画家の少女1
目が見えなくなったその日から私の世界は一変した。親の態度、兄弟の態度、周りの同情。全て疎ましくなる程に。
「働けない無能はこの家にはいらないんだけど。はぁ〜ったく誰の慈悲で置いてやってたんだか。感謝して欲しいわホントに!」
「確かにね兄さん!…あっ。ねぇ、今思いついたんだけど。コイツに大量に保険金かけて殺したらさ、マイナスになんてならないプラスの金が手に入るんだよね。どう?やってみない?」
聞こえていた私の暗殺計画。人がいる前で話す話では無い、だけど止める気力はもう今の私には微塵も残っていない。
「アハハッ!そしたら金も手に入るし邪魔者もいなくなる!いいね、やらない理由なんてないさ!」
双子の兄は私のことが嫌いらしい。両親は手に負えない双子の兄の顔色を毎日伺うばかり。味方は誰ひとりといないこの小さな箱の中で私は兄に殺される未来を待つ日々。とても退屈で愚かな日々。殺すならさっさと殺してくれればいいのに。心の奥底で思っていた本心は彼女に会うまでずっと隠していた。だってそんなこといったらもっと痛い目に合うから。
「……ってことでとりあえずセサルさんのとこ行ってくる〜。保険金をかけにね?いいよね?セリーナ。」
一応確認は取るのか。まぁ断っても無視するのだろうけど。
「……はい。お兄様。」
ーセリーナ・ナラサルカ
現代の最先端の絵を生み続けてきた画家。僅か13歳の時に双子の兄の手によって両目の視力を無くす。彼女の描いた絵は数十枚しか残っておらず,現在の値段で最低でも日本円で一億六千万にものぼるという。16歳の時にまたしても双子の兄の策略により死亡する。
ー〇〇〇〇サイトより抜粋
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます