第6話 千鳥お嬢さまたちはプライベートビーチで遊ぶ

 別荘に来て2日目、本日は別荘の砂浜で遊びます。

ただ、別荘の前の海は急に深くなり、潮の流れもありますので泳ぐのは危険です。

なので、ひざ下ぐらいの場所までしか入れません。


「午前中なのに、砂が熱いっす」

「この日差しなら、日焼け止め塗らないと」

「日焼け止めを塗るイベントはお約束っすね、しまっち」


なのさんがこう言いますが、わたくしはパラソルの下にUPF50の長袖を着ていますし

日焼け止めは自分で濡れる範囲で塗るので、志麻に塗ってもらう必要はありません。


「ちーちゃんはちゃんと自分で対策してるから、残念ながらそのイベント無いよ……」

「先手を打つとは、さすがやなぎっちっす。なんなら、わたしがしまっちに塗ってあげるっす」

「それじゃ、お願い」


志麻はそう言って、砂浜に敷かれたマットに横になってなのさんに日焼け止めを塗ってもらてっています。


「しまっちって肌が綺麗っすね」

「そうかな?」

「そうっすよ、ケアはしてるんすか?」

「顔は化粧水を塗るぐらいで、他は特にしてないよ」

「そうっすか」

「なのちゃんだって肌がきれいだよ」

「若いからっす」


そんな事を話しながら、特にお約束のイベントはなくなのさんは志麻に日焼け止めを塗り終えました。


「今度はしまっち、お願いっす」

「わかった」


今度は志麻がなのさんに日焼け止めをに塗りますが、やはり何事もなく終わりました。


「どうやったら、ちょっとエッチなラブコメ見たい事が起こるんっすかね」

「起こらないからラブコメなんだよ」

「しまっちがそんな夢も希望もない事をいわないでほしいっす」


志麻となのさんはこんな事を話してましたが、2人は海に入りますが

海に入ったら塗った日焼け止めが落ちてしまうと思うのですが、気にしない事にします。


「浅い所でも意外と流れがはやいっす」

「だから、泳げないんだよ」

「海に来ての遭難ネタはお約束っすか、ここじゃしゃれにならないっす」

「実際になったら大騒ぎだからね」

「現実は厳しいっす」


志麻となのさんはそんな事を言いながらも、水鉄砲に海水を入れて撃ち合って遊んでいます。


「あの2人は元気だよね」


千音さんはわたくしと一緒にパラソルの下に居ます。


「志麻は意外とアクティブなタイプですからね」

「なのはインドアぽいけど、意外とアクティブだからね」

「千音さんはあまりアクティブな感じはしませんが」

「わたしはインドア派でもアウトドア派でもなくて、何気なく出かけるって感じかな」

「そうなのですね。わたくしはインドア派といいますか、家で勉強をしている事が多いですが、出かける時は志麻とほだかと出かけますね」


わたくしは千音さんとお話をしますが、千音さんと2人でお話をする事は意外と少ないです。


「3人とも仲がいいんだ」

「生まれた時から一緒に居ますから、気を使わなくて良いのです」

「そうなんだ。わたしとなのもそんな感じかな」


千音さんとなのさんは小学校5年生からの付き合いだそうです。

今ではすっかりはじけてるなのさんですが、以前は人と話すのが苦手でした。

千音さんはそんななのさんとの話相手になっていて、千音さんもなのさんの事が

心配で常に近くに居たそうです。


「千音さんはなのさんの事が好きですよね」

「好きかどうか言われたら好きだけど、柳さんと大野さんみたく恋愛的な好きではないよ」

「それはわかっていますよ」

「わたしとなのが恋人になる事はないけどね」


千音さんはそう言って微笑みますが、お2人は恋愛と言うよりも絆で結ばれています。

なのさんが現在のキャラになったのは志麻からの提案なのですが、千音さんが

志麻とわたくしに相談して、志麻が今のキャラを提案したのです。

なので、今のなのさんがあるのは千音さんのお陰なのです。


「なのがこんなになるとは思ってなかったけど、以前よりはいいかな」

「弾けすぎましたけどね」

「でも、友人が増えたし、人気者になってからるかよかったよ」


千音さんはなのさんを見て嬉しそうですが、千音さんはなのさんを大事に思っているのはわかります。


 わたくしと千音さんが話していると、突然、顔に海水が飛んできました。


「ちねっち、そんなところに居ないで、こっちで遊ぶっす!」

「だったから声をかけてよ!」

「やなぎっちと話してるから、話しかけにくかったっす!」

「だからって水鉄砲で海水をかけることはないでしょ!」

「水鉄砲はほだかっちの所にもう1つあるから、かかってくるっす!」

「よこまでいうなら、受けて立つよ!」


千音さんはほだと梨子さんいるパラソルの所から、水鉄砲を取ると海水を入れてなのさんをさっそく撃ちます。


「な、なんでこんなに命中精度がたかいっすか!」

「なのの動きが遅いだけだよ!」

「わたしとしまっちのほうは当たらないっす!」

「千音ちゃん、なんで海の中でそんなに早く動けるんだよ~」


2対1なのに、千音さんの方が圧倒しています。

そして、結局なのさんと志麻は降参して、海から出て休憩をします。


「ふう、暑いっす」

「ちゃんと水分と塩分を摂ってくださいね。志麻は前回来た時熱中症になりかけましたし」

「うん、気を付けるよ」

「海辺は日差しが強いっす」


志麻たちはパラソルの下で水分を摂り、休憩します。


「この辺りの海は綺麗っすね。海の底が見えるっす」

「綺麗な海なので、ダイビングスポットになっています」

「ダイビングっすか。海の中は気持ちよさそうっす」

「ダイビングをするにはちゃんと講習を受けて、資格を取らないとならないです」

「そうなんすね」

「せめてシュノーケリングでもできればいいけど、それも危ないからね」

「ちゃんとした海水浴場ではありませんので、仕方があません」


入江にはなっていますが、急に深くなるので危険なのです。

また、外海から波が入ってきますので、潮の流れも意外とあります。

なので、プライベートビーチと言っても、何かあったら助けれないので

浅い所でちょっとした水遊びをする程度なのです。


「でも、この時期の海水浴場は混んでる静かでいいよ」

「これならトップレスでも行けそうっす」

「前回本当にやったら、ちーちゃんに怒れた……」

「本当にしたっすか……」


流石のなのさんでもトップレスを本当にしたら、引いています。


「誰もいないと言っても、時より小型船が通るのですから怒ります」

「ちゃんと誰もいない事確かめてやってたのに……」

「それでもです」

「流石にトップレスはだめっすよ」

「なのちゃんにまで言われたら仕方がないか……」


流石になのさんにまで言われたら、志麻も納得します。


「少し早いですがそろそろお昼にしましょうか」


泳ぎ出したのは10時頃ですが、スマートフォンのと家を見ると間もなく

12時なので時間が経つとのは早いです。


「スイカももってきましたので、スイカ割りもしましょう」


ほだかがスイカをは持ってきました。


「ほだかっちの姿ないと思ったら、別荘に居たっすか」

「お手洗いに行ったら、お母さんに声を掛けられましたので」

「そうっすか。スイカ割をするのはじめてっす」

「では、なのさんにやってもらいましょう」


ほだかはそういて、砂浜にシートを敷いてスイカを置くと菜音さんに目隠しをして棒を持たせます。


「なんか、目隠しをして身体を触られるのはエッチっす」

「なの、変な事を考えない」

「目隠しなんて一種のプレイっすよ」

「なのさん、棒を持ちましたね、では回転させます」


なのさんはそんな事をいいながら、ほだかに回されますがスイカ割は回転させなくても良いとは思いますが。


「目隠して廻されるれると、余計にふらふらっす」

「わたしたちが声をかけるので、その方向に行ってください」

「わ、わかったす」


なのさんはスイカに向かって歩きだしますが、かなりフラフラです。

それでも、なのさんはバランスを取ってわたしたちの声を頼りにスイカへ向かいます。


「なの、もう少し右」

「そのまままっすぐでいいよ」

「なのさん、すこし左です」


なのさんは左右にふらつきながらも、声を頼りに進んでいくとスイカの元に辿り着きます。


「なの、そこでいいよ」

「シートらしきものを踏んだっす。では行くっす!」


なのさんは棒を振り上げ、そして振り下ろしますが……ペチっという音がして

スイカには当たりたが、割れるというと……そうでもありません。


「手応えがあったす!」


なのさんは目隠しを取ってスイカを確かめると


「割れないっす……」


と肩を落としました


「なのちゃん、目隠しなしでいいから思いきりやっちゃって!」

「わかったす」


志麻に言われて、なのさんは再び棒を振り落としますが、先ほどよりもよい音がしましたが

スイカには少しひびが入った程度でした。


「やはり、割れてないっす」

「し、仕方がないよ」

「なのさん、スイカはこうやって悪いのですよ、棒を貸してください」

「わかったす」


わたくしは棒を構えて、スイカに振り落とすと棒はスイカの真ん中に命中すると

そのまま綺麗に2つに割れました。


「すごいっす!」

「ちーちゃんは力があるからね」

「ここまで上手くいったのは偶然です。ただ、これでスイカを食べられますね」

「スイカはご飯を食べてからにしてね」

「わかりました」

「さ、パラソルの下でご飯をにしましょう」


梨子さんはバスケットの中からおにぎりや各種おかずをだします。

そして、皆さんでそれを頂くのでありました。

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