最終話 千鳥お嬢さまは別荘での最後の夜に……

別荘に戻ると、温泉に入り夕食をとりましたが夜になるとまた雨が降っていきました。


「最後の夜なのに、雨っすか」

「台風の影響で雨って予報だからね」

「最後の日ぐらい、キャンプファイアーでもしたかったす」

「流石に庭で直火はできないですよ」

「わかってるっす。でも、焚火台でもいいので、火を囲って語り合いたかったす」


なのさんは残念そうにしていますが、焚火を囲むのは楽しですね。


「今回は残念ですが、また次回しましょう」

「次回もあるっすか!」


なのさんは次回と聞いて、喜びますがもちろんあります。


「ええ、ありますよ。次は秋ぐらいに山に行きましょうか」

「山にも別荘があるっすか」

「山にもあるよ。山の方なら焚火を焚いて語り合えるよ」

「そうすっか、行くっす!」

「ええ、その時になったらまたお誘いします。もちろん、千音さんもですよ」

「ありがとう、柳さん」


千音さんもお礼をいいますが、そろそろ柳さんでなく千鳥と呼んで欲しいですね。


「千音さん、柳さんでなくて千鳥と名前で呼んでくださっても良いですよ?」

「そうすっか、ならわたしもちどりっちって呼ぶっす」

「なの、わたしに言ってるんだよ」

「別にかまいませんよ、わたくしだけ苗字でしたから」

「なんか、ちどりっちは名前で呼べなかったっす。なので、しまっちを尊敬してたっす」

「そうだよね、名前だと呼びにくくて柳さんって言ったけど、今からは千鳥さんって呼ぶね」


千音さんは照れながらわたくしを名前でよびますが、やはり名前で呼ばれた方が友人と言う感じです。


「お話してる所すみませんが、今のうちに荷物をまとめてくださいね」

「わかったす」

「忘れ物があっても、後からわたくしの家に届けられますが、出来るだけしないでっくださいね」

「わかったす」


皆さん、部屋に戻って荷物をまとめますが、わたくしも志麻と部屋へ行きます。


「天気の関係で仕方がないけど、もう帰るんだね」

「そうですね、もう少し行きたかったですね」

「でも、ちーちゃんとの旅行デートが出来たし、楽しかったよ」

「わたくしもです」

「ただ……」


志麻はそういって、黙りますが……顔を赤くしています。


「ただ、なんですか?」


わたくしは志麻の顔を見て察しましたが、あえて聞きます。


「ほ、ほら……夏は開放的になるし……」

「なりますよね?」

「恋人同士だし……」

「ええ、恋人同士ですね」

「旅行先だし……」

「ええ、そうですね」

「えーと……夜だし……」

「夜ですね……」

「……」


志麻はここまで言うと、無言になりますが……つまり、大人の階段を上るという事ですよね。


「つまり、大人なになりと言う事ですか?」


わたくしがそういと、志麻は耳まで真っ赤になり黙って頷きます。


「そうでしか。ただ、まずは荷物をまとめましょう」

「うん……」


志麻は一言返事をすると、黙って荷物をまとめます。

そして、荷物をまとめと……同じベッドに入りました。


「不束者ですが、お願いします……」

「それはここで言うセリフですか?」

「き、緊張してるんだよ……」


志麻はまた自分で言いだして、緊張していますがわたくしだって恥ずかしいです。

ただ、そんな志麻がわたくしは好きです。


「わたくしだって、緊張しているのですよ?」

「そうだね……」

「それに、どうやるかわかりませんが、なるようになりますよ」


そういて、志麻にキスをすると、お互いの服を脱がしていき

そして、裸になると明かりを消したでありました。


**************


1時間程たちまして、再び明かりをつけました。

お互い裸ですベッドで寝ています。


「ちーちゃん……良かったよ……」


志麻はそう言って、わたしに抱きついていますが、同性同士なので

初めて同士でありましたが、なんとかなりした。


「わたくしもですよ」

「ちーちゃんもおっぱい触れられて、TSしてよかったよ……」

「しなくてお触れられたかもしれませんよ?」

「でも、こんなに早くじゃなかったよ」

「それはありますね」


多分、太志のまましたら恋人になるのももっと時間がかかったと思いますし

さらに言うと大人の階段を上る勇気も出なかったと思います。


「やっぱり、おおきなおっぱいはいいな……」

「志麻は元々わたくしの胸目当てでしたからね」

「そうだけど、ちーちゃんのエッチな姿をみられたから、それ以上だよ」

「わたくしも志麻のあんなところを見られたのでよかったです」

「それはぼくもだよ」

「そうでしたね」


詳しい事は言いませんが、お互いの初めてを経験してました。


「ねえ、女の子同士って際限が無いって言うよね」

「そうなのですか?」

「言うんだよ~」

「つまり……もう1回ですか?」

「1回と言わず何度でもだよ」

「志麻がそう言うなら、そうします」

「それじゃ……お願い……」


わたくしと志麻はキスをすると、再び明かりを消すのでありました。


**************


疲れてそのまま裸で眠ってしまいましたが、夏と言え裸では冷えるので目が覚めました。

スマートフォンの時計を見ると時計は2時で、半端な時間に目を覚めてしまいました。

そして、志麻も目を覚ましましたが、やはり裸で冷えてたと言ってます。


「夏でも裸は冷えるね……」

「そうですね。温泉に入りに行きましょうか」

「そうだね……」


ベッドからでて、服を着ますと1階に降ります。

1階の明かりは消えており、梨子さんもこの時間なのでお休みになったようです。

わたくしと志麻は温泉に行き、シャワーを浴びると温泉に浸かります。


「なんだろう、お風呂で裸をみてるのにベッドで見るとまた違うな~」

「そうですね、不思議です」

「今みても、何も思わない訳じゃないけど、変な気分にはならないよね」

「お風呂で欲情されてもこまります」

「浴場だけに?」


志麻はある意味お約束のように言いますが、ダジャレではありません。

ただ、正直いますと、志麻の裸を見てまったく欲情してなかった訳ではありせん。

わたくしだって、本音では志麻とあのような事をしたいと思ってました。

ただ、ついに大人の階段を上りました。

実際にしてみると、あんなものなんですね。

意外とあっさりでしたし。


「意外とあっさりだったよね」


志麻も同じとを言いますが、気持ちはよかったです。


「女性同士だからなのでしょう」

「そうかも。でも、大人になったって感じはする」

「そうですね」


この後、お互い黙って温泉に浸かり、温泉から出て1時間ほどしてまた眠りましたが

眠ったのは別々のベッドでありましたが、一緒に寝るのは志麻が恥ずかしがったためです。


スマートフォンのアラームで目が覚めましたが、何時もと変わらない朝です。

志麻もいつものように「おはよう、ちーちゃん」といって、顔と歯を磨き

トイレで用を済まし、着替えをします。


そして、部屋から出て皆さんに合うと何かよそよそしいです。


「お、おはようっす……」

「おはよう、2人とも」

「どっちが受けでどっちが攻めでしたか?」


様子からわたくしと志麻が何をしてたかわかっているようです。


「どっち受けと攻めでしたよ」


と答えると


「ほら、言った通りですよ」


といって、ほだかが小さくガッツポーズをしたのでした。


「絶対、しまっちが受けと思ったっす!」

「わたしは、千鳥さんが攻めだと思ったのに」

「1回で終わるはずがないので、受けと攻めは変わるのですよ」

「そうか、1回で終わると思ったっす!」

「初めてでも、複数回するんだ」


何か思ってたい反応と違いましたが、もしかしてそのような事をしたと

気付いてなかったのですか?


「しかし、本当にしたとは思ってなかったす」

「お2人の雰囲気からして、絶対にしますよ」

「さすがほだかっちっす」


会話から声が聞こえるなどから、声などで気づいたのかと思いましたがそうではありませんでした。

考えてみたら、この別荘の防音性はかなり高く、かなり騒いでも聞こえないぐらいです。


「どうやら、皆も気づいてたね……」

「別に良いではありませんか」

「ちーちゃんは堂々としてるなぁ」

「恥ずかしさを表に出さないだけです」

「そうだね、ちーちゃんも恥ずかがってたし」


志麻はニヤニヤとしますが、それは志麻だって同じですが志麻の

可愛らしい恥じらいの姿を見られましたので、わたくしも満足です。


荷物を持って、1階に降りますと梨子さんが


「みなさん、朝食は片付けができませんから、途中で食べていきましょう」


と言いますが、別荘は鍵を締めますので調理はもうできません。

ゴミは外のダストボックスに入れておき、業者が回収にきますが

食器などの片づけは時間がかかりますし、本日も雨で天気が悪いので

出来るだけ早く別荘を出発します。


 わたくしたちは荷物も車に乗せ、忘れ物が無いが確かめます。

後程業者に確認を依頼しているので、忘れ物があってもわたくしの家に届きますが

無いにこしたことはありません。


「忘れ物は大丈夫です」

「わたしもっす」

「わたしも大丈夫」

「同じくです」

「ぼくもだよ」

「では、帰りましょう」


志麻とわたくしは同じシートに隣りあって座ります。

そして、車は別荘を離れ、街の中のファミリーレストランで朝食を終えると、家路につきます。

今年はいつも以上に思い出ができました。

志麻と恋人となっての初めて沢山ありましたが、なのさんと千音さんとも

更に仲良くなりました。

TSして志麻にな、世界がかわりましたがわたくしはこの世界になって本当に良かったです。


「志麻、好きですよ……」


わたしは志麻に囁きますが、志麻も皆さんも朝が早いため車の中で眠っています。

わたくしも再び眠くりますが、志麻の手を取りますと志麻も無意識に握り返してきました。

そして、わたくしと志麻はお互い肩にもたれて、手を握りあって眠るのでありました。


—完ー


―――――――――――――—


番外編も終わりました。

千鳥お嬢さまと志麻のまだまだ続きますが、ひとまず完結です。

秋の別荘行く話などまだまだ書きたい事はありますが。

また、他のキャラクターの話も書きたいですが、これはまた別の話に

したいとは思います。


お読みいただきありがとうございました。

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