第62話 頭目の娘(4)
カラン――という音に反応して、目が覚める。
即席で作った仕掛けだが、上手く機能したようだ。
横になって寝ても良かったのだが――経験上、それだと――すぐには起きられないことは分かっていた。
周囲はまだ暗いままだ。しかし、
「エーテリア……」
俺が小声で
果たして、女神に睡眠が必要なのかは分からない。
その様子は、まるでミヒルみたいだ。
まだ眠たそうに
俺以外には聞こえないからといって、マイペースな女神様だ。
(
俺は周囲を見回したが、特に異変はなかったようだ。
やはり『
逆に興味が
まずは柔軟が必要なようだ。
エーテリアに結界を解除してもらい、俺は適当にストレッチを始める。
まずは朝食を作って、ミリアムの話を聞こう。
(だが、その前に……)
俺はエーテリアにお願いして、浄化の魔法を使ってもらい、サッパリとする。
便利なので、いつか習得したいモノだ。
気が付くと、空の色に
もうすぐ、日が昇るのだろう。
再び、
夜の
根菜を中心に切り、野菜を鍋へと投入しつつ、俺は三人組へ視線を向けた。
日は昇ったのだが、起きる気配はないようだ。
昨日は夜だったので分からなかったが、ミリアムの髪は綺麗な金色をしている。
整った顔立ちといい、いい所のお嬢様なのだろうか?
そもそも、
イスカたちの顔とは、明らかに作りが違う。
いや、日本人である俺も
(起きたら、色々と聞いてみよう……)
どうにも、複数の場所で発生している事件が連携している気がする。
事件を一つ解決しても『焼け石に水』のようだ。
データを集め、多角的に分析する必要がある。
偶然ではあったが、彼女たちとの出会いは、突破口になるかもしれない。
俺はグツグツと煮立った
正直、現代人の俺には硬くて、こうでもしないと食べられない。
ミヒルは「オイ、シー、ニャ」と言っていたが、俺からすると薄味だ。
味わうよりも、
芋を入れてみたので『肉じゃが』みたくなっている。
昨夜は『消化にいいモノを』ということで、細かく切った葉物野菜を中心にしてみたが、これなら腹も
肝心の芋に火が通ったみたいなので、一旦、鍋を
一度、冷ますことで味が
まるで、料理が完成するのを待っていたかのようだ。
「目が覚めたようだな……」
取り
また「口をすすぐといい」そう言って、
かなり多めに持ってきた水と食糧だが、もうそろそろ、無くなりつつある。
リディエスに戻って集めたい所だ。あの周辺には森も近い。
いや、海の方がいいだろうか?
(ミヒルは魚の方が喜びそうだ……)
俺はスコップを持って、離れた場所へ移動した。
要はトイレだ。穴を掘り、用を足すと土を
よくよく考えたら、すぐそこは墓地だった。
罰当たりだったのかもしれない。
俺は三人にもスコップを貸す。ミリアムは嫌がるのかと思ったが、平気なようだ。
下を脱がなくても、器用に
(なるほど……)
男なので立ったまま出来るため、あまり気にしていなかったが、俺が着ている民族衣装も、
俺が食器に料理をよそっていると、タオルで手を拭きつつ、三人が戻って来る。
万全とは行かないが、体調の方は
「よく眠れたか?」
その問いに、三人は
すっかり信用されたようだ。
朝食を食べながら、お互いに
どうやら、ミリアムは捨て子だったらしい。
盗賊団の頭目に拾われ『娘として育てられた』と教えてくれる。
しかし、今はその頭目もいない。
異常発生した度重なる
『マリシャスの首飾り』は形見ということになる。
また、その要因として、奇妙な植物の存在があった。
見たことのない植物が盗賊たちのアジトの周辺で見られるようになったのだ。
どうにも、その花が咲くと同時に仲間が体調を崩し始めたらしい。
話しから推測するとミリアムと
恐らく、
砂漠から移動をしようにも運悪くサンドワームと出くわしてしまった。
狙いは『マリシャスの首飾り』だったのだろう。
それがなければ、大量の
俺が告げると、ミリアムは少し考え込んだが、
「いや、それでも、父上は捨てなかったと思う」
と答えた。大量の
砂漠を縄張りにする盗賊の頭目にとって、その強さは必要なモノのようだ。
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