第63話 竜の揺り籠(1)
ミリアムの頼みは
具合の悪くなった仲間を安全な場所へと移動させたいらしい。
それを『手伝って欲しい』というのだ。
彼女たちだけでは、仲間を運ぶことが出来ないのだろう。
(確かに、俺向きの依頼ではある……)
だが、彼らに行く場所はあるのだろうか? こういっては
他の土地へ
かといって【終末の予言】の日も近づいている。
周辺の街は
自然と盗賊稼業は廃業となるだろう。職業といっていいのかは
思い付かないワケではないが――
(いつも通り『俺が頑張るしかない』ようだ……)
だから『
エーテリアは空中を
俺の考えていることを百パーセント理解しているワケではないハズだ。
だが、どうにも
ブラック企業にいたためか、俺は他人から期待されることに
よって、あまり過大評価をしないで欲しいのだが、ある意味――
これは仕事でも一緒だ。
「出発は少し待ってくれ……」
『
道具を渡し、俺は一人、谷底へと向かった。
切り立った崖のような場所を垂直に歩いて行く。
これが最短ルートだろう。
毒ガスに備え、
サンドワームの
俺は魔結晶を手に入れる。
現状、使い道は
少し思う所があり、昨夜見付けた坑道へと向かう。
エーテリアに【光】魔法で照らしてもらい、息を
それっぽい石を
毒によるダメージを少し受けたらしい。
ステータスに異常は見付からなかったが、念のため、エーテリアに浄化魔法を使ってもらう。俺は〈アイテムボックス〉を確認する。
『水銀鉱石』などの鉱物毒もあるので「もしかして?」と思ったが当たりのようだ。『
毒ガスではなく、毒性のある鉱物を掘り出してしまい、そうとは知らずに周辺へと捨てていたのだろう。『樹炎鉱』と表示されている。
ウランみたく有害な放射線を出すタイプだったらお手上げだったが、どうやら違ったらしく、安心する。
説明によると、植物が『樹炎鉱』を取り込むと、燃え上がり炭化するらしい。
その際、生成される煙と炭が動物にとって毒となるようだ。
つまり『樹炎鉱』が、この『
キノコが生えている場所やコケが生えている岩は安全なのだろう。
タネが分かれば、後は簡単だ。
俺は
念のため、集落のあった場所に〈ワープ〉のポイントを設置しておく。
便利ではあるが、
人々から認知されている必要があるようだ。
街やダンジョンなど、固有名称で呼ばれている場所でなければならないのだろう。
人の持つ『言葉の力』というモノだろうか?
興味があるので、もう少し谷底を調べたい所なのだが――
(ミリアムたちが心配すると行けない……)
俺は急ぎ、地上へと戻る。
ミリアムたちは、いつでも旅立てるように準備を済ませ、待機していた。
早く仲間の
逆に言えば『それだけ俺に期待している』という事なのだろう。
他の盗賊たちからも信頼を得られるように頑張らなければいけない。
「サンドワームは消滅していた……」
もう砂漠に出現することはない――俺の言葉に三人は
「遅かったみたいだけど……」
俺を
グガルとダタンの二人は
「すまない、秘密兵器を準備していた」
俺は謝りつつ、植物の件は
ただ、ミリアムには伝わらなかったのか、首を
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