真醜きリアル恋愛シミュレーションゲーム
岳の言葉で振り向いた沢田に向けて俺は6人の写真を並べる。
そのうち一人は見覚えのある人のようで
「この人が、奥さん……」
沢田が指をさした相手はこう言うのは何だがすごく綺麗な人で、なんでこんな綺麗な奥さんがいるのに浮気をするのか考えて導き出した答えは単純だった。
他の写真には少し自分に自信のなさそうな顔、写真に添えられたプロフィールには地方から出てきたばかりで友人の少なそうな子。写真から分かる通りどこか男性に慣れてない、すれてない、悪く言えばちょろそうな子だった。
そして俺はスマホを取り出して専門学校行く為に上京することになった時の沢田と一緒に撮った写真をスマホの画面に映してその並べた写真に添える。
「共通点は言わないでもわかるな」
結城さん達大人でもなく察してしまう。
上京して男性経験の少ないどこか真面目そうな女の子たちばかりだった。
とはいえ沢田だって上京して何年も暮らしていたのにと思うもそこは
『いつか一緒に店を開こう』
そんな夢で巻き上げた金額は手取り17万のうち必要最低限の生活費を抜いた全部の二年分。
最初は何処に就職しても生活がぎりぎりだからと学生時代にバイトで貯めたお小遣いでやりくりしていたと言っていたけどいくらなんでも貢ぎすぎだ。
次々に写真を見る沢田はふいに顔をゆがめ
「この人、店の常連さんだった人……」
その言葉に誰もが呆れた。
「お客さんに手を出して巻き上げてたの?」
岳がまさかという様に声を上げるも
「この人とこの人もお客様。他は知らない……」
困惑気な沢田の声に
「なかなかに良いご身分だ。
因みにこの二人のうち一人は沢田君が就職する前に辞めた従業員で、もう一人は通っているヘアサロンでいつも指名している人だ」
千賀さんと林さんは俺達が寝ている間に話を聞いていたのか沢田の知らない人間関係を教えてくれた。
っていうか
「この状態でよく気が付かなかったな」
「ええと、忙しかったから……」
二股、三股どころか沢田を含めて七股だなんて当人もびっくりな様子。
「月曜日はこの子とか曜日別に会ったのかな?
もうファンタジーの世界だね!なんてゲームだろう?」
現実逃避を始めた岳にむしろそれはなんていうゲームだ?なんて突っ込みたかったけど。
「他の浮気相手にはいつか店を持ちたいって全員から生活費の援助とかで巻き上げてたからな。
今なら弁護士にまかせれば取り返せれる。
やるというのなら弁護士を紹介するが?」
結城さんもこの男の華麗(?)な経歴にかなりご立腹のようだ。
そして
「店側も彼の性癖を理解していて店に迷惑かけなければという条件で見て見ぬふりをしていたらしい。君の事も前に辞めた子の事も知っていて、ほかの従業員と協力してこの男が独身だという事を装うのを協力し、どれだけの間ばれないか店内で賭けをしていたようだ。
店長や経理なら彼の履歴書で独身かそうでないかぐらい知っているからな」
「履歴書の中身はプライバシーだから新人が彼が独身だと言われたら調べようがないな」
それを逆手にとってのゲームだったことに沢田はあの日と同じような傷ついた顔をする。
それは岳に連れられてきた時と同じ悲しさと悔しさが入り混じった後悔しかないそんな表情に決してだました男が幸せになっていいものではないと沢田という明るくて気の利く、そして料理の上手な努力家の女性の姿を短い期間とはいえ見てきた千賀や林は静かに怒りを膨らます。
だけど初めて自分が浮気相手だと知った時と比べてショックは受けたものの終わった恋にもうそこまで後に引くことはないという様に
「弁護士さんの紹介をお願いします」
きりっとした顔で決断を下した。
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