第3話 千鳥お嬢さまはラブコメ展開を期待する
太志のおじさまもおばさまもちろんの事、わたくしの両親も
太志の事を「志麻さん」と自然に呼んでいます。
さらに、安曇も「志麻お嬢様」と呼んでおり、太志が言っていたとおり
最初から志麻として生まれた世界になっているようです。
「志麻になってたとしても、これだけは変わりません」
わたくしは太志改め、志麻の家に来ましたが毎朝の日課になっている
志麻を起こしに来たのです。
志麻は小学校の頃からお寝坊さんなので、わたくしが起こしに行ってますが、
最近といいますか中学生のあたりから起きていても寝ている振りをして
わたくしを待っているようです。
もっとも、わたしくもそれに気づいていますが、ショタ系の太志が好きなだけでなく
太志の匂いが好きでしたので、それを嗅ぎに……いえ、なんでもありません。
とにかく、既に生活の一部になっているので、学校がある日はこうして起こしに
行かないと、リズムが狂うのです。
「おはようございます、おばさま」
「千鳥ちゃん、おはよう。今日も志麻をお願いね」
「わかりました、おじゃまいたします」
おばさまに挨拶をして、2階の志摩の部屋に行きノックをしても
反応がないのですが、何時もの事なので構わずドアを開けて志麻の部屋に入ります。
部屋の匂いは昨日までの男子の匂いではなく、女子の香りになっています。
男子の匂いとは違いますが……何でしょう、この香りも良いです。
太志の匂いを嗅いだ時と同じく、胸がどきどきして興奮します
ってこれではわたくしが本当に女子を好きみたいではないですか。
確かに志麻も妹系で好みですが、これはあくまでも家族的な好きでありまして
恋愛的といいますか、性的に好きではありませんが、正直、少し性的にも
ってわたくしは朝から何を考えているのでしょうか。
それはともかく、志麻はもちろん寝ていますが、昨日まではわざとらしく
布団を頭まで被っていましたが、今日は顔をだしたままで寝息をたてていますので
本当に寝ているようです。
昨晩、志麻が神社から戻って時点で19時を回っており、さらに説教をしたので
わたくしが帰宅した時点で20時を過ぎていました。
帰宅後も宿題を終え、予習をして気づいたら22時まで起きていましたが
22時の時点で志麻の部屋も明かりがついていましたので、夜ふかしをしたのでしょう。
太志の頃から夜ふかしをしていましたが、志麻になったからといって
生活リズムが変わる事はないのでしょう。
「志麻、起こしに来ましたわ、起きなさい」
志麻の肩を揺らすと「うー」という声を上げますが、起きる気配はありません。
「志麻、起きなさい。起きないと遅刻しますよ」
わたしは志麻にかぶさるようにさらに志麻をゆらすと志麻は
「うー、ちーちゃんー起きるよー」
と言って、寝ぼけて手を伸ばますが手を伸ばした先はわたしくしの胸でありました。
「し、志麻、どこを触っているんですか!」
「え……どこって……ってちーちゃん、ごめん!」
そういって、触れた手でわたしくの胸を揉みますが……やっときました!
そう、わたくしが求めていたラブコメ展開が。
太志だった頃も、わざと手を伸ばしたら胸が触れる体勢にしていましたが
考えてみたら普通は起きた時に胸が触れる位置に手を伸ばしませんよね。
ありませんが、今回はついになりました!
やはり、幼馴染を起こしにいったらこういう展開がないといけません。
思わず喜んでしまいましたが、胸を触られて喜ぶのはやはりおかしいですよね。
流石に手をあげるませんが、恰好だけでありますがちゃんと注意はします。
「偶然なので、許しますが今後は注意してください」
「うん、ごめん。今日は本当に寝ぼけて……いや、なんでもない」
今日はと言ってましたが、やはりいままでは狸寝入りだった様ですね。
ただ、今日はやはり本当に寝ていたようです。
わたくしの胸から手をはなして、志麻は起きて着替えますが
わたくしが居ても気にせず服を脱ぎますが、太志時代からわたくしの前で
着替えていたので、気にしませんが志麻の身体は気になります。
寝ている時はノーブラのようですが、胸のサイズは思ったより大きいようです。
下着はもちろん女性ものですが、ピンクの可愛らしい下着ですね。
志麻はパンツだけの姿で、タンスから下着をだし同じ色のブラをします。
しかし、昨日まで男子だったのに、ブラをつけなれていますので
本当に生まれてから女子だっという事なんでしょうか。
志麻は制服のシャツだけを着ると、洗面台に行き洗顔と、髪を整えて
短いながら髪ながら髪を結いますが仕草が完全に女子です。
女子になったので当たり前なのですが。
(TSっ娘は女子になって戸惑ってなのではないのでしょうか。
まったく!神様はTSっ娘の良さがわかっておりません!)
と心の中で叫びますが、神様なりに周りが混乱しないようにしてくださったのしょうか。
志麻は身なりを整えていますが、シャツの裾が短くからちらちら下着が見えてみますが
ラブコメ展開に喜んで、スカートをちゃんと履きなさいと言うのを忘れていました。
「これでよしっと。ちゃんと制服に着替えてくるねってその前にトイレ」
志麻はそう言って、トイレに行きますが……TSしたらトイレイベントは必須!
なのに、これも普通に終わってでてきました。
考えてみたら、既に一晩経っていますので、寝るまでにトイレやお風呂に入っています。
つまり、TSした時の必須イベントはすべて終わっているのでした。
(説教して帰ってしまったが、せめてトイレイベントだけでも見守るべきでした!)
また心の中で叫びますが、どちらにしても結果は同じだったでしょう。
でも、例え結果は同じでも、イベントがある事が大事なのです!
「ちーちゃん、おまたせ。そろそろ行かないと遅れちゃうよ」
「そうですが、少し何か食べた方がよろしいかと」
「えー、そんな時間ないよー」
「こう言っている時間が無駄ななので、下に降りましょう」
「そうだね。母さんの事だから、おにぎりかなにか用意してくれてると思うし」
起こしに来た時間は今までと同じでしたが、女子になったせいで支度に時間がかかり
それに加えて起きるのがいつもより遅かったので、さらに遅くなってしまいました。
女子は準備が男子より時間がかかるので、明日からは少し早く起こしに来た方がよいですね。
「母さん、おはよう。お弁当とすぐ食べられるものない?」
「おにぎりがあるから食べていきなさい」
「時間がないから、歩きながら行くよ」
「まったく、女の子なんだからそろそろ歩きながら食べるのはやめなさい」
「そうだけど、時間がないし」
「仕方ないわね、2人とも気を付けていってらっしゃい」
「行ってきます。ちーちゃん、行こう」
「おばさま、いってまいります」
志麻はおにぎりを咥えながら、靴を履き家を出ます。
学校までは徒歩で10分ほどなので、実の所まだ余裕があります。
ただ、歩きだしたら今までは太志の方が歩くのが早かったのですが
志麻はわたくしよりも歩くのが遅いです。
「ちーちゃん、まってよー」
「わたくしは今まで同じ速さで歩いていますよ?」
「そうだけど、女の子になったら歩くのが遅いんだよー」
「身長はあまり変わっていないようですが」
「そうだけど、なんていうか身体の動きが遅いんだよー」
「きっと、女子になって筋力が落ちたのでしょう。
身長が変わらなくても男子と女子では筋力が違うようですね」
わたくしは歩く速度を落としますが、今までは太志がわたくしに
合わせていたので、今までとは逆です。
「少し速度を落としても間に合いますので」
「ありがとう、ちーちゃん」
わたくしが振り返ると、志麻はおにぎりを頬張っていましたが
歩くのが遅いのは単に握りを食べているからなのではないのでしょうか。
「はぁ……」
それを見て思わずため息をついてしまいました。
「はめいきをくいてどうしたの?」
「食べながら話すのはやめなさい」
「ごめん。ため息をついてどうしたの?」
口の中を飲み込んで聞いてきましたが
「なんでもありません。食べ終わりましたのならば、少し急ぎますよ」
と答えて、歩く速度を上げるますが、今度は志麻も同じ速度で歩いていますので
やはり、遅いのは単におにぎりを食べながらなだけでした。
少し遅くはなりましたが、十分間に合う時間に学校に着いたのでありました。
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