悪童復活
「みんな俺が名前を呼んだら返事をしてくれ!」
「「「「「はあ?」」」」」
お前はここにきて何を言っているというような間抜けな声に
「くくく……
何を始めるかと思えば」
12枚様にはたいそうツボに入ったようで楽しそうに笑ってくださった。
「戦争の末期に入るとそうやって仲間の生存を確認する者たちがいるが、まさにその状況。
よほどあの神獣頼みだったようだな」
「ったりめーだろっ!!! 雪しゃん以上の男前何てこの世には存在しないんだよ!!! なあ雪しゃん!」
「にゃ!」
その通りという様に返事をする雪も今度はへまをしない、そんな気合が伝わって来た。ただし外野は
「相沢、あなた本当にそれでいいのですか?」
「沢田君、少しお付き合いする相手を考えた方がいいぞ」
「あー、だけど雪あっての遥だし」
「猫にフォローされるなんて相沢らしい」
皆さん俺に理解あるといえば良いのかと思うも少々失礼な事を言ってくれてると思う。
なのでさっそく
「岳!」
「ふえ?あ、はい?」
で良いの?という様に逆に問われれば俺は親指を立ててサイコー!と返事をする。
むしろ今更改まって名前を呼ばれて恥ずかしそうな顔をする岳。やだ、そんな顔するなら名前ぐらいいくらでも呼んでやるよ。
おもわずによによする俺とは別に困惑気な12枚様。当然名前を呼んで返事を返しただだけなので何も起きるわけがないこの展開。
意味が分からない、そんな12枚様のお顔は盛大にゆがんでいた。
そこで俺は黒い剣を構えて12枚様に詰め寄り切りかかっていくもどれだけあの気持ち悪い真っ暗な世界を漂っていたのか分からないのに今も平然としている精神力、そして天使様たちの頂点に立つだけに余裕で交わす戦闘スキル。
言ってもいいぞ?
俺が大したことない奴のくせに、と。
だけどな、やる時はちゃんとやるぞ。
結果が共わなくてぶつかって砕ける、それぐらいやって見せる。
砕けちゃいけないけど、ここは逃げ場のない死ぬか生き残るかの究極の二択の場。
今までの世界みたいに人類滅亡して文明が消しさられてももうその場に俺達はいない。
だったら砕け散るぐらいの根性ぐらい見せてやる!
「花梨!」
「はい?!」
いきなり呼ばれて驚いた様な返事。
こんな状況なのに花梨の大きな声に自然と笑みがこぼれる。
これを余裕と言うのだろうか。
思わず手を振ってしまう俺にしょうがないわね、と笑う花梨。
「遥」
「はーい、花梨」
もうね、なんて言うのこの幸せ!
「リア充爆ぜろ!」
林さんの呪いの言葉、そんなもの怖くない。
「羨ましいだろはやっさん」
むしろ煽ってしまう。
「林さんと言え! 俺は帰ったら結城一佐にお願いして見合いをセッティングしてもらうんだ!」
泣きながらの叫びにみんな距離を取り始めるがはやっさんよ、現実を見ろ。
「うちの親父たちみたいになるぞ」
「いうなっ! 夢ぐらい見させろよ!」
なんて泣く林さん、ほんと面白いよなんてことは口にしないが
「千賀さん」
「なんだ?」
「はやっさんよろしく」
「俺の介護士は必要ない」
「ひどい! 俺の事仕事だけの関係だなんて!」
いまだに奥さんラブな千賀さんはウザはやっさんにただ苦笑いするだけ。
「ところで橘さん」
「はい。何ですか?」
「大丈夫ですか?」
聞けばきょとんとした顔で
「意外と大丈夫な状況になりつつあります」
こちらも苦笑い。
「まあ、工藤は問題ないだろうし」
「はっ!ったりめーだろ」
言いながらもぎらぎらとした視線が先ほどの失態をどう挽回しようかチャンスを狙うもの。ほんと血の気が多いなと今度麓のスーパーに献血車が来るから連れて行ってあげようと考えてみる親切な俺。案外血を抜かれる様子に血の気が引いたと叶ったらウケるんだけどなとニヤニヤしてしまいながらも
「三輪さん」
「はい。やっと呼んでくれたか」
「林さん達が頼りないので頼みますね」
「仕方がないなあ。魚の追加よろしく」
もうボールと言わない当たりこの状況になじんでいるようだ。
「なんなんだ!
お前たちはなんでこの神聖なる戦いに無駄話などをしている!」
なんていきなりオコの
「まあまあ12枚様。戦い方は人の数ほどありまして……」
「待て!その12枚様とは一体何なんだ!私には誇り高き名前……」
「え?12枚様は俺がずっと心の中で呼んでるお前の名前。
未だ自己紹介もないから俺の中でお前は12枚様に確定されている」
どや顔で言えば
「さすがにそのネーミングセンスw」
「見たまんま」
「って言うかそこがポイントですか?」
「ないわーって言いたいけど間違ってはないよね?」
岳、林さん、橘さん、花梨も納得のこの名前。
「安心しろ。
今お前のステータスを確認したら名前が12枚様になってたぞ。
よかったなー、ダンジョンに認められる名前でwww」
まじかと皆さん驚きの顔を見せてくれる中で俺は腹を抱えて笑わずにはいられない。
だけどそこは12枚様。
ちょっと涙目になっていた。
あー、あれか。
もともと10枚様と言う階級だったからこんな風にいじられる経験を体験したことがなかったのだろう。したことはあってもだ。
傅かれることに慣れた分だけ打たれ強さを育ててこなかったのだろう。
育ちが良すぎるのも大変だなと頷けばいじめっ子工藤の口元がそれはそれは楽しそうに笑っていた。
「へえ、12枚様か。
ずいぶんと変わった名前だなあ、おい」
うちのイチゴチョコ大福も人様の事笑えないけど圧倒的かわいさがあるので問題ないので名付け親としては申し訳ないが名は体を表すなんて言葉を作った人を恨めと頷いてしまう。
「っていうかさあ、せっかく12枚様って名前呼んだのに返事が出来ないとは、お里が知れたなあ?」
って言うかいつの時代だよ工藤よと突っ込みたかったが
「おやおや?どうしたんだ12枚様よお。おめめをまっかにしちゃってさあ?」
こんな生き生きした工藤を見たのはあの胸糞事件のビデオ依頼だろうか。
思い出して腹立たしいが、こういう時は頼もしい。いいぞもっとやっちまえー!
「なぁなぁ12枚様よお、いったいいつになったらおへんじができるのかな~?」
良いぞー、なんて思ったけどもうどっちが悪役かわからないこの状況。
俺も見物に徹しようと思う事にした。
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すみません!
公開してると思ったらまさかの非公開状態……
なんかボロボロですみません。
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