちゃんと服を持って行くように付け加える。
その後、青年狩人を探す。
皆と距離を取るように物見台の上に座って休んでいた。
彼らしいと言えるが、こんな時くらい、浮かれてもいい気がする。
(まあ、俺が言える立場じゃないのだが……)
軽く二言三言、社交辞令程度の会話を交わす。
もう少し周囲を警戒しておくとの事だった。
優秀である分、
俺は最後に老戦士と神殿長の
取り
無いのなら
(後は……)
俺が敵の本拠地となっていた――老戦士たちの故郷である――『オルガラント』へ向かう事を告げると、
「待ってくれ」
と老戦士。
いや、老戦士だけではない。
神殿長を含む、その場の全員が一斉に同じ仕草をした。
これではまるで、俺が王族のようだ。
社畜人生を送ってきたため、
つい、顔が
(ここは
今の俺は救世主である。
「
そんなお約束の言葉を告げると、
正直、
しかし、皆は絶望の中、生き残ったのだ。
それぞれに思う事があるのだろう。
ただ、これ以上、ここに
年寄りの話が長いのも事実だ。
俺は「後の事は任せた」と告げ、『アレナリース』を後にする。
ただ、
俺は『オルガラント』の破壊された門の代わりに
また、
これで老戦士たちが街へ戻ってきたとしても、
結局、俺が『アレナリース』へ戻ったのは、夜中だった。
そのまま、馬車に戻って寝ようとしたのだが――
(記憶がない?)
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