第14話千鳥お嬢さまは志麻が男子にモテるのを知る

志麻が用を足すと、先ほどの話の続きをします。


「つまり、ちーちゃんはぼくと佐藤君が一緒にいるを見て、トイレに隠れて

ぼくたちの話を聞いてたんだね」

「すみません……」

「別にいいって。ぼくも佐藤君も周りに人がいないと思って聞こえるように話してたからね」


志麻はこう言いますが、志麻はわたくしが明らかに悪い時でも自分が悪いといって

わたくしを責める事しまんせんが、これは太志の時から同じで好きな理由です。


「でも、ぼくって意外と男子にモテるんだよね」


志麻は自分でも男子にモテると言っています。

ただ、志麻がモテている場面を見たのは今回が初めてです。


「ほだかも言ってましたが、そんなに男子にモテるのですか?

わたくしはそのような場面を見たことありません」

「ちーちゃんがいる時は皆気を使ってるからね。

基本的にぼくはちーちゃんとほぼ一緒にいるけど、ちーちゃんが隣にいない時は言い寄られるよ」

「そうなのですね」


だからわたくしは志麻が言い寄られている所を見た事ないのですね。


「ただ、告白までされたのは佐藤君が初めてだけどね」

「そうなのですね」

「言い寄ってくるけど、ぼくとちーちゃんは百合カップルだと思われてるからね。

話しはしても、告白しないとなって言う紳士協定があるみたい。

それに百合に挟まるのは許されないしね」


わたくしが知らない所で、そんな事になっていたのですね。


「さらにおっぱい同盟の同士には手を出さない決まりもあるからね」

「はぁ……」


志麻から再び『おっぱい同盟』と言う言葉が出てきましたが、気にしないでおきましょう。


「だから、佐藤君は複数の違反をしたけど、ぼくが黙っているだけでいいからね」


正直、佐藤さんがわたくしの知らないルールのルール違反をしたところで

そうですかとしか言いようがありませんが、志麻の口ぶりでは重大な違反見たいです。


「ただ、見てるとぼくを狙ってる男子は佐藤君の他に後2人か3人はいるかも」

「そうなのですか?」

「ぼくも見てれば大体わかるけど、さすがに告白する勇気まではないみたい」


志麻も元男子であるので、男子の様子を見ればわかるのですかね。

それとも、それだけわかりやすいだけなのでしょうか。

ただ、志麻が男子にモテるといいますか、気になるられよう存在であるようです。


「でも、ぼくはちーちゃん一筋だからね」

「それはわかっています」

「だから男子とは付き合わないけど……佐藤君はちょっとカッコよかったかな」


志麻の口から男子が格好いいいという言葉出てきましたが

まさか男子が気になるのでしょうか。


「カッコいいのですか?」

「そうだよ、ぼくとちーちゃんを見守る紳士協定に、おっぱい同盟規約

そして……百合の間に挟まろうとした大罪を犯してまで、告白したから漢だよ」


……カッコいいっていうのはそう意味でしたか。

わたくしは志麻が男子に興味を持ち始めたのかと思いました。

わたくしは思わずため息が出ましたが、これは安心したというため息ですが……

わたくしは何を安心したのでしょうか。


 考えてみたら志麻はこの世界線では元から女子でしたから、男子に興味があっても

おかしな事でもありませんが、志麻はわたくしが好きであって同性が好きと言う訳でもありません。

ただ、わたくしが好きと言事はやはり同性が好きと言う事になるのでしょうか。

これに関しては志麻自身もわかっていないようですし。


 もしかしたら、太志だった頃の感情が残っているだけかもしれません。

それに、ミヤコ様が叶えたのはあくまでも女子になる事で、わたくしと恋人になった訳ではありません。

しかし、ミヤコ様はわたくしが志麻と一緒になると言ってました。

でも、これはきっと家族のように一緒にいると言う意味で、恋愛的な意味合いはないと思います。


 わたくしは志麻が好きか嫌いか聞かれたら、好きですがそれはLikeであってLoveではありません。

それに、家族であり幼馴染であるので、いわば家族としての絆と愛なのです。

なので、わたくしが志麻に抱いている感情はあくまでも家族としてなのです。

……ってわたくしは何故言い訳みたい事を考えているのでしょうか。

もしかして、志麻が男子が好きではないかと思ってしまったのでしょうか。


 女子が男子を好きになる事はおかしなことではありませんが、志麻は元男子です。

TSしたとはいえ、話し方とや精神的には男子の部分が残っていはいます。

わたくしにも男子だった頃の記憶がありますので、きっとそれが引っかかっているのでしょう。

けっして志麻が男子にモテる事に嫉妬したりし、佐藤さんを大して嫉妬していない

……はずですが、なんでしょうはっきりと言いきれません。

何かモヤモヤしまうが、志麻は佐藤さんの告白を断ったので気にしない事にしておきましょう。


「なんか、ちーちゃん様子が変だよ?」


あれこれ考えていると、志麻がこういいます。


「ちょっと考え事をしていました」

「ちーちゃんは考え事や悩み事があるとをしてると、目をつぶって腕を組むからね」

「悩み事がありましたら、わたしが聞きますよ?」

「いえ、何でもありません」


志麻もほだかもわたくしの幼馴染なので、わたくしの癖を知っています。


「それならいいけど、ぼくとほだかちゃんには隠し事は出来ないけど

言いたくなかったら言わなくていいからね」


志麻はそう言って、人差し指をわたくしの口に当てます。

念の為言っておきますが、用を足した後ちゃんと手は洗ってあります。

そして、こういう所は太志の頃から変わっていないのです。

ああもう、太志時代からこういう所がキュンといいますが、好きな所なのです。


「当分は話せませんので、話せるときが来たら話します」

「うん、わかった。教室に荷物を取りにいかないから教室に戻るね。

ちーちゃんとほだかちゃんは先に帰ってもいいよ」


志麻は教室に荷物を取りに言いました。

わたくしとほだかもトイレを出て、先に帰ってよいと言われましたので先に帰ります。


「待っても良いのはないのでしょうか?いつもは待ちますし」

「佐藤さんと顔を合わせるかもしれないので、先に帰ります。

きっと、向こうもわたくしたちと顔を合わせるのは気まずいと思いますし」

「そうですね、何か気まずいです」

「では、行きましょう」


わたくしとほだかが下駄箱に向かおうとしたら


「佐藤君、ありがとう。わざわざわぼくの荷物を持って来てくれたんだ」

「教室まで戻ると遅くなるから、持ってきたけど荷物はこれだけだよな?」

「うん、これだけだけだよ」

「なら良かった」


階段の付近で志麻と佐藤さんが話てるのが聞こえましたが、志麻の荷物を

持ってくるなんてなかなかやりますね。

ただ、関心している場合ではなく、佐藤さんと顔を合わせる前にそそくさと

下駄箱へ向かって、靴に履き替えて急いで校門をでました。

佐藤さんの帰宅方向がどちらかわかりませんが、佐藤さんはわたくしたちと

同じか遅く登校してきますが、通学路で1度も途中でお見掛けしてませんので方向は違うはずです。

それでも、佐藤さんと顔を合わせたくありませんので、志麻を待たずに

逃げるようにほだかと帰ったのでありました。

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