志麻の家にお泊りをします

第8話 千鳥お嬢さまは志麻の家にお泊りをします

 わたくしの両親は大企業のグループ会社、柳ホールディングスの経営トップです。

なので、毎日忙しいのですが、それでも必ず家に帰宅するようにして

わたくしと1日1回は顔を合わせるようにしております。

そんな両親でも以前は家を数日、場合によっては1か月開ける事もありました。

今はリモートで話し合いが出来ますので、以前よりは家を空ける事は減りましたが

それでも、どうしても現地へ行かないといけない事もあります。


「千鳥、明日から母さんと共に海外へ1週間、張になったから

土日はお隣に泊めていただく事にしたよ」

「そうですか、わかりましたお父様」

「千鳥、そのお父様はやめてくれないかな。普通にお父さんでいいんだけどな」

「そうは言いましても、お爺様とお婆様にしつけられましたので」

「まったく、おやじたちは古風というか、創作の影響というか

今時、こんな言葉遣いする必要はないと思うんだがな」

「別にいじゃないの、キャラがって立っていますし。

と言う事ですから、学校から帰ったら、志麻ちゃんの所へ行ってね」

「わかりました、お母様」


小さい頃から両親がいない時と使用人がいない時が重なると

今でも志麻の家へお泊りへ行っています。

太志だった時は同じ部屋に泊まる訳にはいかないので、別の部屋で寝ていましたが

今、わたくしの記憶の中にあるのは、志麻の部屋で一緒に寝ている記憶です。


 小さい頃は太志と同じベッドで寝てはいましたが、それも12歳までの話。

わたしの胸が膨らみ始めたのと、初潮が来たのもあって別の部屋に寝るように

なりましたが、志麻になってからはそれ以降も同じ部屋で寝ていますが

流石に同じベッドではなく、別々で寝てはいます。


「土日は実家に帰るので、お嬢様と志麻さんがイチャイチャが見られないのは残念です」

「といいましても、毎週帰っていますよね?」

「まぁ、そうなんですが」


安曇の家は我が家から3軒隣、つまり志麻の隣の家を挟んですぐの所なのです。

メイドと言っても、身の回りの事はほぼ自分でやりますので安曇がする事は

実際はほとんどないのですが、元々は幼い頃に両親が留守がちで

わたしが寂しがるので、話し相手として同じ年頃の女の子であった

安曇がメイドになったのです。


 なので、実はメイドらしいことは特にしていませんが、わたしくの頼みごとを

聞いてくれますし、両親がいない時は家事をやってくれています。

メイドがいるならば、他に執事やメイドがいると思われがちですが

実際はお手伝いさんとして、安曇家が代々働いているいるだけです。

両親がいる時は両親が家事や食事の支度をしますが、わたくしも

料理はそれなりに出来ますし、家事だって今は自分でもある程度します。


 ただ、わたくしがやりすぎると安曇の仕事がなくなるので

時々は安曇にやってもらいますが、安曇も言う程家事や料理がうまい訳でなく

料理に関してはわたくしの方がうまいぐらいですし、安曇の母親の梨子さんが

プロと同じ料理の腕を持っていますので、梨子さんが食事を用意してくれています。

ただ、土日は梨子さんも安曇も休みなので、梨子さんが用意してくますが自分でも作ります。


「ところ何時も思うのですが、お嬢様が志麻さんの所に泊まるのでなく

志麻さんがこちらへ来る方が留守にしないから良いのではありませんか?」

「確かにそうなのですが、小さい頃から志麻の所に泊まっているので

疑問は思っていませんので」

「そですか。理由は特にないんですね」

「多分、無いと思いますよ」


理由は本当に覚えていません。

もしかしたら何かしらの理由があったかもしれませんが、思い当たるしたら

赤ん坊の頃に志麻の家で志麻のご両親に面倒を見てもらったからでなのでしょうか。

それが今も続いて、志麻の家に泊まる事になっているのだとも思います。


「という事なので、今夜から志麻の部屋に行きますからね」

「うん、わかった。一応、母さんからも聞いてるけどね」


学校へ向かいながら、今夜泊まる事を志麻と話します。


「2人きりなのは良いのですが、エッチな事はいけませんよ?」

「ほだかちゃん、ちーちゃんはガードが堅いから無理だよ」

「女子同士でエッチな事は元からしません」


安曇がからかいますが、もちろんエッチな事はしないです。

太志だった頃、ラッキースケベ的な事をわたくしがあえて仕掛けて狙っていましたが

大志はそれを読んでいたかのように回避していましたが、大志は変な所で

危機回避能力が高いのは何故でしょう。

それとも、ラッキースケベはこちらから仕掛けてはいけなかったのですか。

考えてみたら、意図的に起こしたらそれは単なるスケベですね。

ラッキースケベを実際に発生させるには、意外と難しそうです。


「ちーちゃんの着替えは体育で見てるし、ちーちゃんもぼくの着替えは

毎朝ぼくの部屋で見てるから、下着姿を見ても興奮する事はないかな」

「志麻って女子の下着姿や裸を見て興奮するのですか?」


志麻は一応元男子でもあるので、女子の見て興奮するのかは気になります。


「んー、興奮する事はするけど、ちーちゃんやなのちゃん、千音ちゃん、

ほだかちゃんをみて興奮する事はないかな。ちーちゃんのおっぱいは好きだけど」

「一応、するのですね。そういえば、志麻の恋愛対象は女子なのですか?」


わたくしが一番気になっている部分はここです。

志麻は元男子でありますが、今は最初から女子でもあります。

なので、恋愛対象は女子なのか男子なのかは非常に気になるのです。


「んー、自分でもよくわからないけど、どちらかというと女の子かな?」

「そうなのですか」

「多分だけどね。でも、好きなのはちーちゃんであって、女の子が

好きって言われたら自分でも言い切れないかなって」


志麻の恋愛対象は一応、女子らしいのですが自分でもはっきりしないようですが

わたくしが好きと言う事だけは言い切れるようであります。


「でも、ちーちゃんは好きだけど、性的に興奮するかまた別かなぁ」

「つまり、恋愛の好きというよりは、家族や幼馴染として好きと言う事ですか?」

「まぁ、多分、そっちかな。でも、おっぱいは好きだよ」

「それはわかりましたから」


まとめると結局、わたくしのおっぱいが好きなだけな気がしますが

わたくしを慕っている事は間違ないのですが、何か引っかかります。



―—学校が終わり、帰宅後


お泊りの準備をして、志麻の家へ向かいます。

両親はわたくしが学校へ行っている間に、空港へ向かいましたので

今頃は飛行機の中です。

志麻の家へ行く前に、戸締りやセキュリティを確認して家を出ます。


「では、わたしは家に帰りますが、明日は志麻さんの家へ遊びに行きます」

「それは構わないのですが、安曇も一緒に泊まっても良いのではないのしょうか?」

「今回はやめときます。あと、いつになったら名前で呼んでくれるのですか?」


安曇は自分の名前をいつまでも呼んでもらえない事を、言っていますが

もちろん安曇の名前がほだかと言う事はわかっています。

ただ、何故か安曇は安曇でほだかと呼ぶのは違う感じがします。

さらに、ほだかと呼ぶのは何故かわかりませんが照れくささがあるのです。

ただ、周りの皆さんがほだかというので、わたくしも名前で呼んだ方が

良いのかもしませんが。


「安曇は名前で呼ばれたいのですか?」

「名前で呼んでいないのは千鳥お嬢さまだけですよ?

一番身近な人物なので、名前で呼んで欲しいです」

「わかりました、それでは名前で呼びます」

「そうですか、ありがとうございます。では、早速呼んでください」

「わかりましたわ」


わたくしは安曇と向かい合いますが、何でしょうかこの照れくささは。

ただ名前を呼ぶだけですが、このように向かい合ったら告白でも

するような雰囲気に感じててしまいます。

もちろん、告白ではないのですが、安曇は「早くほだかと呼んでください」

という顔をしてますし、志麻の所へ行かないとなりませんので、早く終わらせます。


「では、呼びますね。ほ、ほだか……これでよろしいでしょうか?」


わたくしがほだかと呼びましたが、ほだか自身は納得しておりません。


「なんかぎこちないですね。長い付き合いなんですから、自然に呼んでください」

「わかりました。でもは、もう一度……」


少し間をおいてわたくしは「ほだか」と呼ぶと、今度は納得してくれたようです。


「千鳥お嬢さま、ありがとうございます。それでは戸締りなどもう一度確認して

家を出る事に致しましょう」

「そうですね」

「あと、安曇でなく、ちゃんとほだかと呼んでくださいよね」


ほだかが顔を近づけくますが、ちょっと近いです。


「わかりました、これからはほだかと呼ばせていただきます。

ではほだか、行きますわよ」

「ありがとうございます」


ほだかはにこりと笑うと、戸締りやガスの元栓、水道などを確認すると

わたくしとほだかは家を出て、玄関の戸締りを確認して、志麻の家の前で別れます。


「では、志麻お嬢さまとお楽しみください」

「ほだかも、これから少しぐらい顔を出しても良いのですよ?」

「すませんが、遠慮します。土日に遊びに行きますが、夜はお二人でいてください」

「そうですか。では、また明日、お会いしましょう」

「では、失礼します」


ほだかは家に戻りますが、志麻の家の2軒隣なので家に入っていく姿を見送ります。

ほだかを見送ると、わたくしは志麻の家のチャイムを鳴らすのでありました。

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