わかれ5
ーー回想後すぐのはなし
俺は姐さんがなにを抱えているのか、なにをしようとしているのか、何を考えているのか。それは誰にも分からない。あの
そんなこんなでまだメインルームに向かって廊下を歩いていると姐さんの犬に出会った。
「あ、シュン。」
「あってなんだよ。なんか用か?ルツ。」
丁度いい所にシュンがきてくれた。少し聞きたいことがあるんだった。ラッキーすぎる。
「なぁシュン。お前って姐さんがなに考えてるかとかわかんないの?」
シュンは何言ってるんだこいつというような顔で口を開いた。
「はぁ?ンなの分かるわけねぇだろ。喜怒哀楽が激しいわけでもないアイツの考えてることなんかわかったらもはやそれはキモイの分類だろ。俺今年で10年くらい一緒にいるけど未だにアイツのこと全部わかるわけじゃねぇしな。知ってることなんて微々たることだけだ。好きな食べ物とか好きな武器種とかな。俺はアイツの過去をほとんど知らないし。だけどそれでよくね?少なくとも俺は信頼されてるし信頼してる。レイの命令ならなんでもやる。これでいいんだよ。」
まともなことを言っている…のが信じられなくて思わず口がポカンと開いてしまう。
「…ふーん。ま、でも長年いるシュンには姐さんはあげないよ。シュンはメリディアとくっつけばいい。俺は横から姐さんを貰うから。」
「っは。お前みたいなペーペーにはあげねぇよ。」
「………ねぇ、そこ邪魔なんだけど。道の真ん中は邪魔、やるなら隅でやれ発情期のガキども。」
気だるげに廊下のど真ん中に突っ立っているそれは俺の1番嫌いな女、鬼ババだ。
「あれアンタルツじゃん。あー丁度いい所にいた〜あたらしいフラスコ。20個作ってよ〜。」
鬼ババ、本当の名前はアンナ。俺が何時間もかけて作ったフラスコを実験が失敗したら全部ぶっ壊すクソ女だ。あぁ嫌い。物を大事にしろ!作るの大変なんだクソ鬼ババ!
「やなこった!おいシュン!俺は姐さん探しに行くから鬼ババのことよろしく頼んだからな!」
「えー…いや俺も嫌なんだけど、」
「知らん!また明日!」
「⋯ん?アタシの聞き間違えか?ルツの野郎アタシのこと鬼ババって呼んだ気が⋯」
「それ、気の所為じゃないぞ。つかアンナのこと毎度鬼ババって言ってるぞ。」
「ほぉー?次会ったらルツの野郎お仕置コース確定だな。」
「だってよ。ルツ!」
「あー聞こえない聞こえなーーい!」
シュンを犠牲に俺は姐さんを探す!だけど俺が次会ったら鬼ババに殺されそうだな!やばいヤバすぎる!
「あークソッ!姐さんどこにいんだよ!」
探し始めて早一時間。未だに姐さんは見つからない。ほんとなんでだよ!
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