最終話 千鳥お嬢さまはミヤコ様に志麻と恋人になった事を報告する

志麻と恋人になった翌日も、何時と変わらず志麻を起こしに行きます。

わたくしと志麻が付き合う事にした事は、昨日志麻と共に

おばさまとおじさまにもお伝えして祝福されました。


「千鳥ちゃん、おはよう」

「おばさま、おはようございます」

「千鳥ちゃんも志麻と恋人になっても、これは変わらないのね」

「これは日課ですから」

「わたしも千鳥ちゃんが毎朝来るのが日課になってるから。

志麻も起きてるのに、千鳥ちゃんが来るのをわざわざベッドで待ってるしね。

それじゃ、千鳥ちゃんお願いね」

「はい、わかりました」


おばさまは志麻が実は起きていて、わたくしが来るのをベッドで待っている事を

わかっているますが

おばさまもわたくしが来るのが日課になっているので、無理にベッドから出さないのです。


「志麻、朝ですよ起きなさい」

「んー、ちーちゃん……眠いよ……」

「起きないと遅刻しますよ」

「そうだけど……お姫様を起こすにはお姫様のキスが必要だよ……」

「朝から何をいってるんですか?」

「だって、ぼくとちーちゃんは付き合ってるんだから、キスぐらいしても問題無いよ」

「付き合あってると言っても、告白からまだ24時間経ってませんよ」

「ぼくとちーちゃんは年齢=付き合った年から、キスしても大丈夫だって」


志麻は何を言ってるかわかりませんが、とにかくキスをして欲しいようです。

今までなら調子に乗ってる事を怒りますし、志麻もそう思っているはずなので

ここは逆に本当にキスをした方が良いかもしれません。


「まったく、志麻は朝から何を言ってるのですか」


わたくしが志麻のベッドに近づき、志麻の顔に顔を近づけるます。


「えーち、ちーちゃん顔が近いけど……」


志麻はわたくしの顔をが近いので、予想してたのと違っていたようです。

ただ、わたくしは何も言わずに、そのまま顔を近づけて……志麻とわたくしと唇が合わさりました。


「……」


志麻はキスをされたので無言ですが、わたくしの唇が離れると


「まさか本当にするとは思わなかったよ……。

ぼくのファーストキスはちーちゃんか……」

「わたくしも初めてでしたから、志麻がファーストキスの相手ですからね。

キスをしてお姫様を目覚めさせましたから、早く着替えるのですよ」

「う、うん……、わかった」


志麻は顔を赤くして唇を指でなぞりながらベッドを出ますが、わたくしも顔が真っ赤です。

志麻が着替える間、わたくしは洗面台を借りて顔を洗って落ち着つかせます。

そして、再び志麻の部屋に戻ると、志麻は着替えを終えて顔を洗い髪を整えます。


「志麻、千鳥ちゃん、ほだかちゃんが来たわよ」

「わかった、今行くよ」

「ほだかが来るなんて珍しいですね」

「ぼくたちが付き合い始めから、気になっただよ」

「そうですかね。特に変わりはないですが」

「さっきキスをしたけど」

「あ、あれは志麻を起こすためですから」

「そうだね……」


わたくしと志麻は再び顔を赤くしますが、志麻が朝食をとるため下におります。


「千鳥ちゃん、志麻さん、おはよございます。

お2人とも顔が赤いですが、付き合ったからと言って早速、朝からそいう言う事は……」

「ほだかちゃん、流石にそんなことしてないよ。目覚めのキスをしただけ……あ」


志麻がしまったという表情をします。


「もうキスをしたのですが、流石です」

「志麻がお姫様を目覚めさせるキスをして欲しいと馬鹿な事を言うので、本当にしただけです」

「そ、そうだよ、ぼくがねだったから口にキスをしただけだからね」

「こういう場合は頬にするもですが、初めから口とはGJです」

「何がグッジョブかわかりませんが、待っていますので志麻は早く朝食を済ませてください」

「う、うん、わかった……」


志麻は朝食をとりますが、わたしたちの話を聞いていたおばさまにからかわれていました。


「まったく、母さんまでからかって」

「別によいではありませんか。では、行きますよ」

「そうだね」

「気を付けて行ってらっしゃい」

「行ってくるよ」

「行ってまいります」

「行ってきます」


おばさまに見送られて、志麻の家をでて学校に向かいます。

学校に行く間、何時もは3人並んで歩きますが今日はほだかは気を利かせてるのが

わたくしと志麻の後ろに離れた所を歩いてます。


「ほだかちゃんも気を使う事はないのに」

「そうですが、ほだかにはできないお話があります」

「秘密の話?」

「秘密と言えば秘密ですが、本日学校が終わりましたらミヤコ様の所にわたくしと志麻が付き合った事をご報告に行きます」

「ああ、そういう事ね。確かにほだかちゃんには話せないね。もちろんいいよ」

「では、理由をつけてほだかたには先に帰っていただきます」

「わかった」


ほだかには悪いのですが、放課後はミヤコ様の所に志麻と2人で行かせていただきます。


 教室に着くと、意外な事に周りは普段と変わりませんが、なのさんも千音さんは

わたくしたちより後に教室に入ってきましたので、単に伝わっていないだけでした。

そして、休み時間の間になのさんがわたくしと志麻が付き合った事を皆さんに話すと

休み時間に何人かの女子に祝福をされましたが殆どの方は、男子は今までどおりただ見ているだけでした。

所謂、百合に挟まる男は許されないという事ですが、単にわたくしに話かけにくいだけかもしれませんが。


 そして放課後、ほだかにわたくしと志麻を2人にして先に帰って欲しいと言いましたら


「女性同士でもホテルには入れるようですが、制服のままではまずいですよ」


と言って帰っていきましたが、冗談なのか本気なのかはわかりませんが

ほだかは素直にわたくしと志麻の2人してくれました。

そして、志麻と2人で稲荷神社へ向かいますが、校門を出てしばらくすると

お互い自然と恋人つなぎで手を繋いでいました。


 稲荷神社に到着すると、手をつないだまま志麻もわたくしも何も言わずに社へ向かいます。

そして、社の前にくると手をは泣いてお賽銭をいれて、参拝をするのでありました。


「ミヤコ様、わたくしと志麻は恋人となりましたのでご報告に来ました」


わたくしがこう言いますと、社殿が光りますと


「はっはっはっ!わらわの言ったとおりだったのじゃ!」


と高笑いをしてミヤコ様が登場しました。


「こんにちは、ミヤコ様」

「うむ、こんにちはなのじゃ」

「ミヤコ様が言っていたとおり、わたくしは志麻と恋人になりました」

「そうか、それはよかったのじゃ。しかし、意外と素直にみとめるのじゃな」

「告白の時も意外と素直だったからね」

「ここまで来ましたら、わたくしでも素直になります」


ここまで来ましたら、わたくしも素直になります。

それに、わたくしは志麻にはあのように言いましたが、最初からこうなると決まっていました。

なので、ミヤコ様がおっしゃっていた事は正しいかったのです。

ただ、わたくしが志麻が好きな事を頑なに認めなかっただけなのです。


「どうあれ、2人ともつがいになれたのじゃ。おめでとうと言っておくのじゃ」

「ありがございます」

「それに、わざわざ報告に来るのも殊勝な心掛けなのじゃ。

これでわらわの徳がまた積み上がったのじゃ」


ミヤコ様はドヤって感じで胸を張ります。


「ミヤコ様が立派な仙狐ということは十分にわかりました」

「そなのじゃ、われわは間もなく天狐になる立派な仙狐なのじゃ。

さすが、千鳥はわかっておるのじゃ。

しかし、志麻はときたらわらわのすごさがわかってないのじゃ」

「あれは最初だけで、今は認めてるよ」

「そうか、そうか、わかれば良いのじゃ。ところで、千鳥は何か願いがあるのか申してみるみじゃ」


ミヤコ様がわたくしに願いが無いか聞きましが


「特にあません。それに、ミヤコ様の手を煩わせるほどの事ではありまし」


と答えました。


「千鳥がそういうのなら、かまわないのじゃ」

「ぼくはちーちゃんと結婚して、子供が欲しいな。産むのはぼくが産みたい」

「志麻は1度願いを叶えておるのじゃ。まったく願い事が多いのじゃ。

あと、いくらわらわでも女子おなご同士で子供を作る事は出来ぬ」

「そうかぁ、残念だな」

「でも、太志を志麻をにしたではないですか」

「確かに、ぼくの性別を変えれるなら同性同士で子供が出来るよね」


性別を後からかられるのならば、同性で子供が作れる思いますがミヤコ様は


「なんていったらよいのじゃろうか。いわば今の世界は太志が女子として生まれて来た世界なのじゃ」


とお答えになりました。


「えーと、つまり平行世界パラレルワールドと言う事?」

「そのぱらなんとかはようわからぬが、太志がいる世界から

太志の身体から魂を抜き出して、太志の魂を志麻の身体に

志麻の魂を太志の身体にそれぞれ入れ替えたのじゃ。

あと、お互いの記憶も入れ替えたのじゃが、本人同士の場合完全に入れ替えるのは難しいのじゃ。

だから太志としての記憶も残ってるのじゃが、こちらの世界では太志は存在しておらぬのじゃ。

だから他の者には太志の記憶は本来ないのじゃが、ごくまれに理由はわらわもウカ様もわからぬが

元の世界の記憶がある事があるのじゃが、それが千鳥だったのじゃ」


つまり、太志を神様の力を使って性別を変えたのでなく、太志の魂を平行世界に存在する

志麻に入れ変えたと言う事なのですね。

なので、本来ならば存在しない太志を皆さん覚えていませんし

初めから志麻だった世界と言うのも、いわゆる神の力で世界を改変した訳ではなかったのですね。


「そうだったんだ。ぼくはつまり平行世界の志麻の身体に入れ替わったって事か」

「わかればよいのじゃ。ただ、なぜ千鳥に記憶が残ってるのはさっき言ったとおりわらわもわからないのじゃ」

「理由はわからなくても、志麻が太志だった事を覚えてい事は事実ですので。

それに、志麻が男子だった言っても、つまらない冗談にしか聞こえませんから」

「確かにね。もし、理由があれかな……」


志麻は少しの間を置くと


「ちーちゃんのぼくに対する愛の力だよ!」


とドヤっという感じで言ったのでありましたが、志麻の事ですから

これを言うのは実は予想してました。


「志麻ならこう言うと思ってましたよ」


わたしがこう返すと志麻は


「もう少し乗ってくれたらいいのに~」


と残念がっていました。


「ほっほん、2人の馬鹿な掛け合いはそこまでじゃ。

どうあれ、2人がつがいになった事はわかったのじゃ。

それに、千鳥も願いがないならばわらわはそろそろ帰るのじゃ」


ミヤコ様はそういおっしゃってますが、わたくしの願い事はない事もありせんが

大した願いでありません。


「ない事もないのですが、大した事でないのでミヤコ様にお願いする事でもないかと思います」

「聞くだけ聞いてみるのじゃ」

「それはですね……」


わたくしは言う前に深呼吸をして、一旦落ち着かせて願い事をいいます。


「これからずっと志麻とほだか、なのさん、千音さん、両親、志麻もおじさま、おばさ、梨子さん……とにかく、わたくしの周りの皆様と幸せに暮らしたいです」

「なんじゃ、1つでなくそんなにたくさんあっては、叶える事は出来ぬ。

それに、それはわらわが叶える事でもないのじゃ。

幸せは自分で叶えるのじゃ。では、わらわは眠くなってきから帰るのじゃ。

さらばなのじゃ~」


ミヤコ様はあくびをし笑いながら、社の中に戻ると光も消えました。


「報告は終わりましたね」

「そうだね。ぼくらも帰ろうか」


ミヤコ様が去られて結界が解かれ、スマートフォンの時計を見ると1時間程経っていました。

時期的にまだ明るいですが、それでも帰らないといけません。


わたくしと志麻はまた手を繋ぎ、帰路に着きます。


「そういえば、そろそろ夏休みだね」

「そうですね。今年も別荘に旅行に行きますか」

「今年はプライベートピーチ付きの別荘で、海水浴がいいかな」

「去年は山でしたから、そういたしましょう」

「そうだね。あと、今年はなのちゃんと千音ちゃんも誘おうよ」

「そうですね。お2人もご招待しましょう」

「そうだね、そうしよう。でも……やっぱり、ちーちゃんと2人にきりになりたかも……」


志麻がそう言って、わたくしにもたれて来ました。


「今は二人きりですよ……」

「そうだね……」


そういうと、お互いの足が止まました。

そして、周り誰もいない事をお互い確かめると、見つめ合うと……

志麻は背伸びをして、わたくしに口づけをしたのでありました。


「今度はぼくがキスをしてあげたよ。ちーちゃん、大好きだよ……」

「わたくしもです……」


わたくしと志麻はお互い顔を赤くしながらしばらく見つめ合っていました。

そしては再び手を繋ぐと、暗くなり始めた家路をゆっくりと歩くのでした。


<完>

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る