毒霧、発動!
お互い顔を見て本当にそんな装備で大丈夫か?と確認をするも、お互い見なかったふりをして階段を下りる事にした。
ちなみに家にはイチゴチョコ大福の3頭を解放し、納屋から雪さんを連れて来てチュールを与えながら留守の間ここから出てこようとする奴らの撃退してくださいとお願いしておいた。
理解してくれるとは思ってないけど。
もっとも、うちのトイレの網戸が嵌ってないから虫も雪も出入りしたい放題なのだが、この窓枠のサイズではあいつらが出入り出来るサイズではない為に何もしないままで居る。
1度網戸を付けたけど雪さんによって破られたからね。5度、6度となれば諦めるのは俺達の方だから。それ以来網戸のはまる事のないトイレの窓は今も雪の通り道になっている。
入っても家の梁で寝てるかストーブやコタツを陣取るぐらいの悪さしかしないからまあいいかと放っている。
ばあさんが一番最初にトイレの躾をしておいてくれたからね。
ちゃんと最初から家の外でトイレする雪さんだったからね。
何て賢い子やぁ~と頬ずりの1つぐらいさせてくれれば可愛いのだが、返ってくるのは爪付ネコパンチ。
はい。
ちょっと快感を覚えてますがなにか?
そんな雪さんに留守番をお願いして辿り着いた1階。
薄明かりの通路の真ん中にバルサンを1つ発動させる。
「相変わらず隙がねえな……」
「今朝もやってたのに過剰過ぎない?」
二人の白い視線を受けても俺は首を振って
「これぐらい当然の処置だ」
2階への道を探し出して俺はバルサンを未だ見ている二人を置いてさっさと歩きだした。
「っていうかさあ、魔力が発生してない俺達がバルサンすれば魔力発生するんじゃね?」
「えー?そんなんで魔力発生できるの?
聞いたことないんだけどー」
「俺だって聞いた事ねーよ」
魔物が発生すると言うのに不謹慎にもわいわいと通路を進む。
1階の推奨レベルは1~3程度。
数匹程度でこれぐらいはすぐ上がると世間では言われている為に運が良ければ免許取得者があっさりと上がる具合だ。
「それよりも魔物が来る前に一度魔法使ってみてよ」
「それ!どんなのかちょっとやってみろよ」
「期待するとすごい残念な魔法だったりしたらヤダな」
「何言ってるんだよ!
たぶん人類初の魔法の発動の瞬間だぞ!」
「えー?スカッた魔法だったらヤダしー。けど一回ぐらい見ておこうか?」
岳に煽られ確かにと思う。
魔法なんて使った事もないし使い方も知らないけどとりあえず二人にちょっと距離を置いてもらって片手をまっすぐ通路の奥へと向けて
「毒霧!」
声高らかに叫べば手の平からぷしゅーと気の抜けた最近しっかりと聞き覚えてしまった音と共に白っぽい霧と最近嗅ぎなれた匂いが通路に充満していった。
これは……
あれだ!
「スゲー!!!
相沢生きるバルサン人間になったwwwwww」
「毒霧ってwww
確かにそうだけど、バルサンって、ちょwwwwww」
「どうせそんな事だと思ったよ!!!!!!」
想像と言うか予想と言うか、どこまでも斜め上行くと言うか迷走しているダンジョンの仕組みに俺は薄っすらと目尻に浮かんだ涙をオーバーアクションによって拭ってみせた。
「あー、こんなに笑ったの久し振りだぁ」
沢田のすっきりした顔をながめながら俺はやっぱりと言うか悔しい気持ちとか絶対自慢できないこの快挙にふてくされてしまうも、2階に向けてうろうろする間この階の住民が居ない事に気が付いた。もしくは通路の片隅でひっくり返っていたりする。
それは沢田も岳も気付いていたようで……
「なんか、毒霧って想像よりも凄い魔法じゃない?」
「と言うか、広範囲魔法なのか?」
「初めて使うから何とも……
バルサンと同じ広範囲の継続的な効果もあるのかな?」
首をかしげている間に2階へと向かう階段を見つけてしまった。
あまりのあっけなさに俺達は地中深く潜って行く階段へと足を運ぶ。
三人だけの足音が響く階段を降りながら一応二人に確認する。
「俺ダンジョンって免許取った時しか入った事ないから2階ってネット情報通りでいいのかな?」
実際ネット情報とどう違うかと聞けば
「まぁ、ネット情報通りだよ。
5階ぐらいなら大賑わいだからみんな誤魔化しできないからね」
「となるとあいつらと蟻の昆虫系モンスターになるわけか。
憂鬱だ……」
「相沢には入口付近は天敵な奴らばっかりだもんね。
どうしてそこまで嫌いになれるのか判らないけど、あんな奴らぷちっとやっちゃえばいいじゃない。
みんなストレス発散で撲殺してるよ?」
「生理的にダメなんだよ!あの生き物だけは受け付けられないんだよ!」
握り拳を作って、知り合って以来この俺の弱点が露見された瞬間二人の理解できない顔は当時のまま。
「別にゴキブリ何て増殖力が凄くて、ばい菌まき散らすぐらいでそこまで直接の害なんてないじゃん」
「その名を言うなー!!!」
両手で耳をふさぎその名前の余韻を耳から払拭するために大声を出してしまうも、すっかりと毎度の事になっている二人は呆れたように肩をすくめるだけ。
「あいつ等なんて黒くててろてろに光ってて、カサカサって音を立てながら背後からじっと監視しやがって……
揚句に目が合うと飛びかかってくるし殺虫剤程度じゃすぐにヤられなくなるほど防御力上げる癖に、物理的にヤった時にびゅびゅってぶちまける白いアレ何なんだよ……」
「よく観察してるって言うか、その言い方どうよ……」
「卑猥感は全くないが類似する言葉の数々は禁句ワードに指定される内容って人格疑われるぞ」
「いいんだよ。
あいつらが全滅すればこの世の中は平和になるんだから」
「まぁ、あいつ等が全滅する前に人類が絶滅するだろうけど……
それよりもそろそろおいでなすったぞ」
「え?それどっち?
あいつら?それとも蟻の方?」
「喜べ、蟻の方だ」
「よかったね?」
「とりあえず俺達のレベル上げる為にも俺と沢田で行くから、相沢は俺達の背中を頼む」
そう言って荷物を置いて岳と沢田はバットを握りしめて叩き潰す事にしたようだ。
「がんばれー。
とりあえず、他の魔物が来ないように毒霧まいとくな」
ぷしゅーと殺虫剤をまいておいた。
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気が付いたらこんなにも?!
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