閑話
レイが居なくなったときのはなし
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テンプレートそれは一種の筋書きである。これは私の自論だ。あの日、あの時。私はそのテンプレートを崩された。統率者としては有るまじきことだと今でも思う。いつも通りの仕事のはずだった。でも人が死ぬ日、仲間が死ぬ日、その日だけだいつも思うようにいかない日は。
「……クソッ、」
吐き捨てるようにしてでた暴言は風に乗ってきっと流されていく。もしかしたらあの子達のところにまで届くかもしれない。だとしたらごめんねライラちゃん。
「荒れてるねぇ、レイちゃん。ま、そういうところも好きだけど。」
「……あぁ、セーレさん。」
廊下の壁に寄りかかってどこかを見つめていたセーレさんが私を待っていた。そういえばさっきセーレさんが部屋を出る時に待っててって頼んだっけ。
「セーレでいいって言ってるのに。まぁいいけど。んで、俺にお願いって?」
ひとつ間を開ける。これはむちゃくちゃ大事なことだ。今から私がやることの意思表明、それに必要な「間」なのだから。今ならやっぱりやめると言うことも言える。けれども、私は絶対にやり遂げなければいけない。
『……だって、それは弔い合戦、だからね。』
「……?」
「私を、ーーーーーーに連れて行ってください。セーレさん。いつもの、私だけの、戦いをしにいきたんです。」
ニヤリとセーレさんは笑った。ウチの、カペナウムの人が死んだ時によく弔い合戦を1人でしにいくがその時に見る笑い顔。相変わらず悪役も似合うな、この人は。
「了解レイちゃん。君の願いとあらばどこへでも。」
その時、聞き取れない声でセーレさんはなにかを呟いていた。
「⋯この時のレイちゃんの目が俺は好きなんだよねぇ。闇を灯しているその目が見たいんだよ。」
「セーレさん?何か今いいました?」
「いや?なにも。」
そっか。と前を向くと自然と緊張の息がでた。
だってきっとこの時だけだから。あなた達のことを想うのは。ちゃんと思い起こすのは。過去は振り返ってはいけない。それがマスターのことば。私はマスターを裏切らない、裏切れない。マスターのことばは全てが命令。ならば従うのが筋、なんだけどこればかりは譲れない。故人を想う。これよりも大切なことってないでしょ?
「行こう、セーレさんのことだからもう準備してくれてるんでしょ?」
「勿論。」
「流石ですね、セーレさん。」
これは隼にも誰にも話すことがない私だけの戦いなのだ。涙無くして、記憶なくして、思い出なくしては闘うことができない私だけの弔い合戦。武器を手に取れ。銃を手にナイフを手に。血塗れになっても構わない。身体が傷ついも構わない。さぁ、さようならのお別れを始めようか。
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I will never forget you.
Your deaths will not have been in vain.
Because we all love it.
I'll see you in the not-too-distant future.
wait for me.
Just kill me.
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