第11話 千鳥お嬢さまは「ほだか」にラブコメ展開を目撃される

昨晩はなんとか眠れましたが、眠りが浅かったせいか少し寝不足な感じはします。

ベッドに入ったのは22時30分ぐらいなので、眠れないと言っても

それなりに眠りましたが、いまいちすっきりしません。

なので、今夜は素直に別々に寝る事にしますが、志麻と一緒に寝られた事は

久しぶりなので、ちょっと喜ばしい事ではありますが。


 本日の予定ですが、ほだかが10時に志麻の家へ来て3人で街へ出かける予定です。

昨晩のうちに課題を終わらせたのはこのためで、明日も3人ですごします。


 身なりを整えて、おばさまと朝食を食べますが

わたくしも志麻はまだパジャマ姿ですが、志麻の家なので気にしません。

おじさまはいらっしゃりませんが、おじさまは夜遅く帰ってきまして

まだ寝ているそうなので、おじさまと顔を合わせる事は出来ませんでした。

お父様もお母様もお忙しいですが、志麻のおじさまも同様に忙しい方なのです。


 朝食を頂いた後は、志麻が着替えますが着ていく服を下着姿で悩んでいます。


「うーん、なんかこの服じゃないなぁ」


志麻はおしゃれと言う訳でもないですし、家ではすぐに部屋着やパジャマ姿になります。

ただ、街へ出かける時は意外と着る服を悩みますが、似たような服ばかりで

そこまで悩まなくてもと思います。

その点、わたくしは着る物は決まっているので、意外と悩まないのです。


「街と言っても、学校の近くと駅前に行くだけですから、そこまで悩まなくても」

「そうだけど、暑くなってきたし、かといって薄着過ぎてもって感じだから悩むんだよ」

「もう6月ですし、蒸し暑くなってきたので半袖か薄手の長袖でよいのでないでしょうか」

「半袖だと、店の中が涼しいけど、かといって長袖は外で暑いから悩むよ」


志麻はそう言って、タンスやクローゼットから服を出しますが

出した服を床に散らかしています。


「志麻、服を出すのは良いですが、やたらにしますとわたくしの服と混ざりますし

片付けも面倒になりますので、ちゃんとまとめてください」

「あ、ごめんね……ってこんなに散らかってたんだ」

「時間はもうすぐ10時ですし、そろそろほだかが来ますので着替えないといけません」


わたくしはパジャマを脱ぐと、志麻の服に混じったわたくし服を探しますが

服はすぐに見つかりましたが、志麻の服が床一杯に散らかっています。


「こんなに服が散らかっていますと、踏みますので先に片付けましょう」

「そうだね、踏んで滑ったら危ないしね」

「服を踏んで滑るなんてことはありませんよ」

「ちーちゃん、それはラブコメのお約束のフラグだよ」


志麻はフラグと言いますが、何年にもわたってラブコメ展開を狙いましたが

ラブコメ展開なんて、そうそうある訳がありませんし、そもそも床の材質から

服を踏んだぐらいで滑って転びませんし、例え転んだとしても志麻を

押した倒した様に上手に転ぶなんてありません。


 ます志麻に覆いかぶさるように転ぶには、志麻との位置関係があります。

さらに、志麻がうまくわたくしの方を向いていないとそもそも無理です。

なので、ラブコメといいますか、ラッキースケベなんてそもそも

起こるはずがありませんし、何年も起こし行ってるのに

1か月前にやっと1回ありましたが、その後もその1回だけですし。


「ラブコメ見たい事は起こらないから話になる訳で、実際に起こったら

ラブコメのように上手に覆いかぶさる事なんてありませんから」

「確かに、実際に起こったのってぼくがTSしてすぐに1回だけあったぐらいで

ちーちゃんは10年ぐらい学校に行く時、ずっと起こしに来てるにその1回だけだしね」

「ええ、そうですよ」


志麻もラブコメ展開は起こらないとわかっていますので、足元の服を片付けます。

わたくしは自分の服を別にして、志麻の服を片付けますが志麻にタンスに

服を仕舞うようにと、渡そうと両手が塞がった状態で立ち上がった所

足元に会った服を踏んでしまいました。


「ちーちゃん、危ないよ!」


両手が塞がっていたので、バランスを崩すと同時に持っていた服も

散らばってしまいしたが、わたしを受け止めようとしてこちらを向いた志麻が

立ち上がる前にわたしが倒れて来たため、志麻もてランスを崩してそのまま

後ろに倒れてしまいました。


 志麻が倒れた音がしましたが、まとめた服と志麻が座っていたクッションが

ありまたので大した事はないと思います。

そして、わたしも手を突いたので志麻とぶつかる事はありませんでしたが

志麻に覆いかぶさっていますが、これはどうみてもラブコメ展開。

そして、志麻が言ってたどおりのフラグでありますた。


「いてて……」

「志麻、大丈夫ですか?」

「クッションもあったし、大丈夫だよ。ただ、ラブコメみたくこんなに上手く

押し倒したように覆いかぶさる事ってあるんだね」


志麻は感心してますが、確かにこれではわたくしが志麻を押し倒したみたいです。

しかも、下着姿なので午前中からそのような事をしようとしたみたいです。

そして、階段を誰かが上がってくる音がしますが、おばさまかほだかと思いますが

おばさまにして歩く速さが早いので、ほだかでしょう。

足音は志麻の部屋の前で止まり、ノックをすると部屋のドアが開き足音の主の

姿が見えましたがやはりほだでした。


「何らやら、音がしました大丈夫ですか?」


ほだかが部屋で音がしたので、様子を見に来たようですが

大丈夫でありますが、大丈夫ではありません。

といいますが、なぜスマートフォンを構えていますの?


「ほ、ほだから、こ、これは…・・・」


わたくしは慌てますが、ほだかは


「わたしは志麻さんの部屋から何か音がしましたので、心配になって

様子を見に来ただけですが、大丈夫のようです」


といいながら、にやけながらカメラを連写しています。


「ほだか……やってる事と表情がどう見ても心配しているように見せんが」

「何を言っているのです、千鳥お嬢さま。こんなラブコメみたい事が目の前で

起きてましたら、写真を撮るに決まってるではないですか」

「最初は心配してと言ってましたが」

「もちろん、心配はしてますが、こちらの方が貴重です」


確かにラブコメにありそうな事が目の前で起ったら、写真を撮りたくなるのは

わかりますが、撮られた方はたまったものではありません。


「これはラッキースケベじゃないよ、ほだかちゃん。だって、ちーちゃんは

ぼくのおっぱいに触てないし」

「そうです、これはちょっとした事故です」


志麻の胸に触ったかどうかは別として、本当に事故だったことを

ほだかに説明しますが、一応は理解してくれたようです。


「部屋の状況から、説明どおりだと思いますが、なぜお二人共下着姿なんでしょうか」

「着替えてる途中ですからです。服を着ようとしましたがわたくしの服と

志麻の服が一緒になったから片付けてようとしたら、足を滑らせたのです」

「千鳥お嬢さまがそんなドジをするとは思いませんが」

「わたくしだって、人間ですからうっかりやミスはあります。

見てのどおり、志麻が考えもなしに服を床に散らかすので、つい滑ったのです」

「ご、ごめんね、ちーちゃん」


志麻は謝りまりますが、足元を気をつけなかったわたくしも悪いので

志麻にはこれ以上、なにもいいません。


「足元を確認しなかったわたくしも悪いので、志麻は気にしないでください」

「うん、わかった」

「しかし、酷い散らかり様ですね。ちょっとお出かけするのにここまでしますか?」

「なんか、着る服に迷って色々だしたら、こうなちゃったんだ」

「そうなのですね。メイドとしては、この状況を見ると片付けたくなります」


ほだかは突然、メイドの血が騒ぎだしたらしく、散らかった服を片付け始めます。


「志麻さん、出した服はわたしが片付けますので、どこに何を入れたかを教えてください」

「うん、わかった」


志麻は着る服を決めて、散らかした服をほだかが片付けます。

その間に、わたくしも服を着ますが、ほだかもメイドなので

片付けや掃除は得意で、志麻の服を畳んで種類や色ごとに分けて

綺麗にタンスにしまっていきます。

服と一緒にブラジャーも一緒に出していましたが、ほだかは

志麻のブラジャーを手に取ると、手がとまりますがどうやらサイズを見ています。


 ただ、ブラジャーのサイズを見て、ため息をついていますが

身長はほだかの方が少し身長が大きいのですが、胸は志麻の方が大きい事は

見た目からもわかりますが、それを気にしたのでしょう。


「片づけが終わりました」

「ありがとう、ほだかちゃん。あれだけ散らかってたのに、すぐ片付いたよ」

「これでもメイドですから」


ほだかはドヤっって感じで、胸をはります。

ほだかはメイドですが、大体の事はわたくし自身でやりますので

正直、あまりメイドらしい事はしていませんが、それでも掃除や片づけは

ほだかの方が上手で得意です。


「しかし、色々悩んだあげく、その恰好ですね」

「変かな?」


志麻はは半袖のTシャツに、ロングパンツで薄手の上着を羽織っていまが

大志だった頃の格好とさほど変わりません。

着るものが女性物にはなっていますが、雰囲気は男子の頃のままです。


「志麻はスカートの方が似合うと思います」

「制服はいいんだけど、私服でスカートはあまり穿く気にならないんだ」

「たしかに、パンツ姿の方が多いですが、それでもスカートも穿いていますよね?」

「近所にいくぐらいスカートでもいいけど、人の多い駅前や街にスカートで行く気にならないんだ」

「そうなのですか」


志麻はロリというよりは、年下の妹系でかわいいので

スカートの方が可愛さが出ると思いますが、今日は仕方がありあません。


「ちーちゃんは、水色のロングスカートに、白い薄手の長袖のブラウスと

清楚系な感じだけど、ブラとかは派手だよね」


志麻はこう言いますが、褒めてるのかけなしてるのかいまいちわかりませんが

服は淡色系が多いですが、ブラジャーなどは紫とか好きですので

志麻の言ってる正しいのですが、でも何か違いますがとりあえず良いでしょう。


「着替えましたし、でかけますか?」

「そうだね、どこ行こうか」

「わたくしとしては、このお店に行きたいですわ」


わたくしはスマートフォンで事前に行きたいお店で伝えますが

このお店は有名なパティシエが、東京以外にお店を出した事で

話題になっているいお店です。

場所も学校の近くですので、学校帰りに志麻とほだかで様子を見に行きましたが

長い行列が出来てい、入れる様子でもなく諦めました。

その後、行列が無くなった後でも店が混んでおり、やはり待ち時間が

それなりに長いとネットにありましたし、1,2度実際に見に行きましたが

ネットのどおりでしたので諦めました。

ただ、2か月経ちまして今も混んではいますが、待ち時間なしか

さほど待たなくても良いとありますので行く事に決めました。


「そのお店はぼくも行きたいと思たから行こうよ。

開店時はすごい行列ができてて入れる状況じゃなかったし」

「ほだかはどうですか?」

「わたしは千鳥お嬢さまが行きたいのなら、行きますが

わたしもそのお店には行きたいと思っていました」

「わかりました。それでは行きましょう」

「でも、値段を見たら結構高いね」


お店のサイトにお値段が書いてありますが、東京のお店よりは

2割ほど安いそうですが、それでも地方ではお高い方ですし

何より、高校生が気楽に行けるお店はありません。


「わたくしが誘いましたので、志麻の分も出してあげますわ」

「え、ケチなちーちゃんが、おごってくれるの?」

「ケチではありません、不要なお金を使わないだけです。

せっかくわたくしが出してあげますと言っていますのに、ケチといいますなら

出すのをやめますよ」

「ご、ごめん、ありがたくおごってもらいます」

「最初から素直にそう言えばよいのです」


このやり取りは毎度の事ですが、志麻は最初から素直にお礼を言えばいいのに

余計な一言が多いのがいけません。

ただ、志麻に何を言われても、最初からおごりますが。

あと、ほだかがこのやり取りを見て笑っていますが、もしかして

これはツンデレなのでしょうか?


「以前より空いてはいるといいましても、やはり混むお店ですので行きますよ」

「まって、荷物を取るから」


志麻は足元にあるバッグを取ろうとしますが、膝を折ればよいのに

足を延ばしたまま取ろうとしたので、バランスを崩します。

そして、バランスを崩した志麻は、そのままわたくしに倒れ込んできましたが

わたくしも突然、志麻がこちらに来ましたので、後ずさりした時に足元にあった

クッションに足がひかっかり、クッションのしりもちをついてしまいました。

さらにそこに志麻が倒れてきましたが、志麻の顔がわたくしの胸元にありました。


「し、志麻、なにをしてますの!!」


わたくしは怒る振りをしますが、実際は喜んでいます。

こんな完璧な展開、そうそうありませんからね。

ただ、後ろでほだかがまたスマートフォンで撮影してますが

後でもちろん消させます。


「ご、ごめん、わざとじゃないんだ」

「わ、わかっています……。だた、危ないので気を付けてくださいね。

あと、出かける前にもう1度お手洗いに行きますので、玄関でお待ちください」


わたしはそう言って、先に部屋を出ますがトイレに行くのは本当です。

志麻の顔が胸に触れた時は少し驚きましたが、実際にラブコメみたい事が

起るとかなり慌てますが、考えてみましたら人が倒れてくるのは危ないですからね。

ラブコメ展開を望んでいましたが、いろんな意味で身がもたないですね。

ラブコメの主人公は実はかなりタフでないと務まらないのでしょうかね?


そんな事を考えていましたが、あまり待たせるといけませんの用を足すと

志麻とほだかで目当てのお店に出かけたのでありました。

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