ある日俺の知らない間にトイレがダンジョンにリフォームされていたんだけど

トイレにはまだほど遠い道のり

　録画をしていらないシーンを切り取る編集をしてからの映像のアップ。

　当然ながら反響は凄かった。

　何がって、クズのクズ過ぎる生態について。

　一種の炎上状態にもなったけど俺達に対してではなくクズに対してなのであえてスルーしておく。

　というかコメント総てスルーしているので問題ないし、高校で学んだ英語以外の言語に対しても全力でスルーなので問題ない！

　日本語が少なくて寂しいなんて言わないもん！

　いくら今時どこの国の言葉でも翻訳してくれると言っても未知のものには手を出さない。

　向上心がないと言われても興味のない事には手を出さないのが基本かと思っております。

　それはさておき再びクズの角をオークションにかけることになりました。

　ちょっと味を占めて岳の家からうちに上がる道の途中、片面が崖なのにガードレールがない問題を解消するために稼ぎたいと欲が出ました。

　拡張工事もするつもりなのでどうせならと狙って前回の落札金額を上限に複数のクズの角を出品しました。

　ここは庶民なので見た事のない通帳の数字にチキっての判断です。

　正直これだけクズのクズ過ぎる生態を紹介した後だからどうだろうと思ったけど金がある所には金があると言うように出品して瞬殺された時には側にいた橘さんにしがみ付いて悲鳴を上げてしまいました……

　ほら、俺こう見ても庶民じゃん？

　あっという間に俺達のチーム億万長者ですよ？

　使い道が判らないなりにもこのお金はうちの納屋の改造代に使われております。

　真っ先に沢田のキッチンと言う土間台所に使うべきなのだけど沢田も岳もうちの納屋を改装して住み着く事にしたようなのでまずは寝る場所の確保を優先させられました。

　うん。

　本音を言えば俺のトイレを作れよと言いたかった。

　だけどそれを言ったら

「相沢何言ってるの？

　男女共同のトイレなんてありえないでしょ？」

　初マロの対面の前の沢田とのやり取りが幻か霞のようになっていく塩対応になんだか涙が出そうです。

　そんなわけで気が付けば納屋に女性専用のトイレが出来ました。

　もちろん俺が欲しい簡易水洗のウォシュレット付き温か便座のトイレ。

　世の皆様に言いたい。

　これはどこでも当たり前にあるものではないと大声で言いたい贅沢品だという事を！

　そんなわけで俺は今でも岳とボットンを共有しております。

　因みに橘さん達は自衛隊の土木様が設置した簡易トイレを使っておりました。

　俺達は自衛隊ではないので基本使えません。

　いいもん。

　今回のオークションで買ってもらうもん。

　贅沢にもトイレにパネルヒーターつけてもらうもん。

　用を済ましても温かくならないくせにと言われても付けるもん。

それぐらいの夢を見させてくださいと言いながら出品したクズの角が瞬殺された時は握り拳を突き上げたけど……

「相沢君、申し訳ないがクズの角という未知の物を加工するのにはそれなりに研究が必要になって、加工代が……」

　最近仲間になった三輪さんからの説明にクズの加工にはクズ角が必要になると言われてその加工代のバカ高さに簡易水洗トイレは今回見送る事になりました。　

　理由はひどい、ではなく簡単。

「えー？折角クズの角を加工してもらうのならマロを解体するナイフが欲しいし？

　あと普通にバトル用のナイフとかも欲しいし」

「やっぱり二刀流だよな！

　大型の剣も憧れるし、かといって程よいサイズも欲しいし！」

　我らのチームのアタッカーたちのおねだりは優先順位は最優先。

　Gも倒してもらわないといけい基本俺は戦闘職ではないつもりだ。

　たとえ討伐数だけを見れば雪よりも圧倒的に多くてもだ。

　そう、俺のポジションはポーター。

　いわゆる荷物運び。

　折角無限異空間収納なんてステキスキルがあるのだ。

　世の書物にはこれで低い地位に見られがちだけど俺はそれで十分。

　人間サイズのGと戦う事を考えれば地位が低かろうが何だろうが何の問題があると言うものだ！

　これだけダンジョンに潜っておいて未だになれない奴らの活動範囲に喜んで会いに行く戦闘職、俺は絶対無理だと思った。