第28話 序盤の雑魚(2)
「名前は『ミヒル』というのか……」
ゆっくり食べろ――と助けた女の子に俺は告げる。
目に付いた適当な民家に入り、台所を
火を
パンは
残っていた水も
クルトンみたくはならなかったが、香ばしい
ミヒルが食事をしている間に色々と
(余程、怖い目にあったのだろう……)
俺は感知系の『
子供なので、そう多くは食べないらしい。食事が終わると、お腹がいっぱいになったのか、ミヒルは座ったまま眠りに
子供だからなのか、猫に近い『
急に電池が切れたようになる。
取り
俺はこの
(シーツやクッションがあれば
一通り見て回ったが、やはり荒らされてはいならしい。
家具はあるのだが、
空っぽの棚が多く、物がなくなっている事が分かった。
ゴブリンの可能性もあるが、奴らだったら家の中を荒らすだろう。
盗人の
他の家も見てみないと断言は出来ないが、恐らく――物を持ち出して――街の住民が逃げた後ようだ。
つまりは『逃げ出す準備をする時間があり』『この街へはもう帰ってこない』という事なのだろう。
【終末の予言】により砂漠の街が、大量の
逃げ出すには丁度いい
旅へは連れていけない老人や病人、身寄りのない子供も『人々が逃げ出すための身代わり』として残すのなら、良心の
現代の地球においても、平然と魔女狩りが行われている地域もある。
『持つ者』が『持たざる者』を切り捨てるのは、異世界でも変わらないようだ。
まずは街の門を閉じることにする。街を歩くことで様子を確認する意味もあった。
問題はまだ
逃げ出したのは一時的で、どうやら、また戻ってきているようだ。
よくよく考えると、
この街には
そこまで考えて――
(もしかして、魔結晶が原因か?)
人間にとっては
魔結晶が大きく、純度が高い程、多くの
つまり、この街に巨大な魔結晶を作り出し、
人間の拠点である街を一つ
俺は大きく
こういう事に気が付いてしまうから、上司に目を付けられるのだろう。
結局、古い連中は『組織の輪を乱されること』それを一番嫌う。例えば読書冊数――本離れについて――だが、00年代にはV字回復を
それでも『本離れが進行している』という情報をアップデート出来ない人間は未だにいるらしい。80~90年代の情報を引き
(まあ、あの世代の大人は
『大人が読ませたい本』と『子供が読みたい本』は違うに決まっている。
スマホを持っているので、文章など山ほど読んでいるだろう。
しかし、自分の考えにそぐわない物事に対して否定的な人間は一定数いる。
音楽もまた
対立を生むだけで、古い遣り方や自分の考え方を変えようとはしない。
本離れは進行し、子供は本を読まない――という事にしておきたいのだろう。
車に乗って、いい腕時計をしろ!――などと言い出す上司の相手は、もう
俺は『街に人がいない理由』をエーテリアに聞いてもらった。
基本、俺の言うことに対しては肯定的なので注意は必要だが、
ミヒルを残して行くワケにも行かないので、背負って連れて行くことにする。
エーテリアに手伝ってもらい、
今の彼女は『
ミヒルを完治させたのは、遣り過ぎのような気もするが、あまり突っ込まないでおこう。また、人を生き返すのは一部の例外を除いて
(その例外とやらは、俺なんだろうな……)
また、
一方で緊張の糸が切れたのか、ミヒルは一向に起きる気配がない。
むにゃむにゃと
不意にエーテリアと目があったので思わず、お互いに
大人の姿であったのなら、親子に見えたのかもしれない。
(いや、今は
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