第8話 千鳥お嬢さまたちは志麻と生物観察をする

台風が発生したので、予定よりも早く切り上げる事になりましたが

3日目である本日は朝から雨で外に出られませでした。

ただ、昼からは雨もやんで太陽も出て天気が良くなりました。


「天気が良くなったから、岩場に生物観察をしようよ!」


志麻が皆さんに提案しますと


「生物は苦手ですか、面白そうなのでやるっす」

「わたしも菜音に付き合うかな」

「わたしは結構です」


となのさんと千音さんが志麻に付き合いますが、わたくしは


「わたしとほだかは浜辺には行きますが、岩場へは行きません」


と浜辺で志麻たちを見守る事にしました。


「わかった。では、ご飯を食べたら行こうよ!

海は入らないから水着じゃなくてもいいかもしれないけど、海に落ちた時の事を

考えて水着を着て行った方がいいかも」

「岩場のあたりは浅いので、そこまで心配しなくても良いと思いますが念のためですかね」

「でも、波が高いっすよ?」

「確かに、天気が悪くて波が高いけど今から干潮だから、大丈夫だと思うよ」

「そうでっすかね?」

「様子を見て波が高かったら素直に諦めるよ。変なフラグ立てたくないし」

「そう言う事言うとフラグになるっす」

「なのちゃん、そういう事言わないでよ」

「冗談っす」


志麻となのさんはそんな事を話しながら、昼食をとると水着の上にTシャツと

ショートパンツをはいて岩場に向かいました。


 岩場に着くと、波は昨日よりは高いですが、危険と言う程でもありませんでした。

そして、時間的に丁度干潮なので、志麻たちは岩場へ向かいます。


「岩場はフジツボが多いから手や足を切らない様に気を付けてね」

「わかったっす」

「見るからに切ったら痛そう」

「志麻さんは以前に切りましたからね」

「足を思いきり切ったけど、血はでるし、痛いしで大変だったな」

「なので、手には軍手、履物は脱げないように気をつけて下さいね」

「わかったす」


ほだかは志麻たちに軍手を渡すと、志麻たちはフジツボに気をつけながら岩場の磯で観察を始めます。

わたくしとほだかはパラソルの下にシートを敷いて、見守ってるいるだけですが。


「志麻さんは虫とかが好きですよね」

「昔から好きで、海でも山でも虫を観察してますからね」

「わたしは苦手と言う訳ではありませんが、好んで見るほどでは無いです」

「わたくしは苦手ですね。特にフナムシは嫌ですね」

「フナムシは裏を見ると気持ち悪いですよね、あのような虫は苦手です」


わたくしとほだかがこんな話をしていますが、志麻はなのさんと千音さんと

干潮の岩場に出来た磯で生物観察をしています。


「貝がいっぱいあるっす」

「貝は手を切るから気を付けてね」

「わかったっす。ところで、ここの貝食べられるんすか?」

「えーと、食べられるのもあるよ。このカメノテは食べると美味しいらしいけど、食べた事はないけどね」

「へー、見た目はなんか気持ち悪いけど、これも貝なんですか」

「亀の手に似てるから、カメノテって言うんだって」

「そうなんすか。カメノテと言っても見た事ないっす」

「ネットで調べっればわかるけど……圏外だから別荘のWiFiを使って後で見ようね」

「わかったす。しかし、見ただけでわかるってすごいっす」

「全部って訳じゃないけどね。わからないのはスマホで写真を撮ってネットとかで調べるよ」

「そうすか。でも、それでも見てわかるのはすごいっす。これはわかるっすか?」

「えーと、それはね……」


志麻は見ただけである程度、海の生物がわかりますのでなのさんが関心しています。

千音さんも志麻の説明に関して、岩場の磯で生物観察を楽しんでます。


「カニもいるんっすね」

「うん、いるよ」

「これがそうっすか?」

「それはイシカニダマシで、カニみたいだけどヤドカリだよ。

カニは10本だけどヤドカリは8本だから、これはヤドカリ」

「へーそうっすか。名前にダマシってついてるのはなんか、かわいそうっす」

「確かに、カニに似てるけど人間が勝手にカニだと騙してるって思ってるだけからね」

「ところでこれは食べられるっすか?」

「これは食べられないよ」

「なのはすぐ食べられるって聞かない」

「だって、おいしそうじゃないっすか」

「気持ちはわかるけど、食べれる方が少ないからね。毒を持ってる生物もいるよ」

「そうすっか。ところで、捕まえるのはいいすか?」

「ここは私有地だから捕まえること自体はいいけど、毒を持ってる生物は触れない方がいいかも」

「そうすか。大人しく観察するっす」

「うわ、変な虫がこっちに来た!」


千音さんは虫に驚いたようですが……多分、フナムシを見つけて驚いて、磯に落ちてしりもちをつきました。


「千音ちゃん、大丈夫!?」

「大丈夫、低い所だったから」

「でも、水着で来て良かったっす」

「そうだね。でも、上はTシャツを着てたから濡れちゃったけど」

「それでも水着でよかったね。はい、タオル」

「ありがとう。ところで、あの変な虫は何なの?」

「フナムシだよ。色からイソフナムシかな」

「そうなんだ。志麻さんはよく平気だね」

「見るだけなら平気だよ。流石に触れないけど」

「そうなんだ」

「それより、なんか波がでて来て、波の飛沫がかかるっす」

「そうだね。まだまだ潮は満ちないけど、波が高くなってきたからこれで終わろうか」

「そうだね。濡れたら冷えて来たし」


志麻たちがこちらへ向かってきますが、観察は終わるのでしょうか。


「観察は終わりですか?」

「波も高くなって来て、千音ちゃんが濡れたから終わりにしたよ」

「ちょっと水に落ちちゃって、濡れちゃったら冷えて来たよ」

「そうでしたか。それでは別荘に戻りましょう」

「なんか、風も出てきて雨も降ってきそうだからね」

「わたしは先に別荘に戻るよ」

「わかりました。わたくしたちは片付けて戻ります」

「ぼくも手伝うよ」

「ありがとうございます」


志麻も手伝ってくれましたので、パラソル等はすぐに片付けられてましたが

それと同時に、雨もぽつぽつと降り出してきました。


「雨が降って来たか急がないと」

「ですね」

「強くなってきましたのから、急ぎましょう」


浜辺から別荘までは数十mありますが、雨も一気に強くなってきましたので

急いで別荘へ向かいますした。


「ふう、少し濡れたけどしたが水着でよかった」

「そうですよね」

「凄い雨でね。早く中に入りましょう」


別荘の中に入ると、雷もなりだしました。


「か、雷っす~」


別荘の中に入ると、なのさんがそう言って千音さんに抱きついています。


「なの、高校生にもなって雷がまだ怖いんだ」

「怖いものは怖いっす!」

「なのちゃんが雷が怖いのは意外かも」

「なのは小学生の時から雷は苦手なんだよね」

「怖いにきまってるす!雷に当たったら死ぬっす!」

「確かにそうだけど、建物の中とかなら大丈夫だよ」

「避雷針もついていますから」

「停電するっす!街から離れた別荘なんて、連続殺人フラグっす!」


確かに、ミステリーでは山奥や孤島の別荘での連続作殺人は定番ですが

この中だと誰が犯人になるのでしょう。


「この中だと誰が犯人になるのでしょう」

「こういう時は意外となのちゃんが犯人だったりするんだよ」

「いや、わたしは最初の被害者っす」

「被害者でいいの?」

「最初にわたしがリビング殺されてるのが発見されるっす。

そして、騒ぎになった所を犯人と一緒に居られないと言って、部屋を出て行った

ちねっちが次の被害者っす。そして、みな疑心暗鬼になった所をトイレに行った

しまっちが3番目の被害者っす。

残ったのはやなぎっちとほだかっちですが、そう言えば梨子さんがいた事を思いだっす。

ほだかっちがお母さんに聞いてくると言って梨子さんの所へ行くと……」


なのさんはそこで間を置きますが、くだらない話と思っていましたが

皆さん続きが気になって黙っていますが


「梨子さんの悲鳴が聞こえたので、慌てて柳っちをみにいくと血まみれの包丁をもったほだかっちがいて『わたしが犯人です』とにやっと笑った所でEDロールが流れっす」


と話しが終わりました。


「EDロールってドラマか映画なんですか」

「そうっすよ、本当の事件だったらやばいっす」

「しかし、なんでわたしが犯人なんですか」

「ほだかっち見たいタイプが犯人なんすよ」

「でも、最初にリビングに全員集まってるのに、どうやってわたしを殺すの?」

「まぁ、そこはシナリオライターが考えっす」

「なのさんが言いだしたではないですか」

「思いつきっすよ。そこまで深く考えてないっすってまた雷っす!」


なのさんは雷の事が気にならないと思いましたが、やはり怖いようです。

ただ、確かに雷の音も近くなり、雨も強くなってきたので停電に無ければよいのですが大丈夫でしょうか。

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