ちゃんと動画配信もしておりますよ?

 一日のスケジュールは大体朝から休みの自衛隊の人にダンジョンに潜ってもらい、俺達は夕食後にダンジョンに潜ると言う生活をしている。

 日が沈むと外で出来る事は無いからね。

 どう考えても人間の方が夜行性動物に勝てるわけがないのでおとなしく巣に引き込んでいるのがベターなのだけど、今では我が家にはダンジョンがある。

 退屈で長い夜はダンジョンでストレス解消しかない!

 ちなみに沢田に晩御飯を任せてから晩御飯の時間は午後5時になりました……

 夜食必須の早すぎる時間帯の晩御飯には代わりにお弁当を用意してもらっている。

 そうです。

 今日もこれから皆さんを引き連れて14階まで行く予定となっております。

 夜勤明けの橘さんとこれから夜勤の三輪さんは悔しそうな顔をして、明日休みの土木課の皆さんと一緒に潜る事になった。

 ちなみに土木課の皆さんは明日撤収なので本日潜れない皆さんは涙を流していた。

 いや、十分レベル上げたじゃん。

 皆さん20は越えたよ?

 ダンジョン対策課の皆さんより余裕で強くなったのにまだ強くなりたいの?


 さらに言えば全員が魔力を持つことに成功したよ?


 さりげなく魔物の解体後のダンジョン内を皆さん均等にケルヒャーで掃除とかして頂いたらゲットできるお手頃スキルに本当にダンジョンってチョロすぎるだろうと言いたい。

 でもそれでマロを倒せる人が増えた。

 さらに言えば11階以降のダンジョン攻略できる人も増えたそれだけでも十分な収穫だと思う。

 それだけダンジョンが意外とチョロいという事が証明できただけも十分だろう。

 皆さん俺のスキル『鑑定』で自分のステータスを見ては大喜びの様子にだましていてすみません何て気分はもう起きないが……

 とりあえず俺はいつものように毒霧を撒いてからダンジョンに潜る。

 これで当分安全だ。

 それから皆さんと我が家の庭のごとくダンジョンを駆け抜けてマロが形成されていくエフェクトを見守りながらの瞬殺。

 悲しい事に我が家のマロは敷物とお肉と宝箱以外の価値を失ったかわいそうな存在になっていた。

 だけどそこからの先は少なくともマロ以上の存在がうろうろしてる。

 マロを瞬殺してもこの先は魔力が必須なエリア。

 対応した武器がないので魔法で何とかするしかないという事情は何とか早く改善したい所だ。 

 俺が一緒の時は問題ないけど居ない時は虫に襲われていろいろ大変な目にあうからこその耐性が必要になってくる。

 一応土木課の皆さんと一緒に検証しているのだけど、俺の毒霧がないと11階に下りた時に一斉に虫に襲われて逃げ出す羽目になるので皆さん二度と証明をさせてくれない出来事になったので未知の病原菌の怖さもあり無理にお願いは出来ないままで居る。

 取り合えず二時間弱でマロを討伐して宝箱の中身を回収して11階に行ってまた毒霧をプシューとあら不思議。皆様が言うような虫は見た事もないと言うよう草原から林、森、さらに深い森へと続く先に待つ階段を下りていく。

 時々毒霧では瞬殺できない魔物にも出会っては倒していくが、ここで今週の動画を録らせてもらう。

 

「はい、皆さんこんにちは。

 3ピースチューバーのダンジョンキャンパー、略してダンキャンのアイです。

 同じくガクです!

 そしてザワです!」


 いかにもふざけてますと言うようにいつもと同じような挨拶だけどいつもはない拍手は土木課の人と三輪さん、林さんのもの。

 まだマロを克服していないけど怖くないように、強くなりたいと言う向上心を買ってつれてきた。

 本音は大丈夫かと思うものの俺達の動画に付き合いながら14階まで行くのが今回の目標。

 今だって俺達が用意したパラソルの下に居るのだから結構余裕だろうといい切りたい。

 まあ、いざとなれば今なら三輪さんより強い土木課の皆様、略して土木様達にがっちりガードしてもらっているので不意に暴れられても制圧できる環境は整っている。

 なので三輪さんと林さんは放っておいて


「本日は一緒にキャンプをしてくれる土木工事関係の人、略して土木様達と一緒にクズについての攻略の仕方をご紹介できればと思っております!」

 なんて俺の今日の動画の予定を表明すれば

「足が速くてこっちに向かってくるので遠方からの一撃が安全に倒せまーす!」

 なんて身もふたもない沢田の意見と


「クーズーは草食動物だけどクズは肉食です。

 このダンジョン肉食か雑食しかいないので遭遇したらまず自分達はご飯だと思って下さい!」


 なんて俺が何度も言い聞かせた事を言えるようにまでになった岳。言い過じゃないかと橘さんは何度も止めようとしようとしたけどそれを阻止したのが沢田。

 それぐらいやらないと覚えないと橘さんを説得する役を買って出てくれた。

 そして俺は愛用の鉈を取り出し


「クズは基本群れで行動します」


 雑草を薙ぎ払いかき分け進めばすぐに開けた場所に出てすぐにクズが発見できた。


「そして発見したらここからが勝負です。 

 クズは先ほど肉食と紹介したように俺達が発見した時は同様に俺達を見つけていると思って下さい。鼻は凄く良いのです」


 そう言ってアイから再びカメラを向けた時にはすべてのクズがこちらを見ていた。

 それだけでもクズの生態を知らない人たちはぎょっとしただろう。今の三輪さんと林さんのように。

 何せここから先はあのマロより強い魔物しかいないのだ。

 ラッキーでここまで来た人たちは必ずクズに発見されて生き残れないそんな世界。

 当然ながら今にも餌を見つけたと言うように俺達をじわじわ包囲するようにして近寄るクズ。

 だけど俺達はダンジョンの10階を上がる階段を守るように陣取り


「ここからがクズをクズと呼ぶ所以です。皆様どうぞかわいそうだとか言わずにクズの習性を見ていてください」


 なんて言う頃にはすでにクズは俺達に襲い掛かっていた。

 全力で駆けてくる脚力はかなりの距離を取っていてもあっという間。

 だけど俺達はマロを瞬殺できるくらいのレベルを持っている。

 襲い掛かるクズを土木様達と一緒に次々に倒していけばあっという間に小さくなった群れの様子に群れのボスも分が悪いと判断し……


 その場で怪我をして一番弱っているクズに攻撃を加え始めた。

 それを見たほかのクズも次々にそのクズに攻撃をくわえると言う……


 まるでリンチという光景。


 最初俺達も一瞬何が起きているのかわからなかったものの……


 弱ってでも走るどころか逃げる事すらできなくなったクズ。

 

 攻撃を加えたクズはそれを生贄に全部逃げ出してしまったのだ。

 その逃げ足の速さをしっかりと動画に収めながら説明すれば取り残されてプルプルと自分の運命を理解するクズはいっそのこと早く楽にしてくれと言わんばかりにうなだれていて、既に仲間によって砕かれた足に立ち上がる事は不可能な状態。

 そんな生贄にされたクズを俺達はせめて苦しまないようにと一思いに首を落とし……


「これが俺達がクズと呼ぶ一因です。

 群れを守るために仲間を犠牲にしていく、それは俺達の世界にもある現象ですが、それでも群れを守るためには一番人気の雌でも群れのボスでも生贄にしていくのでそう言わずにはいられないクズです」


 厳しい生き残りサバイバルの社会で生み出された生存方法を紹介、そして攻略の糸口を紹介した所でこの生贄と他に討伐した角をオークションにかけますのでお楽しみにくださいと言った所で土木様達と一緒に手を振って動画は終わった。

 

 






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