第120話 砂漠の夜戦(2)
夜が来て、本来なら皆が寝静まっているハズの時間だ。
だが今日に限っては、都市の内部で作業が続いていた。
どうせ見張りのため、多めの明り使用する。
まあ、スライム粘土を作り、日干し
そう難しい作業ではない。目的の数を作りたかったのだろう。
(
涼しい夜に動いた方が、効率がいいのかもしれない。
見張りの兵も交代して『寝ずの番』を行ったのだが、その日は
敵が来たのは、その翌日の夜だ。
日中の作業で城壁もほぼ完成し、物見台も作りかけではあるが、外側だけなら問題ない状態まで形を整えた。
並みの
罠と言っても、香辛料の入った袋を――獣が通りそうな場所に――ぶら下げておいたに過ぎない。
完全にダークウルフ対策である。
しかし、その
更に日も沈んだ夜。ダークウルフがきたのだろう。
香辛料の
キャンッ! キャンッ!――と変な声が響く。
大きいオオカミといっても、
(弱点は変わらないらしいな……)
ただ、一匹だけで来ているとは思えない。
オオカミの特性を持つのであれば、
なので、複数の
問題は、この暗闇の中――
(隠れているダークウルフをどうやって見付けるかだが……)
要は香辛料が拡散すればいいので――風向きを考え――木に当てる形で香辛料の入った小袋を発射する。
俺が使用することでスリングショットの勢いは増すようだ。
木に当たっただけなのに――パンッ!――と音を立てて小袋が
思いの
攻勢に打って出るべきだろう。
念のため、弓隊を準備させるが発射はさせない。
まだ、ダークウルフの数も分からない状態だ。当たるかどうかも分からない矢を
俺は竹の束を準備させ、状況を見て、火を点けて投下するように指示する。
今、俺が守っているのは都市の正面だ。西側は青年狩人が担当している。
向こうでも動きがあったらしく、殺気立つような気配を感じた。
俺は城壁の上から〈スカイウォーク〉で移動すると、上空から石を
いや、この場合――
(爆撃になるのだろうか?)
複数の小石を鳴き声のする方へと放ったのだが、散弾銃さながら――いや、この場合はガトリング砲だろうか?――の威力だった。
ダークウルフたちが砂と一緒に宙を舞う。
このまま続ければ勝てそうだ。
だが、それでは折角の明かりも、消えてしまうだろう。
植えた作物がダメになってしまうのも
仕方なく、香辛料爆弾を広範囲に広がるように
奴らは闇に
俺も暗視を持ってはいるが、上手く視認することができない。
オルガラントの街では苦労せずに倒せたが、本来は夜襲を得意とする
上手く逃げ回っているらしい。今回のように連携の取れた動きをされていたら、いくらレベルが高くても危なかった。
倒すのは
俺は
兵士たちは理解したようで、城壁の上でグルグルと松明が回った。
次に俺は武器を竹槍へと持ち替え、それをダークウルフ目掛けて投げる。
正直、
取り
城壁の上にいる兵士たちは、火の
パチパチと燃えていたソレは大きな音を立て――パンッ!――と弾けた。
明りと音で
この暗闇では、矢を
面倒ではあるが、俺が確実に仕留めていった方がいい。
1時間くらい戦ったと思ったが、10分程度しか
夜の戦いは思ったよりも、精神が
ずっと聞こえていたクシャミが消えたので、逃げたと考えるべきだろう。
兵士たちは緊張の
俺としては犠牲者も出さずに
素早く、青年狩人の方へ移動するが、同様に撃退した後だったようだ。
彼の射撃の腕も
恐らく、これ以上の攻撃は――
(今夜はないだろう……)
だが、油断はしないように警備は続けてもらう。
俺は『逃げた』と
情報を持って帰る程、賢いとは思えないが『
行先はオアシスだ。ダークウルフも動物であることに変わりはない。
香辛料爆弾をくらって――
(そのまま、
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