作戦会議なんてしても絶対うまく行かないのは経験済みですがそれでもよろしいでしょうか?
いや、ばれるよな。
いつかはばれるとは思ったけどばれた時はこんな感じか。
一瞬で化け物でも見るかのような視線にこのレベル差だとこんなに恐怖を覚えるのかとどうでもよさげな事を考えながら少し寂しい気分をごまかしながら自重しないとなと慌てて心を落ち着けさせながら手を伸ばし
「大丈夫ですか?」
なんて聞くも林さんは大丈夫でも俺達の関係は大丈夫ではなくなってしまったようだ。
その証拠に睨まれてしまうものの
「睨まれても怖くありませんよ」
そう、ダンジョン外でもダンジョン内と同じように行動できる俺としてはいくら鍛えた皆さまでも所詮はレベル1のダンジョン外での基本的な能力値でしかない。
いざとなればレベル43の反射神経と逃げ足で乗り切れる自信はある。全く自慢をしてるようには聞こえないけど……
しかし林さんだって自衛官としてだけではなくダンジョン対策課の最前線で働きながら過酷な医療の場に身を置いた事も合わさって冷静さをすぐに取り戻し
「今のは見なかったことにしておくが気づかれないように注意しろ」
忘れないけど見なかったふりをしてくれるらしい。千賀さん達にはばれるかもしれないけど、どう考えてもヤバいだろうから上の方達に報告しないと言う事だろうと思っておく。
と言うかかなりあっさりな俺に都合の良すぎる展開は相手が林さんだからの対応と思っておこう。俺の中で林さんの株が急上昇した出来事だ。
「で、話を戻すがさっきの挨拶の時を見ての通り工藤班は工藤によって完全な支配下に置かれている。
従順な奴らは言いなりになっているが、耐え切れなくて病院に駆け込んだ奴、辞表を書いたやつなんてざらだ。
さらに、例として上げるがとある女子は記録に残さない事でやっと打ち明けてくれた内容は完全に工藤達には記録として残されておりいつでも不特定多数の目に曝される事を脅迫されたと言った」
まるで面識のある様な口ぶりだが、きっとそうなのだろうと詳しくは聞かない。
申し訳ないが俺が、俺達が守りたいのは被害者ではなく狙われている沢田だ。
何とか守り切りたいと思うも隙何ていくらでも作れる物。
だとしたら……
拙い戦術を考える俺に林さんも唸りながら
「できるだけ沢田君を一人にしない、という事しか言えない。
守るために実家に帰そうならそれこそあいつらの思う所。
顔見知りになった以上外で出会えば見知らぬ人の視線に危険を覚えながらも誘われるままになるだろう心理を考えるとここなら少なくとも俺達は千賀を抜いたメンツで守ることが出来る」
「千賀さんは抜きなんだ……」
一番いろんな方面で役に立ちそうな千賀さんが使えないのは厳しいなと思うも
「逆に知られたら千賀を押さえつけて沢田君を無理やりと言うのが一番手っ取り早い。
ましてや数では向こうが上だ。
俺達がダンジョンに潜ってる間、もしくは本部に呼び出しがかかっている間、そんな時が……」
と言った林さんの言葉で理解した。
こうやってこの話題を上げることが出来る今が数少ないチャンス。
そして戸惑っていたのはいざとなった時千賀さんが巻き込まれる、もしくは加害者として使われる、そんなありえない話も失った片手を理由に自暴自棄になって……なんて言い訳を数で攻められたらなるべくもみ消したい程度の些細な事件。数の暴力で事実になってしまうのだろう確信は過去が実証している。
俺は抜いた雑草を林さんに投げつけながら
「なんでこんな事になったんだ……」
なんてつぶやけば
「そりゃあ、君たちが強くなり過ぎたからだ。
まあ、誰もあそこまで強くなってるとは想像してないだろうが、うちって今も自分達が最強って思わずにはいられない人達がいるってだけの話しだ」
だから自分達より強い奴は潰される。
それはなんとまあ
「判りやすい仕組みだな」
「組織と言う奴はそう簡単に変わらないもんだよ。
そして自制心のない奴は本能のままに動くだけだ」
言えば視線がすべて俺にかかっていると言うような色に変わっていたものの
「真っ先に狙われるのは千賀さんがいない時ですね。どうせ俺達なんてものの数にも入ってないだろうし。
なんとなく状況はわかりました。とりあえず作戦でも考えてみますよ」
そう言って畑を出て沢に泥だらけになった靴のまま入ってじゃぶじゃぶと洗って土を落とす。
細かな砂が潜り込むけどそこは無視をしながら向こうでも厄介者扱いになっている工藤班をどうにかしたいという匂いをまき散らす内容にそんなのはお前達で勝手に処分すればいいじゃないかとここをゴミ箱のような使い方をされていささか腹を立てる相沢は夏の暑さに体ごと沈めてこの怒りを何とか落ち着かせようとし……
はい。
その結果風邪をひきました。
「川で水浴びをして風邪をひくってお前どんだけ小学生かよwww」
「そうよ!下流とは違ってここの水温20度もないんだから!
清流をよごさないで!」
岳と沢田にギャーギャーお叱りを受けている俺は38度まで熱を上げた立派な病人です。
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