第21話 志麻はほだかと千鳥お嬢さまのプレゼントを買いに行く

 ちーちゃんの誕生日まであと、2日。

今日はほだかちゃんと2人で買いものに行くけど、もちろんちーちゃんは一緒に行かない。

ちーちゃんもこの事をわかっているから何も言わないけど、顔は寂しげだった。

でも、ちーちゃんのプレゼントを買うためだから、一緒に行く訳にはいかないからね。


「千鳥ちゃん、寂しそうでしたね」

「いつもぼくたちと一緒だから、たまに1人になると寂しんだよ」

「強がりな所もまたいいですよね」

「そう、そこがちーちゃんの可愛い所なんだよね」


ぼくたちはそんな事を話しながら、駅近くの店へ買い物へ行った。


 今年のプレゼントだけど、今までは文房具だったけど今年は少しいい物を

と思ってはいたけど、この前ほだかちゃんと電話で話して今年も文房具にする事にした。


「でも、ペンケースって女の子らしくないよね」

「確かにそうですよね。さらに言うと、高校生らしくもないです」

「文房具で良いって言ったほだかちゃんがそれを言うかな」

「あの時は良いと思ったのですが、今になってやはり違うと思いました」

「やっぱり、そうだね。ぼくもそう思ったんだ」


電話ではペンケースか何かでいいんじゃないかと思ったけど、店に来たら

やはりちがうかなってなった。

たた、予算は元々2000円なので、買える物は限られいると思うけど。


「2000円で何が買えるかな?」

「いざ言われるとわかりませんね」

「靴下やハンカチでいいかな?流石に下着は……違うかな」

「志麻さんが下着を渡したら、絶対に説教ですよね」

「それはそれでご褒美だけど、誕生日プレゼントでちーちゃんを怒らせたら意味ないしね」


さすがに誕生日にちーちゃんを怒らせる真似はしないよ。

靴下よりはハンカチでいいような気はする。

ただ、ちーちゃんの普段使っているハンカチは見た目からしても、高そうだけど


「ちーちゃんの使ってるハンカチって見た目からして、高そうだね」

「見た目は高そうですが、そうでもありませんよ」

「え、そうなの?」

「1枚で2000円程なので高い方ですが、多分、志麻さんが想像している程では無いです」

「そうなんだ」


ぼくは1枚5,6000円はする高い物を使ってると思ってたら、そうでもなかった。

いや、1枚500円とかで売ってるから、1枚2000円でも十分高いけどちーちゃんなら

もっと高い物を使ってるイメージだったからね。


「なら、ハンカチでいいかな」

「それが一番無難でしょうね」


と言う事で、値段的にも物のとしても一番よさそうなハンカチにした。


「問題はどんなデザインにするかだね」

「志麻さんから貰えば何でもよいですが、どうしましょう」

「これなんかどうかな?」


ぼくが選んだのは花柄模様のハンカチ。

これならば、女の子らしいと思うし。


「それもよいですが、あえて無地にして大人らしさがあっても良いですよ」

「確かに、ちーちゃんは大人らしいのもいいよね」


値段は1500円程するけど、無地でシンプルなハンカチもちーちゃんに似合いそうな感じがするよね。

他は国産タオル生地のハンカチだけどハンカチと言うよりは、これはハンドタオルかな。

これ以外に他にないか見てみるけど、意外と種類があってみているとシンプルなだけに逆に悩む。


「意外と悩むね」

「わたしはこれにしましたよ」


ほだかちゃんは白い無地のシンプルなハンカチを選んだ。

白い無地のハンカチは飾りがなくて、なんだか大人ぽいかな。


「ぼくはどうするかな……」


ぼくは悩むけど、ほだかちゃんがハンカチならば、ぼくは他の物にしてもいいかもしれない。


「ぼくとほだかちゃんと別の物した方がいいかな?」

「志麻さんがそう思うのならば、それでも良いと思いますよ」

「それじゃ、違うものにするよ」


ぼくはほだかちゃんと違うものにする事にした。

でも、ほかのものにすると言っても何にしよう。

ぼくは普段ちーちゃん身に着ける物……服や下着以外で何かいい物が無いかと考えた。


「そうだ、髪を縛るリボンでいいかも」


ちーちゃんの髪型はドリルじゃないけど、目に髪がかからないように結っている。

普段はヘアゴムで結ってるけど、リボンでもいいかもしれない。


「ちーちゃんの色って何かな?」


ぼくたちはヘアリボンを選んでるけど、ちーちゃんの色ってなんだろう。

個人的には紫って感じだけど、あとは黄色やブラウンって感じかかな?


「わたしはブラウンって感じですかね。あと、紫のイメージもあります」

「ぼくも紫のイメージはあるから、紫というかパープルでいいよね」


ぼくもほだかちゃんもちーちゃんの色はパープル系なので、パープルのリボンを2つ買った。

あと、なんとなくだけど黒のリボンもかったけど、黒もちーちゃんに似合いそうなのでこれも買おう。


 レジでお金を払うと、プレゼント用にラッピングを頼んだら無料でしてくれた。

リボンは2000円をちょっと超えたけど、お金は足りたから問題は無い。


「お腹も空いたし、何か食べようか」

「ファストフードでいいと思います」

「その方が気楽でいいか、ようしよう」


ぼくたちはファストフードの店でお昼を食べたけど


「ちーちゃんのご飯はどうしたの?」


とほだかちゃんに聞くと


「お母さんが作ってありますので、大丈夫ですよ。

ただ、1人で食べるのはきっと寂しいと思います」


と答えた。


「確かに、1人じゃ寂しがってそうだね。ぼくも時々1人で食べる事があるけど、そうでもないかな」

「千鳥ちゃんはわたしとお母さんのどちらかと必ず食事をしてますからね。

わたしは千鳥ちゃんが寂しがらないようにと、小さい頃は一緒に居ますので

そのせいか1人だと寂しがるのです」

「ちーちゃんってなんだかんだいって、ぼくたちがいないとダメだよね」

「そうですね。志麻さん時々いってるに行って

わたしと2人でだけで帰る時は何か寂しげですし」

「ちーちゃんはぼくが好きなのに、あんな事を言って素直じゃないな」

「そういえば、何か約束をしている感じでしてますが、何かをしているのですか?」


ほだかちゃんにはちーちゃんを誕生日までにデレされたら、付き合う約束は

話してないけど、様子から何とかなく察してるみたいだ。

でも、結果が出るまではほだかちゃんであっても話さない。


「してはいるけど、これはぼくとちーちゃんの事だから、ほだかちゃんには結果が出るまで内緒だよ」

「そうですか、わかりました」

「ただ、もうすぐ結果は出るけどね」


ぼくはニヤニヤしながら話すけど、ほだかちゃんの表情を見てると大体は察してる感じはする。


「お昼ごはんも食べて、買い物をしたけど、気づいたらもうこんな時間なんだね」


時間を見ると、もう15時過ぎになっている。

家を出たのは10時ぐらいで、駅前までは歩いて30分ほど。

そして、何を買うかいろいろと店を巡って最終的に購入した場所は

駅からちょっと離れたショッピングモールだったけど、店の移動だけでも

1時間はかかってるから、物を選んでご飯を食べたらこれぐらいになるか。


「それじゃ、帰ろうか」

「そうですね。一応、ちどりちゃんに連絡をします」


ほだかちゃんはちーちゃんに通話をしてみたけど、何度かしたけど出ない。

しかたがないから、メッセージを送っておいた。


「通話に出ないってどうしたのかな?」

「マナーモードにする場所に行っているかもしれません」

「図書館とかかな?」

「場所はわかりませんが、千鳥ちゃんは家にいと言ってましたので鍵は持ってきません」

「そうなんだ。もしぼくたちのほうが早かったらぼくの家にくればいいよ」

「そうですね」


ぼくとほだかちゃんは帰宅すると、ちーちゃんの家に行ってみたらやはり鍵がかかっていた。

ほだかちゃんが通話してもやはり出ず、チャイムを何度鳴らしても出ないから

ちーちゃんはどこかに出かけて帰って来てないようだ。

なので、ほだかちゃんはぼくの家にきたけど、ちーちゃんからの返信が来たのは

日が暮れ始めた頃だった。

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