第130話 巨人殺し(3)
「ニャー♪」
ご主人は
だが、俺としては複雑な気分だ。
レベルを考えると
明らかに
(もしくはエーテリアだな……)
感情や妄想力が影響を与えている――というのとは違うようだ。
やはり俺の持つ、地球での
それを引き出しているのが『女神の加護』という可能性は高い。
だが、それを俺に与えた彼女自身は無意識なのだろう。
でなければ説明してくれるハズだ。俺が、この異世界に対応できるように『世界全体が
(世界の
守ることの出来た命もある。
俺は足元でニャンニャンはしゃぐミヒルの頭を
仮に【概念武装】と名付けておこう。
横文字にするとビジネス用語みたくなりそうなので、今はこれでいい。
しかし、俺のレベル30に対して、
普通に考えて、俺が勝つのはおかしいのだが――
(どうやら、レベル差を
俺は
巨大スライムの時のように、全体が消失するまでには時間が掛りそうだ。
(内2体は失明しているが……)
すぐに俺たちの
さて、誰にも知られないまま
確か学校の教育――国語の教科書には――自己主張を
逆に自分を主張することなく、黙々と善行を積むような物語が多く
昔は『公民』という授業があったらしいが、俺は受けた事がない。
『現代社会』の授業がソレに近いのだろうか?
中学生くらいでやるような内容の気もするが、初めて受けたのは高校の時だ。
恐らく、
記憶を
本来なら、社会との関係を学ぶための教科なのだが――
(
憲法で言論の自由が保障されている日本だが、実際に教育で力を入れていたのは『その点』だろう。
学力の低下を理由に『話す』『聞く』といった能力は軽視されている。
道徳教育や人格教育の徹底によって『大人にとって都合のいい、人格の
自己主張する能力を子供たちから奪った。結果、ブラック校則が生まれた事から、教育する側にも問題があったのは確かだろう。
とある研究によると、自己主張ができるようになる事で、他者への攻撃性が下がるそうだ。
思い当たるのは老人だろうか?
会社勤めの頃、駅で声を上げている姿を見た事がある。
まあ、歳を取ると前頭葉の機能低下で感情が
『承認欲求』については「他者と同等でありたい」「他者より劣っていたい」という欲求も含まれるようなので異なるようだ。
(
歴史から見ると1960年代の後半には学生運動もあった。
不良漫画が
喫茶店やゲームセンターは不良の溜り場だ。このような経緯から『生徒を
250年ほど前までは
そんな日本でも2020年には『主体的・対話的で深い学び』を柱とする新学習指導要領が――段階的にだが――導入された。
18歳からは選挙権も与えられている。
2022年度には『公共』という科目が高校の授業でスタートしたらしい。
(これからの日本が良くなる事に期待しよう……)
そもそも、人は環境に左右される生き物だ。
教育によって俺たちの世代は『受け身の立場』となっていったのかもしれない。
『偏差値』も日本特有の基準らしい。そのため『創造性』や『個性』をどう伸ばすかよりも『ひとつでも多くの公式を覚えろ』と教師たちは考えるのだろう。
日本人は謙虚な国民だ――とも言われるが、それは自信が無いとも取れる。
情熱を持つと無駄に暑苦しいと言われ、人前で夢を語れば笑われる。
いつしか個性のない、周囲に合わせるだけの人間になってしまった。
確かに『大人になる』という事は、そういう事だ。
だが、それは「自分はこういう人間だ」という自信や「変化を起こす」という情熱を失ってしまったとも言える。
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