第6話千鳥お嬢さまはミヤコと対面する

志麻になって初めての学校が終わりましたが、いつもより疲れた感じがします。

体育の後は特別何かがあった訳ではないのですが、昼休みはなのさんと

志麻がわたくしの胸に関して言い合いをしていましたが、これも何時もの事ではあります。


 太志の頃から女子の胸が好きでしたが、志麻になっても変わってはいないようです。

なのさんも女子の胸が好きですが、それがきっかけで太志と仲良くなったのは

良いのです。

ただ、わたくしの胸を巡って、なぜかお互いライバル視していまして

喧嘩とは言いませんが本人を差し置いて、言い合いをしていまして

わたくしを含めて周りは呆れています。


「ちーちゃん、なんでなのちゃんにおっぱいを触らせたの!」


放課後、一緒にトイレに行こと言われて一緒に来ましたが、このように言われました。


「約束してしまったのでしかたないのです。柳家の人間は些細な約束でも絶対に守るのです」

「そ、それは知ってるけど……」

「それに、わたくしの胸をどうしようと、わたくしの自由です」

「それもそうだけど……」

「志麻も触りたければ、触ってもよいですよ?」

「え、本当!」


わたくしの言葉に俯いた志麻でしたが、胸に触っても良いと

言ったらったら表情が変わりましたが

なのさんといい、志麻と言い、そんなに胸が好きなんですね。

ただ、もちろん、ただで触らせてあげるほどわたくしも甘くはありません。

朝は狙っていましたが、今回は条件を出します。


「ええ、触るどころか揉んでもよろしいでが、条件があります」

「じょ、条件って!?」

「太志を志麻にしたお狐さまに会わせてください」

「なんだ、そんなことか。いいよ、神社に案内するよ」

「案内しても、会えなかったら胸に触れるのは無しですからね」

「え、なんで!?」

「わたくしはと言ったので、神社に行くだけでは

駄目です」

「く、しまった……」


幼い頃から一緒にずっと一緒に居ますので、わたくしの性格をよく知っている

志麻ならば「いいよ」と言った時点で、承諾した事になるので

言い返せない事はわかっています。


「ということなので、お願いします」

「うー、わかった。その前に、用は済ましておくよ」

「そうですね、せっかくなのでわたくしも済ましておきますが

変な事考えないでくださいね?」

「わ、わかってるよ。それにしても、女の子って男の時よりも我慢できないんだね」


志麻はそういって、慌てて個室に入りますが、どうやら話すためでなくて

本当に用を済ませたかったようですが、わたくしも個室に入ります。

しかし、まさかトイレを一緒にするとは思っていませんが、なんでしょう

志麻にはあのように言いましたが、なぜかドキドキしていて

わたくしの方がおかしいのではないのですが。

本当に今日のわたくしは変ですね。


 お互い用を済ませて、安曇に志麻と2人だけで行きたいところがあると伝えて

安曇先に帰らせ、わたくしは学校を出て自宅とは反対の方向へ向かいます。

学校から大体5分程歩いた辺りに稲荷神社がありましたが、どうやらここのようです。


「ここだよ」

「確かに稲荷神社がありましたが、なんも変哲の無い神社ですね」

「ぼくも最初はどう思ったけど、お賽銭を入れてお参りして願い事をしたら

ミヤコ様がでてきたんだ」

「信じられませんが、太志が志麻になりましたから本当なんでしょう」


実際に稲荷神社に来てみましたが、本当にミヤコというお狐さまが

いらっしゃるのでしょうか。

ただ、説明板には確かに祭神に「善狐」とありますが、お狐さまは確か

神様の使いで一緒にお祀りされています。


 社の前できましたが、お参りをするのは良いのですが願い事はありません。

それに、願い事は1つ言ってましたので、そのミヤコ様を呼び出すだけなので

願いを使い切ってしまいそうなのでどうしたら良いのでしょうか。


「願い事は1つなので、ミヤコ様を呼び出すだけで願い事を使ってしまいますね」

「そういえば、そうだね。でも、他にミヤコ様を呼び出す方法ってあるのかな?」

「志麻が呼べばよいのではないのでしょか?」

「そんな簡単な方法で来るのかな?

それに、ミヤコ様との願いが叶ったらえにしは切れてるし」

「やるだけやってみるのです」

「それもそうか。えーと、お賽銭を……ってお札しかないや」

「ないならば、それでよいでしょう」

「流石に1万円はお賽銭に出来ないよ」

「いつもお金がないと言っています志麻がなぜ1万円も持っていますの?」

「ぼくに聞かれても困るよ、財布の中に入ってたし」

「そうですか。わたくしもお札しかりませんので、千円をお賽銭にします」

「ちーちゃん、悪いけどぼくにも貸して、後で返すから」

「わかりました」


志麻に千円札を渡しますが、わたくしは普通にお参りをします。

志麻はわたくしの横「ミヤコ様でて来てください」と祈っていますが

こんなに簡単に出てくるとは思いません。


「この前は願ったらすぐに出て来たのに」

「1度叶えましたし、やはり1度だけなのでしょう」

「ミヤコ様はドジっ娘だから、しばらく待ってみようと」

「わかりました」


ドジっ娘はともかく、念のため10分程待ってみましたが

社は何の変化がありませんでした。


「うー、やっぱりでてこない」

「仕方がありませんね。わたくしの胸を触るの諦めてください」

「なのちゃんには触らせたのに、ぼくにはなんでダメなの」

「朝、揉んだではありませんか」

「あれは寝ぼけてたし、揉むぞっと思って揉むのとは違うんだよ!」


志麻は大きな声をあげますが、太志の時も胸の話になると

普段は大人しい太志も大きな声を出していましたね……。

志麻になっても、こればかりは変わらないようです。

わたくしが半ば呆れてため息を付きますが、そのミヤコ様が出てこないなら

大人しく帰る事にしましょう。


「出てきませんので、帰りましょう」

「仕方がないね……」


諦めて帰ろうとした途端、社から光が発せられました。

光り方して、社の中から光っているようですが、まさか本当に

志麻が言う、ミヤコ様が出てくるのでしょうか。

さらに普段は閉じている、社の扉が開き人影が見えます。


「ははは!何の用だ小娘!

昨日、願いを叶えたばかりなのにまた来るとは強欲なのじゃ!」

「こんにちは、ミヤコ様」

「うむ、こんにちはなのじゃ」

「今日は願いを叶えに来たというか、ちーちゃん……千鳥ちゃんが

ミヤコ様に会いたいって言うので来てみたいんだ」

「志麻がつがいになりと言ってた女子おなごだな。

ふむふむ……志麻よりも大人の女子であるが、よく見たらやはり小娘じゃの」

「ぼくと同じ年だからね」

「たった16年しか生きていない小娘どもと比べたら、人間で990年生きている

わらわはかなりの大人なのじゃ」

「うん、そうだね」


志麻は笑いながら軽く流しますが、わたくはこのようなタイプは苦手なので

ついついきつく当たってしまいそうです。


「ところで、今日はなにようじゃ。願いは1度だけ1つ叶えるといったのじゃ」

「それはわかってるけど、願い事をしに来た訳じゃないよ」

「なんじゃと、それならわらわは帰るのじゃ。せっかく千円という100円よりも

大金を目にしたから思わず出てきたが、出てきて損したのじゃ!」


100円を昔の感覚で大金と勘違いしたので、千円も大金と思っているのですね。

でも、なんでしょう、これはこれでかわいいですわね。

そして、本当に「のじゃ」いうのですね。


「まぁまぁ、そう言わずに、ちーちゃんと少し話してよ」

「願い事がないなら、話す必要もないのじゃ」

「ミヤコ様でしたわね、はじめまして柳千鳥と申します。

志麻からお話を聞いたのですが、どうやらすごいお力をお持ちになったお狐さまで

あらせられるそうですね」

「うむ、千鳥は小娘にしてはわかっておるでないか。

これが本来であって、志麻はわかっておらぬのじゃ」


ミヤコ様はドヤって感じで、胸を張ります。


「太志から志麻に変えただけではなく、初めから太志を志麻に書き換えるほどの

お力をもっているのに、志麻にはそれがわかっておられないようです」

「お主、志麻が太志だった事覚えてるとは、お主もなかなかなのじゃ。

たまに書き換わらないものおるが、そのような物は990年間で6人目なのじゃ。

やはりそのような者でないと、わらわのすごさはわからぬのじゃ」


ミヤコ様はまた高笑いをしますが、わたくしも自分が自体もそんなに珍しい

存在とは思いませんでした。


「覚えてはいますが、少しずつでありますが志麻としての新しい記憶もできています」

「ということは、書き換わるのに時間差があるだけなのじゃ。

ただ、普通は一晩寝たら志麻が太志だった事は忘れるのじゃ。

記憶は書き換わるが、志麻が太志だった事を完全に忘れてないのじゃ。

これだけでも人としてはかなりのもんじゃ」


ミヤコ様はうんうん言いながら感心しますが、そうなのですね。


「しかし、何気なく志麻にしたのだが、今の時は女子同士でつがいになって

交尾をするとは思わんかったのかったのじゃ。

わらわがしたのは志麻にしただけだが、後は2人でがんばるのじゃ」

「いえ、わたくしは女子じょしが好きという訳ではないのです」

「なにを言っておる、お主は女子おなごが好きとなっておるぞ。

だから、大志が志麻になったのじゃ」


ミヤコ様はこのように言いますが、ショタと妹系が好きなだけで

女子が恋愛対象ではありません。


「やっぱり、ちーちゃんは女の子が好きなんだ!」


志麻がそういって、わたくしにくっついてきましたが今は志麻より

ミヤコ様にお話を聞きたいので、無理に払います。


「そんな事はありません。わたくしは男子が恋愛対象です」

「そんな事はないのじゃ。それならば志麻の香りを嗅いで興奮をないはずなのじゃ」

「そ、それは……」


わたくしは答えに窮しますが、ミヤコさまは続けます。


「わらわは願いを叶える時は、ウカ様がお認めになった時だけなのじゃ。

叶うのは1つだけなのじゃが、叶うかどうかは願い事全体をみるのじゃ。

つまり、ウカ様は千鳥が志麻とつがいになるから、叶えたのじゃ」


つまり、わたくしと志麻が恋人になるから、大志が志麻になったと言う事ですか?

しかし、わたくしは恋愛対象は男子であり、女子ではありません。


「何度も言いますが、わたくしは男子が恋愛対象なのです」

「それはわかったのじゃ。わらわの説明がわるかったのじゃ。

千鳥が太志が女子おなごだろうと、男子おのこだろうと、好きだからなのじゃ。

だから、千鳥は女子が好きではなく志麻が好きなのじゃ」

「え、ちーちゃん、そうなの?」

「し、志麻は関係ありません!」


またくっついて来た志麻にわたくしが大きな声を出すと、志麻はわたくしから

離れましたが長年一緒に居ますので、わたしが怒っている事がわかったのでしょうが

今は怒っているのでなくて、慌てているのですが。


「まぁまぁ、慌てるでのでないのじゃ。どうやら、この事は秘密だった様じゃな。

知らずとはいえ、すまなかったのじゃ。ただ、もっと自分の気持ちにすなおになるのじゃ。

わらはわそろそろ寝る時間なので、ここまでなのじゃ。

志麻も千鳥もなかよくするのじゃ。さらばなのじゃ」

「ミ、ミヤコさま、お待ちなってください」


わたくしの声は届かず、ミヤコさまの姿が消え社の光も消えました。

確かに、ミヤコ様はおられましたが、まさかわたくしの本心をばらされるとは想定外です。


「ちーちゃん、ミヤコさまは本当に居たし、会わせてたから約束は守ってね」

「その約束はちゃんと守りますが、流石にここではいたしません。

帰宅したら、志麻の部屋で触れるなり、揉むなりしてください」

「え、いいの?」

「もちろん、限度というものはあります。やりすぎたら許しませんよ?」

「わ、わかってるよ。それじゃ帰ろう」

「そうですね」


わたくしと志麻は神社をでて、帰宅します。

志麻は先ほどの話に関して何も言いませんが、何も言わないと言う事は

きっと切り札として残しておくのでしょう。

あと、今は余計な事を言ったら、わたくしの胸を好きにできないのもあります。

志麻の事ですから、おっぱい優先ではありますがわたくしも

勢いでこんなや約束をしてしまいましたが、柳家の女のとして

もちろん約束は守りますが、なんでしょう、志麻に胸を揉ませると思うと

嫌な感じでなく、むしろ興奮しているのは志麻には内緒です。

早く帰って、志麻に胸を揉ませてあげたい……ってわたしは何を考えているのでしょう。

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