これが見本です……?
14階に戻ってから再び15階。
形成されようとしているマゾをみながら
「相沢、私の武器ありったけ出して!」
手にしている杖とは別に剣や長い杖、槍などと言ったものからフライパン、包丁、ロープそのたもろもろと言ったものまで一応並べて置く。
「フライパンや包丁なんて出して私に何やらさせるつもりなのよ!」
マゾと一対一の為にどこか緊張気味の沢田にキレられてしまったけど
「ええと、万が一の時の為に?」
一応ちゃんと机の上において用意すれば何か文句言いたげだったけど出来上がったマゾに舌打ちだけしてタクトのような杖をもって
「焼けちゃえ!!!」
火魔法を放っていた。
既に濁流の魔法を放とうとするモーションに入っていた口に向かって放つ辺り酷いよなと口から炎があふれ出して悶絶するマゾを見てプルプルとする。
「俺マゾが悶絶してるところ初めてみたかも」
「相沢は瞬殺派だもんな。
それよりマゾの奴なんか嬉しそうだな。名前がマゾだけに」
なんとなく机の下に潜り込んで体育座りをしてしまうのは単にテーブルの高さの関係と
「机の下って潜り込みたくなるよね」
人にはなかなか言えない事を今なら共感してもらえるかなと言うように言えば岳は
「俺は押し入れの中に潜り込みたいかな?そんでいつのまにか寝るってヤツ」
という。
まあ、そのまま寝るのが岳らしいのだけど
「小さい時いつもみたいに押し入れに潜り込んで寝てたら俺がいなくなった騒ぎがあってそれ以来潜り込まないようにしているけど」
子どもの時からの癖かよwww なんて笑ってしまえば
「やだー!
ちょっと鼻ブンブンしないでよー!
鼻水飛ばさないで―!!!」
近寄れないと走り回って逃げる沢田。確かに必死に逃げるわけだと思わず机の下から援護の言葉。
「毒霧いるかー?」
「もうちょっとまってー!」
キャーキャー言ってるわりにはまだまだ余裕そうだ。
雪は混ざりたいと言うようにそわそわしだしているから
「ここで行ったらご飯抜きになるぞ」
そんな俺の忠告にピタっとおとなしくなる雪。
しっかり胃袋掴まれてるなと思うも俺の隣では
「沢田右!左っ!マゾの鼻避けてっ!!!」
なんてなかなかのエキサイトぶり。
確かに見てるだけだとはらはらするよな。ほんと俺の見本が役に立たなくってごめんと思えば沢田は風の魔法で
「あっち行け―!!!」
なんてワードで発動する風魔法。
ほんとこのダンジョンが緩くて助かると思った。
いや、岳だったら厨二的な言葉でわらわかせてくれるのかもしれないけど
「そういや俺岳が魔法使ってるのあまり見た事無いな」
「割と使ってるつもりだよ?
肉体強化的な魔法とかバットに魔法かけて炎のバットにして見たりとか」
いややってたっけ?
あまりに記憶がなかったものの岳は気にせずに
「武器に属性魔法を付与するのってかっこいいよね!
最初は出来なかったけどほら、キャンプファイヤーの時のトーチあったじゃん?あれに火を着けて魔物を倒してたら出来るようになったんだよ!」
「残念過ぎるだろこのダンジョン!!!」
そうか?なんて笑う岳は
「そんな感じで何回かやってたら水とか風も付与できるようになってさwww
今は土の付与に挑戦してる所。土って造形しやすいイメージじゃん?元の武器に土を盛りつけて巨大なハンマーみたいにならないかななんて試してるけどやっぱりすぐには出来ないよねw」
「いや、普通考えないって」
「そう?俺的には全然ありだと思うんだけどな」
「だったらその辺の定義の開発は頼むな」
「おう!任せろ!」
なんて頼もしい笑みを浮かべてくれる岳。ひょっとしたらこいつ凄いんじゃね?なんて思いながらも沢田の様子を見守れば
「やっぱり魔法は無理かも!
剣に変更!」
叫びながら机の横の床に刺していた愛用の剣を抜いてマゾから逃げ回るのは止めて飛び掛かって行く。
たくましいと思いながらも
「称号変更するか?」
「まだ必要ないし!」
よっぽどあの『女王様』は嫌なようだ。
似合うんだけどなとまだ岳は沢田の『女王様』状態を見てないので笑っているけど俺的にはあのお股がきゅっとする光景を思い出してしまうおまけ付きなのであまりあの状態の沢田とご対面するのは遠慮したいが必要とならばやるしかないと覚悟は決めている。
ただその心配を拭うようにマゾに軽快なフットワークで側まで潜り込んだかと思えば鮮血が舞っていた。
「おー、やっとダメージ入ったか」
両耳がそぎ落とされていた。
さらに体重が軽いと言うか身軽と言うか軽くジャンプをしたかと思えばいつの間にかマゾの背中に立っていて、そのまま背骨に沿うように剣を押し当てながらお尻の方に向かってその背を走り、しっぽを切り落としながら無事床に着地していた。
「すげー!」
あまりに華麗なその戦い方に拍手してしまうも
「さすが沢田だよなw
こんな時まで魚を捌くみたいな手順うけるーwww」
「いや、頭落として腹を出すんだろ?」
うけるって笑う所かと思うも
「まあ、それはそれ、これはこれ。
ダンジョンでデカい奴らにあった時は背中に一本入れておくと動きが断然悪くなるから下手に腹の下に潜り込むより絶対いいから」
なんて岳の説明をこういった方法で戦った事のない俺はへーと聞いていれば沢田がまた俺達の隣にやってきて……
「良いのあるじゃん!」
なんてフライ返しを持って行った。
今度は何をするつもりだと思えばまたまたマゾの上に乗り……
「せーの!」
マゾの首の付け根だろうか。付け根ってどこだよと突っ込めばいいのだろうかフライ返しをそこにあてて思いっきりハンマーで打ち付けていた。
いや、これどういう事?
何をしているのかわからなかったけどそのとたんマゾは動くことが出来なくなり……
ゆらり、崩れ落ちるように膝をつく事もなく倒れるのだった。
何がどうなったか分からなかったけど、沢田は再び俺達の所にやってきて剣を手にしてマゾの今も刺さっているフライ返しに剣を添わせるように突き付けて……
「ふんっ!!!」
とても女の子らしからぬ気合と共に剣を突き刺すのだった。
やがて身動きもなくなり、そして出現する宝箱。
そこから取り出したマゾマントとマゾシューズを掲げながら
「初成功!」
誇らしげに笑う沢田の戦い方を俺は今一つ理解が出来なくって、隣にいる岳にどういうこと?と説明を求めれば単に首の所の神経の束を断ち切って止めを刺しただけだろとなんて事もないような説明は確かにあまりに出血の少ない倒し方でこれこそ見本だなと感心するのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます