第20話 千鳥お嬢さまは志麻とほだかがいないので寂しい

テストも無事に終わり、休みにはいります。

本日は家でゆっくりするのですが……志麻とほだかは2人で出かけましたので、自宅に1人でいます。


 わたくしの誕生日が近くなりますと、志麻とほだかは2人でわたくしの

誕生日プレゼントを買いに行きますので、わたくしが1人になります。

常に2人が側に居ますので、2人がいないと何か寂しいです。


ほだかは、土日はすぐ近くの実家に帰ります。

しかし、土日でも昼は梨子さんと一緒に料理をしに来ます。

なので、実家に帰っても土日も一緒なのです。


 志麻は土日はわたくしの家に来たり、わたくしが志麻の家に行ったりします。

時々わたくしも両親とお得意さんの所へあいさつ回りをする事もありますが

年に数度なので、やはり土日も志麻と一緒の事が多いです。


(なんだかんだで、常に2人と一緒ですね……)


時々は1人で出かける事もありますが、常に志麻かほどかのどちらかが隣にいます。

そんな事を考えてながらわたくしは机に向かい、テストの自己採点をしていましたが今回も良い出来です。

わたくしの成績は学年1位と言う訳ではないですが、それでも10以内に入っています。

志麻もわたくしと同じく10位以内をキープしています。

ほだかは10位以内を行ったり来たりでありますが、メイドの仕事もしていますので

そう考えると、ほだかもかなり頑張っています。


(そろそろお昼なので、食事にしましょう)


わたくしは2階の自室から、1階のリビングに降りるますがいつもならば

ほだかと梨子さんの姿がありますが、本日は梨子さんも所用があるそうなので

昼と夜の食事を作ってお帰りになったので、1人で食事をとります。


(1人の食事はいつ以来ですかね……)


ほだかは梨子さんがメイドとして我が家で働いているのもありますが

わたくしが1人では寂しいので、話相手としてほだかも家に来るようになりました。

ほだかは初めは梨子さんの手伝いでしたが、中学生から本格的にメイドの仕事を

しだして、高校に入学後はほだかもバイトとして雇う形になっています。


 ただ、ほだかも志麻と同じ幼馴染ですし、最近はほだかは個人として付き合うように

なってきましたので、さらに距離が縮んだ分、寂しががひとしおです。


(料理はおいしいですが、何か物足りないです)


味は何時もの梨子さんの料理ですが、1人だと物足りないです。

やはり、ほだかと梨子さんがいて美味しくなるのです。


 昼食後は少しでかける事にしました。

出かけると言っても、近所を散歩するだけです。

特に行く所はありませんが、まずはミヤコ様の稲荷神社に参拝します。

参拝してもミヤコ様は出て来ませんでしたが、何かお願いをしないといけないのでしょうか。

ミヤコ様が叶える願いは1つなので、大事に残しておきたいです。

ただ、願い事はありませんが、ミヤコ様をお話だけでもしたいです……。


 わたくしがそう思いながら帰ろうとすると、以前のように社が光出し


「ははははっ!わらわを呼んだか小娘!」


ミヤコ様は相変わらずの登場しましたが、ミヤコ様が登場する条件は行ったなんでしょう。

でも、折角出て来てくれましたので、お話をします。


「呼んではいませんが、せっかくいらしてくださったのでお話でもしましょうか」

「そうか?呼ばれた気がするのじゃが……ま、よい、わらわも暇だからな。

そういえば、今日は小娘1人か」

「実はですね……」


わたくしは今日、志麻とほだかはわたくしの誕生日に贈る物を選びに

行っているため1人いう事はミヤコ様にお伝えしました。


「そうか、つまり、1人で寂しいという事なのじゃな」

「はっきり言えばその通りです」

「そうか、そうか。小娘は見た目は立派だが、やはり16の娘じゃの」

「確かにそうです……」

「ほれ、わらわでよければ抱きついても良いぞ」


ミヤコ様は両手を広げて、抱きつきなさいというポーズをしています。

確かにミヤコ様の狐耳やもふもふそうな尻尾に触りたいのですが

そんなところを誰かに見られたらこまります。


「ミヤコ様に抱きついている所を、誰かに見られたら恥ずかしいです」

「その心配はせんでよいぞ。わらわが出ている間は他の者は神域には入れぬ。

つまり、鳥居の中にはいれんのじゃ。しかも、外からは単に社があるようにしか見えん。

なので、わらわに抱きつくがよいのじゃ。さ、わらわの胸に飛び込むのじゃ」


ミヤコ様は『さ、来るんだ』という感じで居ますので、お言葉甘えます。


「では、抱きつかせていただきます」


わたくしはミヤコ様の胸の入り抱きつきますか、耳と尻尾以外は毛はないようです。


「本当にかわいい小娘じゃの。ただ……わらわの身体に立派な乳が当っているのじゃ。

むかしは立派な乳は喜ばれぬものだったが、今はこの立派な乳がよいというから

時代はかわったのじゃ」

「そうなのですか?」

「昔は今ほどあまり乳は気にしてなかった思うのじゃ。

わらわも詳しい訳じゃなのじゃが、昔は小娘みたいな立派な乳の物がいなかっただけかもしんのじゃ」


ミヤコ様はそういいますが、志麻がいないのに胸の話になるのは不思議です。


「ところで、小娘は志麻とうまくいっているが、まだつがいになっておらぬのか?」

「はい、まだです。でも、つがいになるつもりはありませんので」

「まだ素直ににならんのか。まぁ、よい、それも時間の問題のようなのじゃ。

その時はまた会いに来るのじゃ。あと、今回はわらわが暇だから出てきたけなのじゃ。

だから、数に入れんが、最近さらに参拝者が減って暇のじゃ」


どうやら、ミヤコ様は本当に暇でできたみたいです。

あと、この稲荷神社は手入れはされていますが、参拝する人は確かに少ないようです。


「小さい神社に参拝する方は少ないですからね」

「氏子衆はちゃんと手入れはしてくれているから、わらわの力も保ってはおるのじゃ。

ただ、もっと願いが願う事を宣伝して、がっぽがっぽ儲けたいのじゃ。

いや、もっと人間の役に立ちたいのじゃ、ははははっ!!」


ミヤコ様はつい本音がでたようで、言い直して高笑いで誤魔化しました。

ただ、これはミヤコ様らしいですし、かわいいのでまた抱きしめました。


「な、なにをするのじゃ」

「ミヤコ様がかわいらしいですから、ついです。あと、もふもふの尻尾こうしたいです」


わたくしがミヤコ様の尻尾を触ると


「ひゃああああっ!!!」


と大きな声を上げましたが、尻尾はやはり敏感なのですかね。


「い、いきなり尻尾を触る出ないぞ!」

「尻尾は敏感なんですか?」

「もちろん、敏感なのじゃ!」


ミヤコ様は急に触られて、驚いたようです。


「それはすみませんでした、あやまります」

「べ、別に触るのは良いのじゃ……。ただ、敏感だから、触る前にはちゃんというのじゃ」


ミヤコ様が顔を赤くしていますが、可愛いですね。

思わず頭をなでてしまいました。


「これ、頭をなでるでないぞ。これじゃ、わらわがわらしみたいなのじゃ」

「ミヤコ様はかわいいお狐様ですから、つい」

「かわいいなら、仕方がないのじゃ。やはり、わらわには大人の魅力があるのじゃな」


大人の魅力というよりは、可愛いロリ系ですが、言うのはやめておきましょ。


「ミヤコ様には独自の魅力がありますね」

「独自の魅力とは、さすがわかっておるのじゃ。さて、わらわもそろそろ寝る時間なのじゃ。

暇であったが、小娘と話せてよかったのじゃ。もっと素直になるのじゃぞ。

では、お休みなのじゃ」

「ミヤコ様とお話しできて、わたくしも良かったです」


ミヤコ様が社に戻ると光が消えて、元の社に戻っていましたがいつしか夕方になっていました。

そういえば、ミヤコ様はもう寝る時間とおっしゃってましたが、体感的には

数十分程度でしたが、数時間も経っていたらしく、あの空間では時間の流れが違うのでしょうか。


 ただ、夕方と言う事は、志麻とほだかが帰る頃ですので、家に戻らないといけません。

家の戸締りをしておきましたが、すぐに帰るつもりでしたし、ほだかもわたくしが

家にいるからと言う事で、鍵は持って行きませんでしたので急いで帰ります。

そして、スマホを念の為確かめると、ほだかから通話の着信とメッセージが届いたので

読んでみましたが、


『鍵が締まっていたので、志麻さんの所にお邪魔しております』


とあったので、わたくしは急いで帰宅したのでありました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る