夏休みの旅行

第1話 千鳥お嬢さまたちは別荘に行く

志麻と約束したとおり、今年の夏休みはプライベートビーチ付きの別荘にやってきました。

ただ、車でないといけない場所なのと、保護者として梨子さんがご一緒しています。


「本当にプライベートビーチがついた別荘を所有してるんすね!」

「そういうのはマンガやアニメとかの世界だけかと思ってた」

「お爺様の代の時に購入した物ですが、そこまでのアクセスが大変なので

広さの割には安かったそうです」


プライベートビーチがあるような場所ですから、周りに何もない場所です。

さらに、国道を外れるとそこまでの道も特に危険な場所は改良されたとはいえ

狭い道で車同士のすれ違いが厳しい場所もあります。

さらに、自宅からここまで来るのはとても遠く、本日は平日なのでそこまで道は混んでいませんが

お盆シーズンになると朝5時出発しても渋滞で到着が日暮れになるぐらいです。


「しかし、遠いっすね。朝の7時に出発してもうお昼なのに、まだつかないっすか」

「平日なので、早い方ですよ。お盆シーズンですと、まだ半島に入っていません」

「うへー、そうっすか」

「なのさん、あと1時間ほどで到着しますよ」

「ほだかっち、マジっすか」


別荘に地番近い大きな街の市街地に着きましたが、まだまだここから1時間程かかります。

ただ、その前に食材の買い出しを行います。


「別荘から、一番近くのコンビまで車で20分かかりますので、ここで出来るだけ買いこみましょう」


梨子さんはスーパーに車を止めますと、食材をはじめいろいろな物を買う事にします。


「皆さん、本日はわたくしのおごりですから、好きな物をお買いなってください」

「やなぎっちありがとっす!」

「なんか悪いけど……柳さん、ありがとう」

「ケチなちーちゃんが出してくれるから、ありがたくおごってもらおう」


志麻は相変わらず余計な事を言いますが、以前でしたら説教ですが周りの目もありますから何も言いません。

ただ、何故か志麻は何故か寂しげな表情をしてましたが。


「あと、お昼ごはんは別荘に着いてからにしましょう。

今の時間はどこも混んでいますし。

ただ、到着してから作るのは時間がかかりますから、すぐ食べれる物を買っておきましょう」


梨子さんはこういいますが、別荘に到着してから調理をしますと

半端な時間になりますのでスーパーですぐ食べられるものを買います。

このスーパーは地の魚を使ったお刺身やお寿司の他に、お惣菜も美味しいです。


「お寿司が美味しそうっす」

「お寿司もいいけど、こっちのフライも美味しそうだよ」

「わたしとお母さんは鮮魚コーナーを見て来ますので、皆さんは好きな物を選んでください」


ほだかと梨子さんは鮮魚コーナーへと向かいました。


「わたくしのおごりですが、遠慮しなくてもよいですので」

「そうさせてもらうっすか、お金は大丈夫っすか?」

「カードがありますので」

「そうっすか。さすがやなぎっちです。では、好きな物を買うっす」

「なの、少しは遠慮しなよ」

「わかってるすよ、ちねっち。沢山かっても食べれれないっす」


お惣菜コーナーの揚げ物類をみますが、どれも目移りします。


「揚げ物がどれもおいしっす。トンカツ、コロッケ、天ぷら……全部食べたいっす」「揚げ物を沢山買っても食べれられないって」

「若いから大丈夫っすよ」

「なの、そんな近所のおばちゃんみたい事言わないでよ。あと、野菜も食べようよ」

「そうですよ、なのさん。あと、夜は梨子さんが料理を振る舞いますので」

「わかったす。ただ、どれもおいそうっす」

「ぼくはここの地の魚を使ったお寿司が好きだから、お寿司で」

「それじゃ、わたしもそれにするっす」

「それじゃ、わたしも」

「だったら、皆さんお寿司にしましょう」

「わかったっす。でも、トンカツも美味しそうなので、これだけは買うっす」


なのさんはトンカツだけは買いましたが、ここのトンカツはわたくしも好きです。


「ご飯が決まったら、次はスイーツっす」

「よく食べるね」

「甘いものは大事っす。あと、コンビニも遠いので出来るだけ沢山買うっす」

「飲み物も買わないとね」

「ジュースだけでなく、熱中症対策用の飲み物も買っておきましょう」

「わかったっす」


浜辺は熱いので、熱中症対策をしておかないとならないです。

実際に、何年か前に来た時に志麻は熱中症になりかけましたので。


「以前来た時、ぼくが熱中症になりかけたからね」

「それを思い出したので」

「そうなんだ、ちーちゃんちゃんと覚えたんだ」

「ええ、覚えていますよ」


以前は志麻との記憶は不自然な感じがありましたが、志麻と付き合いだしてからの

志麻との記憶は以前の様な不自然さはなくなって来ています。

さらに太志の記憶も徐々になくなってきますが、それでも志麻が太志だった事は記憶から消えません。


「おまたせしました」

「あらあら、沢山買ったわね。2日後にまた来る予定だったけど人数が多いですしね」


鮮魚コーナーから戻って来た梨子さんが大型カート一杯になってるをみて少し驚いてます。


「大丈夫っすよ。2日もあれば全部なくなるっす」

「そうね、みんな若いですし」

「1日で全部終わる自信あるっす」


なのさんがこう言いますが、なのさんは身体は小さいですが良く食べるので

本当に1日でカート一杯になっている食べ物を全て食べつくしそうです。


「それにしても、美味しそうで高そうなものばかりっす」

「サザエ、アワビ、アジですが、アジは時期的に小ぶりですけどね」

「それで美味しそうっす」

「アワビとサザエが美味しそうだね」

「夜、バーベキューにして食べましょう」

「お肉もちゃんとあります」


梨子さんとほだかは魚介の他に、牛肉もカートに入れています。


「あとは飲み物ね。お酒~お酒~♪」


梨子さんはそう言いながら、今度は飲み物を買いますが梨子さんは結構な酒豪らしいです。

らしいというのは、普段はあまり飲まないそうですが、今回の旅行の前に

ほだかから『お母さんは飲む時は飲みます』と聞いたからです。

今までは志麻とわたくしの家族で別荘に来ていましたので、梨子さんが別荘にご一緒するのは実は初めてです。


「これだけあればいいかしら~♪」


梨子さんはビールを2箱の他にワインなどをカートに入れてますが

お酒を飲めるのは梨子さんだけなので、この量は多すぎます。


「1人でこの量は多くありませんか?」


とわたくしは梨子さんに聞きますが


「大丈夫、1週間ありますし帰る頃にはちゃんとなくりますから♪」


と梨子さんが答えましたが、本当に1人で飲めるのでしょうか。


「余ったら、持ち帰るから大丈夫ですよ」

「そうですか。買う物は他にありませんか?」


わたくしが皆さんに聞きますが、欲しい物はカートにいれましたし

食材も飲み物も大丈夫なので会計を終えます。

会計を終えると、生鮮食品やすぐに飲む飲み物は保冷剤を入れたクーラーボックスに

残りの物は店の段ボールに詰め、車に積み込み、別荘へと向かうのでした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る