第72話 人間族の能力(2)
〈ホーリーウォーク〉――歩いた場所を聖域とする
つまり条件を満たすことで一定時間、結界のようなモノを張れるらしい。
(神への信仰心が、その結界の強さに比例するのか……)
「はい、つまり私への『愛』です♡」
とエーテリア。つまり
てっきり『
(どうやら、俺は『愛』を
ある意味『
習得しない――という選択肢は『逃げたこと』になるのだろう。
『逃げるは
自分の得意分野で戦え――と解釈するといいのだろうか?
だが、ここで逃げると後々、面倒なことになるのは目に見えていた。
今は浮かれているようだが『女心と秋の空』とは、よく言ったモノだ。
同様の意味を持つ
『女心は南風』(
『風と女と運命は月のように変わる』(
まさに自然現象だ。
それ以外にも、
それは異世界でも、神様でも一緒だろう。
ましてや、エーテリアとは今後も長い付き合いになる。
社会人なら分かるだろうが、人生は積み重ねだ。
(ここは慎重に考えるべきかもしれない……)
聞いた話によると『子供が生まれても、子育てを手伝わなかった場合』それが一生、
「ハ? オマエ、子供と家に
仕事で疲れてんだよ――などと言われた日には、夫婦の関係に亀裂が生じるだろう。昭和も後半になると、核家族世帯の割合が高くなった。
熟年離婚が増加するのも
今は『イクメン』という言葉があるが、共働きが多い時代だ。
協力するのは普通のことだろう。
子供をいい大学へ行かせたいのであれば、年収1千万でも
子育て世代に消費税を直撃させて『子供・子育て支援』と言っているワケの分からない国も世界には存在するようだ。まさしく、異次元の政策である。
近代以前の社会は――たくさん産んで、たくさん死ぬ――多産多死の世代再生産によって成り立っていた。子供を産むのは働き手でもあったからだ。
先進国で少子化が起こるのは、子供に手を掛けるからだろう。
確か、厚生労働省も『イクメンプロジェクト』を推進していた。
子育てを楽しみ、自分自身も成長する男性のことを『イクメン』と定義しているらしいのだが、そう甘いモノではないようだ。
他人が見ている時だけ、子供をあやすような自称イクメンもいるらしい。
『イクメン気取りの夫』というヤツだ。
家に
例えば、外出した時だけ、子供を
休日、子供と出掛けた際、そういう目で見られそうなので、普通のお父さんたちには迷惑な話である。
他にも『知人が家に来た時だけ、子供をあやすフリをする』『子供をお風呂に入れたことがないクセに「子供の面倒を見るのは大変ですよ」と語る』など、子育てをする自分に酔っているそうだ。
当然、真実を知っている妻はイライラするだろう。少し考えれば分かるハズなのだが、そんなことをしていては、将来どうなるのか目に見えている。
「イクメンの旦那さんで
と
(どうやら、俺に断る選択肢はないらしい……)
ここは考え方を変えることにしよう。
現状、俺は魔法攻撃を使えない。
敵に物理攻撃が効かない場合も、想定しておいた方が良さそうだ。
いざという時に
問題は結界の力が弱かった時の言い訳だが――
(それは『その時』考えよう……)
イクメンの意味も『育児と家事が出来て、高収入の男性』に変わったと聞く。
たぶんソレは普通のサラリーマンだと無理だろう。
相応の支援や制度が必要である。
要するに、個人の力だけでは『どうにもならない事がある』という事だ。
取り
俺が〈ホーリーウォーク〉を習得するとエーテリアは、
「ウフフ♡」
と嬉しそうに
(使うのが怖いな……)
一方でミリアムは、どんどん先へと進んで行く。
最初に見た
(逆に不気味だ……)
不意に立ち止まる。手には汗を
急に不安になったようで――振り返り――俺へと向けた、その目は「どうしよう」と
「先頭は俺が歩く」
そう言って、俺は彼女の前に出た。道とは言えない道が続いていたが
「戻ってもいいぞ」
とミリアムに伝えたのだが、フルフルと首を左右に振った。
彼女としても、真相を確かめたいのだろう。
付いてくる気のようだ。
俺は少しの間、考えた後、彼女を
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