とりあえずリハビリでコツコツと…

 せっかくの作戦、始まる前から無駄にする男、岳。当の本人はきょとんとした顔で俺達を見る。

 俺達も

「だよなー、こんな漠然とした言葉じゃ岳に伝わるわけないよなー」

 なんてやらせれば大体できる男だけどそこまで理解させることの難しさ、忘れてないわけじゃない。岳は野に放ってこそ一番輝くタイプ。11階で山小屋作ったりツリーハウス作ったりブッシュクラフトキャンプとかして楽しんでいた謎実績。こいつその辺に転がっていた石と泥を重ねてバーベキューコンロを作って満喫している所を偶然見つけた時は驚きの前に普通にご飯をごちそうしてもらったけど。

 ダンジョン崩壊後に岳が作ったものだからトイレに降ってくるなんてことにならなければと俺としては問題ないが……

 とりあえず放出された瞬間収納するものが多すぎて間に合うかと不安になるけど

「三輪さんとお魚でアシスト頼む」

「り!」

「くそっ!俺も巻き込まれたかっ!!!」

「三輪さんの伝説の強肩を期待してますwww」

「っしゃーっっっ! バ〇サン持ってこいっ!!!」

「はい」

 やけっぱちの叫び声、ガチでこめかみに血管が浮いたのを見てやりすぎたかと思って視線も合わせずそっとその手に例のブツをのせてる。

「覚えてます? 

 あの時マロの炎がバ〇サンに引火したの。

 ぶっちゃけ言うと俺の毒魔法だと暴発しないから。

 魔法であの火力に追加効果なんて期待できないけど……」

 はっとしたかのような顔で手の中のバ〇サンを見る三輪さん。林さんが代わりに

「私がタイミングを計るから相沢は対魔法をお願いします」

 軍師の頼もしいお言葉だけど林さんもポケットの中に魚の隣にごろごろと出されたバルサンを詰め込んでいる。むしろ林さんにバ〇サンと言う組み合わせが一番凶暴に視えるのはなぜだろうか。

「そら、急がないと雪が先に襲い掛かるぞ」

「楽しみにしすぎだろ」

 千賀さんも緊張を隠せないで言うけどそこは金の力にものを言わせる工藤も早く戦闘を終わらせたく飛び掛かろうとしている。

 発動してるだけでお金取られるしね。

 どれだけぼったくるつもりかよと思うも対峙しているだけで12枚様と同じレベルに引き上げらてくれるのだからチートもいい加減にしろと言いたい。

 だけど工藤は根っからのパワーファイターなタイプだから下手に武器を使うよりも拳を使う方が上手い。本当にその身一つでここまで強くなったんだと関心をする。

 戦利品の黒い剣は千賀さんに預けてある。

 工藤が構えのポーズをすると同時に雪の前足が少し浮き立ち……

 一瞬にして12枚様を中心にその立ち位置が入れ替わる。

 ぱっと12枚様の髪が風圧で揺れ、工藤が膝を着いて

「かはっ!!」

 腹の底から空気をすべて押し出されたようにむせていたものの12枚様はそっとその白皙のお顔に重い物なんて持った事もない手で触れていた。

「神獣の方か……」

 振り返って雪を見る12枚様。雪はちょこんと座って前足をぺろりと舐めていた。

「ちょ、雪しゃんばっちいでしゅよ!

 どんな病気を持ってるのか分からないのだから何でもぺろぺろしてはいけません!!!」

「なー」

 一撃を加えられたことでご満悦状態だったけど怒られたことに不服な声をこぼす雪。工藤がやられたことはどうでもいいようだ。

「なりは小さくても神獣よ、私に一撃を与えた事を後悔するといい……」

 光の玉がぶわっと増殖する。

 キラキラお星さまのような美しさがあるのにどうして禍々しさしか感じられないのだろうか。

 光り輝く毒々しさとでも言っていいだろうか、ゆらりと宙に浮きあがらせる歪な翼が鈍い色を放つ。

「やばみー……」

 背後から聞こえてきたその声にヤバいと思っても動けずにいた俺はすぐさま黒い球を増殖させて

「打ち消すっ!」

 大変でも五倍は用意しないといけない苦労。

 って言うか

「はやっさん、ぶつけちゃっても大丈夫と思います?!」

「今頃それを聞くなーっ!!!」

 にやり、12枚様が笑った気がした瞬間

 やられた……

 俺が気づいた時には12枚様は光の玉を俺の黒い球にぶち当ててきた。




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こんばんは、ご心配頂きありがとうございました。

話しには聞いていたけどなかなか治らず、熱も上がったり下がったり、そして咳の症状が残るという喉につらい状態です。

それでもだいぶ良くなったなーなんてもうすぐ一週間病人生活してますが、黙ってても一週間ぐらいグダグダしたくなるんですね、コロって……

目も疲れるからネットに繋がらない日もあったりして文字を打つのも久しぶりで思うように進まず。

こっちも重症だ……

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