ヒトリゴト
精神統一、ではないがフラットな状態になる為にネットの世界に飛び込んで今日一日の他のダンジョンの様子を見る。
もちろん一緒に二階に来た雪は早々に窓枠をカリカリとひっかいて外に出せと言う訴えに窓を開け広げるまでもなく僅かな隙間からささっと出て行ってしまい、どこからかにゃーにゃーわんわんとあいさつを交わす声が聞こえる。
雪は元気だなあと一気に賑やかになった庭の様子に耳を傾けながら森の方へと駆けて行く様子に今夜もパトロールありがとうと思いながらもネットの動画を見ながら他所のダンジョンを見てテンションを上げる。
最近どころか最初から毒霧でさくさくダンジョンを進んでいた俺はどうやらかなりおかしかったらしい。
うん。
控え目でも判っていたけど、こうやって動画でおよその攻略をしている様子を見れば猫と一緒にダンジョンを攻略する、何てまず見ない。それどころか何てうちの雪さんのかっこいいのだろうと戦闘する姿を思い出してニヤニヤしてしまう。
ちがう。
うちの子自慢する為に他所のきゃーきゃー、わーわー言ってる動画を見ているわけではない。
一応俺達も動画を上げている以上管理の為にチェックはする。
本当は岳にお願いしたい所だけど岳は
「そんな時間があったら技をあみ出して来るよ!」
リアルファンタジーのダンジョンにキャッハーしている状態なのでお願いしてもろくな仕上がりにならないからとすぐに諦めたけど。
「私?私はご飯の下準備と研究に忙しいから、夜食期待していてね!」
それは私の仕事じゃない、そう言って沢田の台所でもある小屋へと閉じこもるのだった。
まあ、そこが沢田の精神安定剤なので文句は言わないが……
俺でも分るこのおかしな状況。
いや、家の中にダンジョンが出来るのは、確率的にはありかもしれないけど。
そもそもダンジョンは人の負の感情が多い場所。つまり人が多い場所に発生するとか言っていたはずなのに何で村の総人口4000人もいない、しかも集落のはずれにある俺の家で発生するんだと呪ったのは十回や百回では足りない。
そう、トイレに行くたびにそう思うのだからもっとあっても良いと思うけどこの感情はダンジョンが発生してからの話し。
どこにダンジョンが発生する原因があるのかと思うも全く見当もつかない。
まあ、判らない事を考えても意味がないのでまたネットの海におぼれる事にするけど。
なにか魔法に変える事が出来るヒントがないかと。
今じゃダンジョン何てアミューズメント化しているからヒントなんてないわーとネットを二時間ほど彷徨って得た結論。
皆さん面白いことしていて俺もやりたいと思うもそもそも俺の毒霧が育ちすぎて10階まではほぼ魔物に会わない状況。
死骸には出会うけどゾンビの如く動き出さないので問題はない。
そして困った事にダンジョン産のお肉は階層を奥に行けば行くほどお肉は美味しくなると言う集計が沢田が見つけ出してくれた。
まあ、魔象事マゾほどゴムみたいに美味しくない肉はないと言うけどその他全部が価値のある素材なのだ。
三輪さんから聞いた話しだけど魔象のお肉は動物園が買い取ってくれているらしい。
まあ、量と価格を考えたら美味しくお肉を食べてもらえるのならマゾで役に立つなら本望だろうと思う。
一応ダンジョン産の素材はその血一滴まで貴重なサンプルなので買い取ってもらう以上俺達はその血一滴まで確保するけど。
「相沢、お前が倒したヤツみんななんか化学反応するから使えんって研究所から文句を言われたぞ。
皮とか牙とか骨とかは使えるけど何やってるって問い詰められたんだけど?!」
なんて答えを知っている癖に俺を追いつめる林さん。
「全力でこの肉美味くないから食べない方がいいですよって宣伝してください」
「どんな宣伝だよ!」
そんな感じで怒られたのを懐かしくも思いながらその肉を沢田がおでんの筋肉のように柔らかく圧力なべで処理を値てくれたモツ煮ではないけどそんな風にふんだんな野菜と一緒に潜り込ませたマゾ肉に喜んだのは俺だけではない。
寧ろおっさんたちの方が喜んだってどうよと思うも
「イギリス料理だけどおいしい臓物料理はあるんだからね。
まあ、パイにしておしゃれになってるけど腎臓たっぷり使ってる贅沢料理なんだからね!」
イギリスと言えばマズ飯で有名な国。
近年努力して美味しい料理が提供されているけど基本はフィッシュ&チップス。
寧ろイギリスでそれを食べない方が疑問と言うくらいのポピュラーな物。
感覚的に言えば駅の改札口を出て売っている天津甘栗みたいなものだろうか。
俺的にはマックの方が魅惑的だが……
そういやもう何年食べてない……
何て考えてみるも沢田の手作りバンズで作ったハンバーガーのせいでマックのあのチープでお手軽な味が思い出せない。
「早々にダンジョンを片付けて外に出掛けたいな」
ダンジョン発生初期に弁護士さんに会いに行って以来実は敷地内から出た事のない俺。
岳の家はカウント外だけどね。
いい加減外に出たいと言う様にダンジョンの外へと久しぶりに意識を向ける相沢だった。
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