第70話 竜殺花(4)
『樹炎鉱』を使うことで
下手をすると、この
『
しかし、今後の展開を考えると急ぐ必要があった。俺はグガルとダタンへ、遺跡から運び出した
力仕事に向かないミリアムには、火を
まずは遺跡から伸びた植物の根以外の部分を斧で切断するためだ。『樹炎鉱』を使えば一掃できるのだろうが、それだけ多くの毒煙が発生してしまう。
そのため『可能な限り、植物を切除しておくべきだ』と考えた。
生木は燃え
眠りの効果があったのは花粉だけのようだ。
燃やした際の煙や灰には、問題がなかった。
咲いている赤い花も、出来るだけ
少しは大気に舞っている花粉の量も減るだろう。
運び出した
まだフラフラしている。
ミリアムたちに状況を説明してもらったのだが『樹炎鉱』の使用には「反対だ」と言われてしまう。
(当然、そうなるだろう……)
グガルとダタンは若い世代であるため、彼らとは考え方が異なるようだ。
まあ、一番の理由は、発案者である俺が子供だからだろう。
ミリアムたちとは違い、彼らは俺の能力を
『
それに先祖代々守ってきた土地でもある。先代より意志を
また、発生する毒により、周囲の生態系にも悪影響を与える。
だからこそ【
ただ、彼らにとって残念だったのは、俺が急いでいた事だ。
代案がない人間ほど、権威を
「若い奴らは苦労をすることを知らない。すぐに安易な方法をとろうとする……」
オレが若い頃は――と
使うべきは知識であり、現状維持は悪手でしかない。
彼らは
正直、今まで戦ってきた
時間が
てっきり
どうやら、手加減に失敗したらしい。遣り過ぎてしまったが――
(たぶん大丈夫だろう……)
まあ、巨大スライムや巨大サンドワームを倒せる俺が異常なのだろう。
残りの連中にも、かかってくるよう挑発し、
背後に回り込んで
盗賊といっても、俺の
体調が万全ではない事もあり、全員伸びてしまった。
実力差を知っていたためか、ミリアムたちが額に手を当て、やれやれと首を左右に振る。
取り
エーテリアも完全に
分かっていれば、遺跡から運び出した際に気が付いただろう。
彼女の話によると――
「思念のようなモノが残っていますね」
という事だった。
ただ、エーテリアが手を
(第三者である
俺の見立てでは――ここで
地球と同じく星が自転しているのであれば、西から東へと大気は移動する。
例えば
足となる馬や
つまり、逃げることに制限が掛かる。
また、
一方でアンデッドには休息の必要がない。
街や村が消えるのは時間の問題だ。
暴れられても面倒なので、
俺は
早速『樹炎鉱』を使うのだが、適切な量が分からない。まずは各部屋を回り、少量の『樹炎鉱』を
すると、見る見るうちに黒ずみ、炭化して行く。『樹炎鉱』を埋め込んだ周囲が赤く光っていたが、炎が燃え上がることはなかった。
少量でも、かなりの範囲に効果があるようだ。
だが、毒の煙が発生するため、一度に炭化させるのは危険だろう。
スライムの時と同様、少しずつ対応することにした。
休憩を入れ、外への影響も確認する。
黒煙は上へと
すぐに終わらせるつもりだったが――
(これは時間が掛かりそうだ……)
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