第80話 社畜の帰還(3)
俺は
『竜殺花の種』が
昨日までは植物の根が
そのため、
祭壇とはいっても小さなモノではない。
石で作られた
本来は布が敷かれ、花や果実などが供えられているのだろう。
現状は『
掃除が終わったばかりで、壁の明り以外、
俺は、その
見世物になった気分だが、仕方がない。ただ俺にとって、祭壇といえば『神様や死者へ、供物を捧げる場所』といった
座るのは違う気もするが――
(これでは、まるで
終わるまで、余計な事は考えずに大人しくしていよう。
「任せておいてください♪」
とエーテリア。俺の
こういう時の彼女は経験上、余計な事しかしない。
取り
しかし、俺が声を掛ける間もなく、エーテリアは浄化の光を放つ。
その場の全員がどよめく。こちらは面倒を起こしたくはないのに――
(まったく、余計な事をしてくれる……)
ただの光ではなく、女神の放つ光だ。
掃除をしたばかりだというのに、更に綺麗になってしまった。
まるで新品同様だ。そして――
「おおっ、ガハムの言っていたことは本当だったのか!」
「この光は、まさに神の力……」
「我々は見捨てられてはいなかったのだ!」
「救世主様!」
次々に勝手なことを言い始める。
そして、ミリアムは
エーテリアは腰に手を当て「エヘン!」と得意気に胸を張った。
これでは『生き神』だ。
(変な宗教が始まると困るな……)
だが、訂正するのも面倒なので、
「今、天空の女神様より、神託が下った」
と言って俺は立ち上がる。
取り
こんな事になるのなら、芝居の勉強でもしておけば良かったかもしれない。
会社を
いや、後悔しても遅い。ここは必要最低限の言葉だけで対応しよう。
「【終末の予言】を
との事だ――そう言って、俺は祭壇から降りた。
皆がしんと静まり返ったため、急に
まあ、伝えた言葉も、エーテリアの意図としては間違っていないだろう。
それに、あまり口数が多くなると
(
俺を見る
一方で、彼らは大人しいままである。
どうやら、俺の発言を待っているらしい。
取り
『指示は1つ、多くても3つまで』だっただろうか?
(優先順位をつけて話すことも意識しなくては……)
いや、ここは会社じゃない。
「頭を上げろ、立って構わない」
そう告げた後、代表者を出してもらい、話し合いを始めた。
重要なのは
【終末の予言】の内容から、あの都市の
それでも、今の人類が
遣り方は任せるとして、現状では、それで十分だろう。
彼らはヤル気のようだが、食糧不足も気になる。
まだ戦う時ではなない。
そのため、戦闘は
また、次に来る時は食糧を持ってくることを約束した。
ここに居るのは戦士だけのようだが、別の場所に家族がいるハズだ。
多めに必要だろう。移転用の〈ワープ〉のポイントは祭壇に設置しておく。
これで、いつでも『竜の
(
想定はしていたが、砂漠の都市『アレナリース』へ出立してしまったようだ。
馬車の修理も終わったのだろう。
食糧もないため、いつまでも滞在しているワケにもいかない。
俺も『アレナリース』を目指すことにした。
(いや、水を補給してからの方がいいか……)
いつものように水を
砂漠の移動にも、だいぶ
降り注ぐような太陽の日差し。
最初は厄介でしかないと思っていたのだが、砂丘に当たる事で風を生み出すようだ。日の当たる面と当たらない面が出来ることで温度差が生まれる。
対流が起こり、風が発生する仕組みらしい。
竜巻が発生する――という話は聞いていたが、
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