山の恵みに感謝!
朝食を食べた後俺と千賀さんは畑で約束した通りダンジョンではなく山へと山菜を取りに行くことにした。
といってもこの季節の山菜は主に栗とキノコ類。
「菌類みな兄弟。食べられるキノコを採ってきてよ!」
沢田の言葉に
「大丈夫。俺がこの山で採れるキノコの種類は三つ。婆ちゃんといっぱい採ったからこれは大丈夫」
野菜はわからなくてもこの山で食べれるキノコはわかってるといえば胡散臭げな視線が二対。
まったく信じられてないのはやっぱりレタスもキャベツ伝説だからだろうか。
とにかく俺はカゴに弁当とヘルメットと鉄ばさみを入れて千賀さんを連れて山に足を踏み入れるのだった。
畑の横にある道から山へと入り黙々と山道を歩く。
因みに今日の学生さんたちは崖登りその2へと岳によって案内されている。
うちじゃなくても崖登りに適した場所を知る岳の案内で昨日の崖よりレベルの高い崖へと案内されて本日のダンジョン番でもある三輪さんがうらやましいという視線で見送っていた。
やだ、この人たちみんな感覚おかしいんだけど……
人手が少ないここのダンジョンの管理の中で学生の面倒というのも酷いブラックだけど水井さんにはぜひとももう一つ担当しているグループの面倒をしてもらいたいと思っている。
きっと俺たちが村瀬たちの成長の起爆剤になると思っているのだろうけどそこは連帯責任。
水井さんはきっと沢田の身に起こった事件を知らないだろうけど、その沢田に追い打ちをかけるよな人間をよこされて面倒を見る理由なんて一切ないと思っている。
いや、マロを単独討伐できれば十分じゃん。
これを最低基準にしてもらえば良いんじゃね?なんてどこでゲットしたのか俺のメールに結城さんから届いたものに付け加えた折り返しに村瀬たちの状況と主に女子への苦情を伝えれば研修後の対応をしてくれるという返事。
いやいや、この人意地が悪いとは思っていたけど持ち上げておいて落とすつもりかとあの謎のいい顔の中に隠れた性格の悪さ、知ってたけどこういう上司持ちたくないなとぶるりと体を震わせてしまうけどそもそも俺たち冒険者という名のフリーターじゃんなんて縁はないはずだとすでにメールアドレスゲットされてるあたり逃れられない縁。
俺たちにあまり難しいこと押し付けないでよとくぎを刺しても隊内でのトラブルより外部のほうがダメージが少ないと思ってるようで本部から遠く離れたこんな田舎でふるいにかけに来るなんて……
この人絶対鬼だといえばだれも何も言い返さない当たりそうなのだろうと口にしたことを後悔するのだった。
そんなことを考えながらやがて見えてきたのは一本の巨木と言わんばかりの栗木。
「たくさん栗が落ちてるな」
なんて栗の木を見たのが初めてなのかさっそく鉄ばさみで栗を拾おうとした千賀さんに
「それ、たぶん虫入ってるから。
栗の木から落とすからそれを拾ってください」
「まじか?!」
驚く千賀さんを無視して俺は軽くジャンプして程よい枝に飛び乗る。
自分で言うのもなんだが本当にありがたいスキルだなと少しずつスキルに慣れている体に感謝しながら手を伸ばして枝についている栗を揺さぶりながら落としていく。
「千賀さん、落ちた栗を拾ってください!
毬栗を踏んで栗の実だけを取り出してくださいね!」
「それはわかったがこの毬栗は靴を無視して攻撃てくるぞ!」
いてー!!!
なんて山に響かんばかりの叫び声に俺は笑いながら収納からマゾシューズを枝の上から落として
「とりあえず靴を履き替えて見てよ。実験だよ」
いえば千賀さんは靴を履き替えてマゾシューズに履き替える。
因みに俺がよくはいていた初期のマゾシューズ。
千賀さんは言われたまま靴を着履き替えてくれたけど、俺が水虫持ちだったらどうするんだよとぜひとも突っ込みたい。
まあ、そんなどうでもいいことは放っておけば
「おお……」
そんな簡単のため息。
「すごいな。ダンジョンの外でも靴のサイズは俺に合わせてくれた」
「ダンジョン産のアイテムって意外と有能ですよね」
そんな俺の言葉に千賀さんは笑いながら毬栗を踏めば
「これならとげも貫通してこない。いい具合だぞ!」
「だったら今日はその靴を履いていてください安全に行きましょう」
「いわれるまでもないさ!」
そんな風ににこやかに毬栗を踏みながら栗だけを取り出して鉄ばさみでカゴにひょいひょい入れていくたくましい姿に今日の晩御飯は栗ご飯だという予感に俺は一生懸命栗を落とすのとすのだった。
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