第64話 竜の揺り籠(2)
「は、早いーっ!」
とミリアム。ミヒルは喜んでいたのだが、どうやら
まあ、これが普通の反応なのだろう。
相変わらず、グガルとダタンの方は
(いや、必死に
俺は砂漠へ出ると、即席で用意してもらった『
今はロープで引っ張り、三人の乗った
重たい荷物を運んで歩くための
そのため、この程度の重量なら問題なく運ぶことが出来るようになっていた。
『人力車』のようなモノだろうか?
いや――
上昇と下降を繰り返すので『人力車』というよりは『ジェットコースター』に近いのかもしれない。
当然、シートベルトはない。
だが、落ちても周りは砂だ。怪我はしないだろう。
安全バーは『乗客が立ち上がるのを防止するためのモノ』らしいので、今回は必要ない。
アレは人間を
そのサンドワームも俺が倒したので、安全といえるだろう。
いや、ミリアムたちは
しかし、急いで仲間たちの
彼女たちの案内に
正直、砂漠など、
(彼女たちにとっては、庭みたいなモノらしい……)
『盗賊のアジト』は入り組んだ岩場の奥にあるようだ。奥を
天然の迷路になっていて、ミリアムの話によると、奥には水場と遺跡が存在するそうだ。
早速、道案内の続きを頼みたかったのだが、ミリアムたちは
この様子では、回復まで時間が掛かりそうだ。
『盗賊のアジト』ということで、罠があるかもしれない。
俺は彼女たちの回復を待つことにする。
一応、
(迷い込ませるための罠か……)
走り
恐らく、あの脚力を使って、岩の上を移動するのが正解だろう。
俺は〈スカイウォーク〉を使用すると、上空へと移動する。
(なるほど……)
入り組んだ岩場の向こうに遺跡が見えた。
木々で
水場があるのは確かなようで、植物が
いや、この場合、違和感と言うべきかもしれない。
(生き物の気配が感じられない……)
都会の
当然、葉が多いほど、音をたくさん吸収する。
日本でも、空港では防音林を整備していると聞く。
だが、ここは砂漠にある限られた水場。風に
(自然界では「ゆらぎ」といっただろうか?)
心理的な安心感を与えてくれるヒーリングミュージックは、この「ゆらぎ」を応用して作られていることが多い。
音を『
また、世の中には『無音恐怖症』という症状もあるようだ。
静かな場所だと『かえって落ち着かない』という事もある。
確かに、音が程よくゆらいでいると、心地良くなるモノだ。
電車で眠くなるもの、振動と音が関係しているのだろう。
リラックス効果や集中力を高めるのも、また『ノイズ』ということらしい。
俺はミリアムたちの
彼女たちの話から、
恐らく、
グガルとダタンの二人には、ここ待機してもらい、ミリアムに案内を頼む。一緒に連れて行っても『被害者が増えるだけだ』というのは彼女との共通認識らしい。
ミリアムは二つ返事で了承すると、立ち上がる。
まだ、フラフラしているようだが、小さな笛を取り出す。
その笛を鳴らすと――ピィーッ!――と周囲に音が響く。
鳥の鳴き声に似ている。離れた場所から足音が近づいてきた。
昨日、彼女が乗っていた個体のようだ。
無事にアジトへと戻っていたらしい。
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