第87話 老害はそこにいる(2)
『
(この街の人間を
俺はそう考えた。正直なところ『街の人たちを逃がすのも手だ』と思っていたのだが、どうやら一部の人間たちは『ここを死に場所にする』と決めているようだ。
戦える人間はそれでいいのかもしれないが、
また『
そうなると怪我人が出る可能性も高い。
これから
今回の〈神器選定の儀〉が最後になると思い、上の連中は民衆と
自分たちが選んだ人間が〈神器選定の儀〉に失敗すれば、その責任や失望の矛先は神殿や上流階級へ向けられる。下手をすると暴動が起きかねない。
上層部は
恐らく、暴動が起きた場合――
(今の上層部にはソレを
神殿側の人間は――自分たちが選んだ人間が失敗するより、民衆が選んだ人間が失敗する方がダメージは少ない――そう考えたようだ。
一見『民衆に選ばせる』という
皆で決めた事なので
そんな空気に持って行く事は可能なのかもしれない。
だが、俺から言わせれば――
(思考停止に近い……)
恐らく、上層部の連中は最初から
戦いは勇気のある者に任せ、自分たちは
そして、新天地で『また
今まで見てきた都市がそうであったように、敵は神殿を
神々の
それに今のままの
(結局、
ブラック企業に限った話ではないが、会社の役員が行き成りフロアの掃除やボランティア活動に目覚める事があるそうだ。
当然、下の人間たちは、それに付き合わないワケにはいかない。
管理職としては――部下を巻き込まないで欲しい――といった所だろう。
しかし、役員の老害を
動物は基本的に、生殖機能がなくなれば寿命が
だが、人間は長生きをする。これは年齢を重ねた事で得た経験を後世に伝えることで『子孫を
分かっているとは思うが、現代の日本には当て
令和の始め『○○警察』と呼ばれるような人たちが居た事が、いい
基本的に近寄らないようにするしかない。
(まあ、俺がいたブラック企業の場合……)
「判断するのが早い!」「3年は働け!」と言われる事の方が問題だった。
高齢者の場合は『
言葉の意味は「今、
この他にも洗脳の言葉としては「仕事をなめるな!」「仕事を楽しんでやれ!」「仕事に遣り
(「仕事を一回で覚えろ!」というのもあったな……)
単純な仕事ならまだしも、仕事の意味を理解していないと難しい。
だが「
結局は「前にも言ったよね?」「そん事も出来ないの?」と嫌味を言われてしまう。昭和上司の半分はパワハラで出来ているらしい。
遣り方が決まっている仕事なら『手順書』や『チェックリスト』を用意しておくべきだし、新人相手なら作らせることで勉強になるだろう。
仕事に対する苦手意識を植え付けて、
当時はそれで良かったのだろう。
だが、PCや携帯電話が普及した時代――昭和みたいに――仕事は単純ではないのだ。現代は更にリモートワークやスマホが普及している。
会社を
(自分の価値は自分が決める!)
と言い切る事が出来ればいいのだが、中々そうもいかない。
世の中には『物差し』が存在する。
学歴、年収、会社、友達の数など、世の中の『物差し』を意識しまうと、自分の評価が低い事が分かってしまう。
大抵の人間は『自分は認められていない』と感じて、心を
誰だって最初は『誰かの役に立ちたい』と思っていたハズだ。
『頑張れば出来る』と自分を信じたハズだ。
そこに老害も新人も関係ない。
人は
俺はミヒルのステータス画面を操作しながら、そんな事を考えた。
「ニャニャ?」
彼女の中で変化があったのだろう。
種族レベルは10へと上がっていたので、種族
本来なら将来を考えて、
だが、今は
ミリアムの時と同様に身体能力を中心に強化してみた。
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