夢のパンケーキまであと何匹?
これで戦いに集中できるなと思ったら蟻と岳たちが交わる瞬間、蟻の足がガクッと崩れ落ちた。
さすがにこの状況をチャンスとも思わないが二人だが、とりあえず経験値稼ぎとして蟻をたこ殴りし始めていた。
蟻型モンスターの怖いのはその強靭な顎だ。
ダンジョンがこの世界に出現し始めた頃、まだ世界が一般に公表してない中、とある国が軍の支配下の中で罪人に調査をさせた。
その時にこの蟻型モンスターの強力な顎の力によってギロチンのように身体をちぎり取られていく映像が隠し撮りで世界のテレビで流される事になった。
ダンジョンは恐ろしい所だという警報を兼ねての放送だったが、あまりの倫理観念のない映像に世界が騒然したなんて、遥か昔の出来事のようだが、まだ数年前の出来事だ。
未だ10階をクリアできないこの世界で冒険者達はいかに効率と安全なハントの仕方をネットに上げる事に懸命になった時代が始まった。
1階の奴らは体長最大1.5メートル、重量100キロ前後にもなるサイズと視覚的ダメージが強いだけで卵を持ってる奴の卵事潰してしまえばそこまで恐れる事はない。
そして2階から現れる蟻型モンスターは女王アリになると2メートルにもなるが、他はどれも1メートルサイズなので見た目の恐怖はなくどの種類も共通して顎の力を警戒すればいい。
攻略の仕方は虫系ならではの触角だ。
何とかして足を潰して動きが悪くなった所で触角を切り落とし、あとはひたすら叩き潰す程度。
都会のお嬢さんがただと虫は気持ち悪くてできないなんて騒いで引退と言う冒険者も居るが、残念な事にこの山間の村に住むお嬢さんはバットをフルスイングでいきなり叩きつぶす逞しいお嬢さんだった。
「一丁上がり!」
蟻が警戒して動いたために、バットは触角ではなく頭をとらえて、そのまますこーんと頭が遠くへと行ってしまったというモザイク必須のグロ映像。
ダンジョンに潜る者には大体よくある事なのでよく飛んだなと言う程度に麻痺をしている。
幾らネットで知っていても2階に初めて足を運んだ相沢は村人怖い。女の子恐ろしい。なんてドン引きするもバットを担いだ村娘の沢田は大層ご立腹の顔で相沢を睨みつけた。
とは言っても頭一つ分の身長差がある為に睨み上げられても恐ろしくないのだが、ご褒美と言うには少々薹が立っているなと決して口に出せない事を考えていた。
「あのね、せっかくの貴重な食材なのになんでモンスターもイチコロの殺虫剤を何で撒くのかな?
これじゃあ食べれないでしょ!」
「蟻なんて食べるつもりだったのか?」
「当然でしょ!
このダンジョンに出てくる蟻の腹はね、蜜を溜める構造になってるの!」
そういやダンジョンが一般に開放された初期の頃によくあった冒険者の冒険飯の動画に腹をさばいて蜜を溜めてる袋みたいなのを取り出し、パンケーキに付けて食べるって言うのをやってたなとぼんやりと思い出せば
「あれグラム500円もするのよ!
100グラムじゃないのよ!たった1グラムのお値段でだよ!
一体の蟻からスプーン一杯ぐらいしか取れない貴重な蜜なのよ!」
「スプーン一杯15グラムで7500円か。
ぼったくり過ぎじゃね?」
「採取方法が難しいのよ!
今みたいに頭を一発で潰して仕留めたりしないとちょっとの振動で密がお尻から出て来ちゃったり腹部に衝撃を当ててお尻から出て来ちゃったりして価値が無くなるでしょ!」
食料でもあり、非常食でもあり、クッション材でもある蜜の役割にプリッと蜜があふれ出る光景を想像して沢田のお怒りにも納得。
「低階層なのに大した強さもないのに値段がウサッキーの肉よりも割高なのはそう言う事なのよ!
ちなみに首都ダンジョンの近くのホテルで取り扱っていたけどパンケーキには35グラム提供して30000円ってぼったくりがバカ売れしてるのよ!!!
なんで薬漬けにしちゃうのよ!」
「つまり、沢田が食べたかったって事か?」
「何?!
文句ある!!!」
ありませーんと岳と共に沢田の迫力に怯えてしまう。
とりあえず沢田の言う事には従っておこうと次の蟻を求めて3階へと続く階段を探すのだった。
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