第6話 女神と暮らした日々(1)
俺が畑で拾った半透明の女性。
外傷は見当たらなかったため、取り
呼吸はしているようなので、気を失っているだけのようだ。
部屋で寝かせ、意識が戻るのを待つことにする。
その間、情報収集を始めたのだが、この近隣に住む『誰かの知り合い』というワケではないようだ。
天然と
あどけなさが残る美人で、人間離れしたような外見。
それはまるで人形のようであり、絵画から抜け出てきたような美しさだった。
本来なら欲情するのが、男性としての正しい反応なのかもしれない。
だが『気味が悪い』という感覚の方が強かった。
この時点で俺は『異常なことが起こっている』と感じていたのだろう。
早い所『お引き取り願いたい』と思っていたのは確かだ。目立つ外見のため『すぐに素性は分かるだろう』と思ったのだが、目撃情報すらない。
他人の動向に興味津々といった田舎の住民の反応としては、
やはり、彼女は幽霊なのだろうか?
(彼女を認識できるのも、社畜だった頃の後遺症かもしれない……)
俺の頭はおかしいままのようだ――と少し悩んでしまう。
同時にその事が、
夕方には彼女が起きたので、事情を聴いてみる。
しかし、その時はまだ言葉が通じていないようだった。
『記憶喪失』というワケではないようだが、言葉も
ただ
『お腹がいっぱいになった』というより、安心したのだろう。
彼女は再び眠りに
(
俺は
食欲があるようなので、この様子なら回復も早いだろう。
そんな俺の予想通り、翌朝にはスッカリ元気になったようだ。
用意した朝食も綺麗に食べてくれた。こういうのは気分がいい。
相変わらず、言葉が通じないため、この状態で放り出すワケにもいかない。
取り
食事はとるのだが、風呂やトイレは不要――ということだ。
これを魔法と呼ばずして、
生き物と彼女が身につけているモノに対しては有効なようだ。
また、太陽の光や大地からエネルギーを得ている様子だったので――
(幽霊ではなく、精霊の類なのかもしれないな……)
などと
その事もあって、幽霊の件に対しては、そこまで
会社でも『いつ家に帰っているのか分からない』そんな社員も居たので、得体の知れない人物には
コミュニケーションを図ると、どうやら彼女には目的があるようだった。
困っている事は分かったので、
ブラック企業の社員にとって、ゾンビは付き物だ。
幽霊などは
それに料理や畑仕事を手伝ってくれるので、一緒にいると便利だった。
(俺もそろそろ、新しい仕事を探すか……)
一週間ほど
人間、
「ユイトさん、ご飯が出来ましたよ♪」
と
肝心の名前についてだが『エーテリア』というらしい。
異世界で『天空の女神』と呼ばれているようだ。
残念ながら、今の俺にその
最初は異国の言葉を話していたが、すっかり日本語を話せるようになっていた。
正直、異様な早さと言える。
料理も一人で作れるようになった事から、不器用というワケではないのだろう。
本来は病院へ連れて行ったり、警察へ届けたりするのだろうが――
(たぶん人間じゃないよな……)
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