レッツ・ツリー!
ダンジョンと称号のランクアップと言う見るべき所はあったがそれ以外の人間的なドラマにうっかり眠ってしまい、体内時計が朝を知らせる時間と共に自然に目を覚ます頃になって岳が戻ってきた。
「よう!やっぱり人の少ないダンジョンって良いな!
教習所のダンジョンより簡単にモンスター捕まえれたぜ!
戦いたい放題戦って、見ろよ!」
ステータス画面を俺に見えるように出現させればレベルも2ケタまであともう少しと言う所まで来ていた。
「すげーな。一晩でこんなに簡単に上がるのか?」
「とりあえず5階まで降りてみたんだけど、数をこなした分レベルが早く上がったぜ」
上田 岳 (22才) 性別:男
称号:駆け出し冒険者
レベル:8
自信満々に俺に見せてくれて納得。
ここに来るまでのレベルは知らないがあっさりと見せてくれる単純な友に岳がいかに楽しんでいたか理解でき、無事帰ってきてくれてほっとしたよと言った所だが
「そういや相沢のレベルどうなってるんだ?」
「あー、レベル11ぐらいになった所までは見てたんだが……」
ステータス画面を立ち上げる。
相沢 遥 (22才) 性別:男
称号:ダンジョン発見者+
レベル:15
じっくりと見る事もなく、人と見比べる事もなかったので岳のステータスと見比べる
「おお、さすがダンジョン発見者!
称号がそのまんまwww」
岳は腹を抱えて笑い
「発見するとこんな称号が貰えるんだよなー」
「駆け出し冒険者からいつの間にか変わってたんだ」
これはなんて言うサービスだろうかと考えさせられるも、ダンジョン発見者の後に+が付いているのは気になっていたが、岳の画面を見て疑問はさらに膨れ上がる。
ダンジョンから戻ってきてとりあえず風呂とジャージ貸してとシャワーを浴びに行った。
水が流れる音を聞き、一人になったのを確認すれば俺はステータス画面の例の+の部分に触れてみた。
その途端ステータス画面が大画面へと変わり、右端に縦にスクロールバーが発生するくらいのおびただいい単語が並びだした。
何かのツリーのようだったが、文字の出現は収まったようでこれ以上のスクロールバーは短くなくならなくなった所で俺は顔を顰める。
文字群の一番上には『ダンジョン発見ボーナス』と書いてあり、行を変えたその下には3つまで選択可能と説明足りなくね?なんていう説明が書いてあった。
とりあえずずらりと書かれた文字群を一通り読む。
異空間収納、経験値2倍、鑑定眼、限界突破などなど。
ずらりと並ぶ一覧を見てなるほどなーとこの訳の分からない展開に朝からビールのプルタブを開ける。
岳推奨のラノベの作者はたぶんダンジョン発見者なのだ。
これを見れば確信を持って言える。
だから小説の主人公が一番最初に無限異空間収納、鑑定眼、経験値2倍と言った物を会得していたのはここからの選択なのだろう。
だが見れば見るほど残念なのはこの3つは一番最初に書かれた3種であり、間違って触れた3種がそのまま選択されてしまった、と言う光景がなんとなく目に浮かぶ。
迂闊すぎるだろ……
そう思えばあの小説もどこか失敗談を織り交ぜた内容だったと思えば、深読みしながら読めば案外面白いのではないかと考えてしまう。
何かヒントがあるかもしれないから後でもう一度読み直そうとスクロールを弄って下まで一通り目を通す。
とりあえず気になったのはいくつかあったが、家のトイレがダンジョンになっても冒険者になるつもりはないので能力的にプラスになる物は除外する。
ネット情報を信じれば7階に現れるウサギ型モンスターは美味いと言うし、毛皮も高値で取引されると聞く。
よくウサギ型モンスターの料理が動画投稿サイトで披露されているのを見てちょっと食べたいと思うもここはド田舎の山の奥。残念な事に普通のウサギしか食べたことがない。
都会のデパートなら出会える肉もここでは出会えないが、自力で食べる事が可能となった今
無限異空間収納
これは良いよな、と一つ目を選択した。
それからスクロールを下の方に持っていけば2つ目の気になる文字を探し出した。
ステータス接続権利
『旅はまだ始まったばかりだ』の打ち切りから始まったようなタイトルの小説の主人公が最新刊あたりでネームドモンスターを討伐した時の報酬として得たスキルにこんな名前があって、小説を引き寄せればこれと同じ名称のスキルがあり、少しだけ考えて会得していた。
小説を信じるのならステータスの詳細画面が見る事が出来る。
半分小説に感化されているのもあったが、ガッツリ討伐したいわけでもないので好奇心に一つぐらいはずれを引いてもいいだろうと……あまり深く考えずに選択をし、残りの1つはこれだ。
スキルダンジョン外使用許可
と言う物を選んだ。
ほら、一人暮らしだからね。
クマとかイノシシとかカモシカとか普通に庭でくつろいでいるからね。玄関開けたらこんにちは、なんてざらだしね。
一人暮らしの防犯対策としてこれを見た時はこの地での必須アイテムだと俺は確信したね!
この3つ目をぽちっと触れた途端画面は一瞬で消え去り、すぐに最初のステータス画面に戻ったけど、右下には矢印がいつの間にか発生していた。
こんなものなかったよなとタップすれば、画面が横にスライドした。
そこに現れたのはステータスの詳細画面。
相沢 遥 (22才) 性別:男
称号:ダンジョン発見者
レベル:15
体力:175
魔力:289
攻撃力:170
防御力:170
俊敏性:172
スキル:無限異空間収納
ステータス接続権利
スキルダンジョン外使用許可
毒魔法+
またの+の出現に少しだけ期待してタップすれば画面が変わり一番上に毒霧の文字。
それは何ぞ?
なんて考えるも考え当るのは一つしかない。
バルサンかよ……
ダンジョンってチョロすぎるだろ……
軽く絶望を覚えながらも魔法って普通火とか水とかそう言った要素に沿ったものじゃなくね?なんて頭を抱える羽目になった。
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